【不眠症カフェ】 Insomnia Cafe

2018/08/09(木)22:48

記事 腐っていたのは山根前会長だけでなかった……日連幹部会見に見えた矛盾と嘘

V 【過去ログ 迫田さおり選手 その1】(187)

​​​​記事 腐っていたのは山根前会長だけでなかった……日連幹部会見に見えた矛盾と嘘​ 2018年8月9日 9時10分 THE PAGE ​珍しくロジカルでまっとうな意見だと思う ​ 日本ボクシング連盟の吉森照夫専務理事が8日、都内の岸記念体育館で「日本ボクシングを再興する会が指摘する点に関し、今現在お答えできる範囲で皆さんにお伝えしたい」との理由で緊急記者会見を開いた。30人の理事全員に辞任の意思があることを明らかにしたが、助成金の不正流用の隠蔽工作にかかわった内海祥子常務理事を新体制でも残すことを要求するなど、本質的な問題意識が欠けている組織のガバナンス不全を露呈した。 また再興する会が、この日、提示した審判不正にかかわる音声データについても、一部を認めたものの反論、擁護を繰り返して女子ボクシング参加で話題を集めた山崎静代(南海キャンディーズのしずちゃん)や、現WBA世界バンタム級王者、井上尚弥(大橋)の名前を挙げて、間違った認識で辞任表明した山根明元会長の功績を述べるなど、今なお、連盟に問題意識が薄いことも明らかにした。最悪の自己弁護会見である。 ​​ 吉森専務理事は、各種行事へ対処しなければならないため、現理事での連盟運営をしばらく続ける考えも明かしたが、山根元会長のイエスマンだった側近たちを、即刻、退陣させ、新体制へ一新せねば、“ドン”山根元会長が辞任しただけでは、連盟の体質改善、改革が前へ進まないことになる。  まったくもってズレていた。  会見時間が限定され1時間もなかった山根元会長の側近、吉森専務の記者会見は、あきれたと同時にあまりもの問題意識の希薄さに驚かされた。連盟がコンプライアンスを守れずガバナンス不全に陥っていることを世間に知らしめるには、いい機会だったのかもしれないが、腐っていたのはドンだけではなかったのだ。  山根元会長は辞任表明したが、説明不足で、辞任したのは会長職なのか、理事も含めてなのか、正会員としての関西連盟会長、奈良県連盟名誉会長も辞任したのか、がわからなかったが、吉森専務も、山根元会長と連絡をとりながら、その確認作業を怠っていた。 しかも、報道陣から、その不手際を追求されると「しつこい」と逆ギレする始末。 世間が注目している人物の辞任の正式なアナウンスは、本来、連盟が行わねばならないのだが、それを怠っている時点で、この組織のガバナンス不全がよくわかった。 しかも、この吉森専務は東大ボクシング部出身の弁護士。 なおさら残念な対応だった。  吉森専務の1時間弱の釈明会見をネットで見た理事の一人は、ある関係者にこう語ったという。 「臨時理事会で言っていたこととまるでニュアンスが違う。悔しくて、情けなくて涙が出る」  臨時理事会での発言と、まるで違うニュアンスは、理事の身の処し方にあった。 7日に大阪で山根元会長が出席の下、行われた臨時理事会には、25人の理事(2人の委任状をプラス)が出席する形で「自分らも理事を辞任するので、会長も(辞任を)お考え下さい、人心を一新しましょう」と、山根元会長に辞任を迫る際、理事の“総辞職”の意思を表明していたという。  だが、この日の会見では、「全員が辞めるが、正式書面で意思確認する必要がある。常務理事以上に一番責任があり、原則的に辞任するが、その他の理事は残るか、再確認しないとわからない」と、理事全員辞任とは言えない微妙な言い回しに変わっていたのだ。 山根元会長に対しては書面確認を怠り、理事に対しては書面での確認の必要性を説く。 現段階では、山根元会長の息子で、次期会長候補だった昌守会長代行だけが、文書による辞表を提出しているという。  しかも、さらに驚いたのは、常務理事の一人で、50年にわたり経理を担当、金庫番といわれていた内海祥子氏に対して「辞めて欲しくない」と、残留要求を会見の場で口にしたのだ。「内海は、50年以上、連盟職員として一生懸命働いた。すべての事情を知っているし(ボクシングを)愛して献身的に働いた。辞めて欲しくないと思う」 常務理事には「一番責任がある」のではなかったのか。理解できない矛盾発言である。  しかも、内海氏は、山根元会長の側近として、不正に手を染めていた人物。成松大介氏のJSC助成金の不正流用の問題が発覚しそうになると、隠蔽工作を主導し、この日、再興する会が、公開した審判不正に関する2つの音声データのひとつは、内海氏の会話だった。  内海氏は「近大に勝たせたくないわけ」「(勝たせたいのは)芦屋(大学)じゃないの、そのために会長が審判を集めている。おまえらなんのために集められたか知ってんのか?言っとかないとダメだよ。正しくやっちゃうといけない」など、関西リーグの試合で、近大を勝たせず、山根元会長の息のかかった芦屋大を勝たせる忖度のできるA級審判を関西に呼ぶなどの行為を山根元会長が行っていたことを示唆するような発言を行っている。一部の抜粋だが、そういう審判不正が横行している事情を内海氏が十分に理解していたような内容だった。 内海氏は経理の責任者であり、女子競技委員長の役職もあった。