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2018/07/19(木)06:10

記事 日米が一体化した諜報活動の実態

A 【米国】(283)

​​記事 日米が一体化した諜報活動の実態​​ NHKスペシャル「日本の諜報 スクープ 最高機密ファイル」田部康喜のTV読本2018年5月23日田部康喜 (東日本国際大学客員教授) »著者プロフィール   NHKスペシャル「日本の諜報 スクープ 最高機密ファイル」 (5月19日放送、再放送予定:5月31日午前1時~) は、 米国の国家安全保障局(NSA)および中央情報局(CIA)の元職員だった、エドワード・ジョセフ・スノーデンが在職中に入手した「スノーデン文書」に基づいて、これまでほとんど知られていなかった日本の諜報機関の実態について明らかにしたスクープである。  ​大韓航空機撃墜事件の「もうひとつの真実」  米国を中心とする諜報活動においては、 英国とカナダ、オーストラリア、ニュージーランドの各国を加えて「ファイブ・アイズ」と呼ぶ。 世界的な諜報戦をともに戦っている。 米国を頂点として「セカンド・パーティ」、日本はその下に位置する「サード・パーティ」と位置付けられている。 ​​​ 「スノーデン文書」のなかに、最高機密指定がある「ジャパン・ファイル」が大量に発見された。 NHKの取材チームが裏付け取材を積み重ねた結果、日本の諜報機関は米国と一体化して「セカンド・パーティ」にほぼ匹敵する役割を果たしていることがわかった。  「ジャパン・ファイル」に頻繁に登場する、日本の諜報機関は「DFS」である。 これは防衛省の電波部。組織図すらなく、部員は最高度の機密保持を求められる。 ​​ この存在がその姿を現すのは、1983年の大韓航空機がサハリン沖で墜落した事件である。米国はソ連が撃墜した、と国際社会に訴えた。当時のレーガン大統領が主導してソ連の軍事無線が国際連合の安全保障委員会で公開された。それは、DFSの稚内分遣所が傍受したテープであった。  「目標 撃墜」というソ連の無線の音声が、安保理で繰り返し流された結果、ソ連はついに大韓航空機の墜落の責任を認めた。  「ジャパン・ファイル」は、この事件に隠されていたもうひとつの真実を記している。 「目標 撃墜」の音声テープは2本あった。もう1本は米側が録音したもので、NSAの判断でこれは公開されなかった。誰が、どのような方法で情報を収集しているか、を伏せるために、公表することはないからだ。  NSAの元分析官のカーク・ウィービーは次のようにいう。 「レーガン大統領は、日本が傍受したテープである、ということもいうべきではなかった」  日本が傍受したソ連の秘密の電波帯は以後使われなくなり、諜報活動に支障をきたすことになる。  稚内分遣所で問題のソ連の音声を傍受していた、佐藤守男は語る。  「極論すれば、アメリカの出先機関だった。日本はごく自然に、いつものようにアメリカに情報を渡した。ここ(稚内分遣所)はアメリカ、日本のなかのアメリカだ」​ 「国家が一般市民の情報を手に入れる」  日本が米国と一体化して、世界規模での諜報戦に加わっている実態についても、「ジャパン・ファイル」から浮かび上がる。  「CROSSHAIR」作戦は、世界規模で通信を傍受するものである。 1990年代から2000年代に、米国が主導した日本のかかわりの詳細は明らかになっていないが、 米国の軍事予算が削減するなかで、「サード・パーティ」の諸国にそれを補完する能力と意欲がある、 としている。 米国は関連25カ所を閉鎖せざるを得なかったのである。​ この作戦が展開されていたと同じこと、米国は対イラク戦争とアルカイダの掃討作戦を展開していた。「ジャパン・ファイル」は、そのころ日本にある横田基地において、日本の費用負担によって新型の20種類のアンテナが開発され、通信傍受に役立った、としている。機器の開発に660万ドル、その人件費37万5000ドルに上っている。日本が国内にある米国の軍事基地向けに編成している、いわゆる「思いやり予算」の一部と推定される。  NSAに対して、日本の諜報機関・DFSは2012年、新たに通信傍受のサイバー化に成功したと報告している。インターネットによる情報収集の体制である。これは、米国と一体化して進められており、「MALLARD」作戦といわれている。  専門家は、この体制とは衛星通信を経由しているインターネット上の情報収集ではないか、と推定している。かつ、その諜報拠点は、福岡県にある大刀洗通信所である。大型のドームに覆われた6基と最近までに建設された5基のアンテナがそれである。これらのアンテナは、通信衛星200機を追尾することが可能である。  アジア諸国は、海底ケーブルなどの光ファイバー網によるインターネット通信とともに、衛星経由の通信が多い地域である。軍事・安全保障情報のほかに、一般市民の情報も飛び交っている。 ​ 元HAS職員のウィリアム・ビームは次のように懸念を表明する。  「国家が一般市民の情報を手に入れる」  ロシアに亡命中のスノーデンが登場して、「ジャパン・ファイル」のなかの次のような文章に警告を鳴らしている。 衛星経由の情報を収集する「MALLARD」は、1時間に50万回の情報収集をおこなっているが、安全保障上の危機に関する情報は1回だけだった。 それは、防衛省のシステムに対する攻撃だった。​ スノーデンはいう。  「50万回の残り49万9999はいったいなんなのか。日本政府は一般市民の情報は読むことはない、というだろう。しかし、何を収集して何を読んでいるかは彼らが決めているのである」

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