――隠蔽工作にかかわった人物を理事として残していいのか? 筆者が吉森専務に問うと、助成金の話について「批判されるものではある、情状の余地がある行為だと思うが申し訳ないことをした」と、謝罪することで、はぐらかした。 会長に辞任を求めた臨時理事会での内容についても吉森専務が明らかにしたが、それは、とても醜いものだった。「会長自らが1人で反社会的勢力の方との対応、問題解決のために一生懸命やられ、健康も害し、心痛していました。会長、どうぞ、そういう立場、健康を害する立場じゃないように楽になってください」「会長が、お辞めになったほうが、今までの功績を汚すことなく、批判とかを乗り越えられるんじゃないですか」「辞めていただくことが名誉を守ること」「暴力団との関係があるようでは、世間の批判を浴び、このままでは東京五輪から除外される恐れもあります」 山根元会長のイエスマンだった人たちにしてみれば、こうヨイショをしながら辞任に持っていくしか手法がなかったのかもしれないが、「会長自身に直接、この点がおかしいんじゃないのか、という意見は一切ありませんでした」という。 ことの本質から離れた議論で会長に辞任を決意させたのだから、山根元会長が、その辞任会見で責任説明を行わなかったのも無理がなかったのかもしれない。「わしは何も悪くない」「(告発は)うそばっかりや」と、抵抗してきた山根元会長に、理事からも、問題点を指摘されていないのだから、そもそも説明する責任がわかっていないのだ。ようするに組織のガバナンスが機能していないのである。  この日、前出した内海氏の音声データに加え、山根元会長の審判不正に関するデータも公開された。それは、2016年2月に録音されたもので「接戦した場合、やっぱり奈良やな。それ、反対につけた場合は“おまえなめてるんか?”てなってくるわけ」と、ハッキリ語っていた。「最近は、奈良の選手を勝たせろとか言わない」とも強調していたが、以前は、そういう発言があったことも思わせるような内容だった。 吉森専務は、山根元会長の音声であることを認め「会長がそう言ったとすれば影響を受ける審判がいる可能性はある」としながらも「奈良を地道に育てあげてきた会長が、奈良県連を愛する余り、どうせ同じなら奈良につけていいんじゃないか、という願望を、ああいう子供みたいなところのある人だからうっかりと言ったと思う。(会長の)性格、態度から(言われた審判が)忖度したのかもしれないが、それはわからない」と、この期に及んで擁護した。 その強烈な性格がパワハラにつながっていたことを連盟の幹部は理解していなかったのだろうか。 もうひとつの内海氏の会話にいたっては「普通の世間話。審判委員会や、理事会の責任ある立場で言ったら(問題だが)事務室での雑談。不用意、軽率だと思うが、責任、非難されることではない」と反論。会長、連盟が暴力事件で廃部となった近大ボクシング部の復活に尽力したエピソードまで出してきた。 また審判不正の代表例としてテレビメディアで取り上げられている2016年の岩手国体で2度のダウンを奪った岩手の選手が、奈良の選手に判定負けした“奈良判定”と呼ばれる試合についても、山根元会長のテレビでの発言などをフォローするように「ダウンが価値あるようなイメージがあるが、アマチュアではそれは違う」と弁護した。さらに最悪だったのは、山根元会長の功績を質問も受けていないのに発信した点だ。「日本連盟(の選手)は、今アジアのトップ3、4、5に入るレベルにある。山根会長が、アンダージュニア、女子選手を地道に(育てて)増加させた。山崎選手(しずちゃん)に(女子ボクシング参加を)要請したり、国際大会(2011年インドネシア)で団体優勝したときは井上尚弥もいた。そういう成果を上げるまでになった。井上尚弥もアンダージュニアから強くなってきた選手」  だが、この吉森専務の認識には大きな嘘がある。   井上尚弥が育ったアンダー15の大会はプロジムが中心になってスタートをきったジュニア世代の大会であり、その第一回大会の優勝が井上尚弥。この時点では、日本連盟主導の大きなアンダージュニア世代の大会はなかったのだ。その後、日本連盟も同じような大会を始めたことは事実だが、昨年、突然、プロが主催するアンダージュニア大会に参加した小中学生は、高校進学後はアマ登録ができず、インターハイなどの大会に出場できない旨を通告するなど、ジュニア世代の底上げを邪魔するようなルールを作った。これも山根元会長が主導したもので、今回、再興する会も告発状の中に入れ込んだが、吉森専務は、それらの経緯を無視して、一方的に山根会長の功績として語るのである。 また再興する会が求めている山根元会長の説明責任については「様子を見て、その場を設けたい。だが、会長は、こんなことを言ったら、あれですが、おおざっぱで、細かいことを知らない。あまり(山根元会長は細かいことを)わかりません。お体と年齢的なこともあり(説明を)やるなら私がやります」との見解を述べた。 会長が細かいことを知らないのならば、告発側が訴えているものは、すべて組織的不正ということになる。「部分的なことは知っている。(報道された告発については)個別には(会長は)話をしている」と、あわてたが、一部のテレビインタビューでの釈明は、説明責任とは言わない。 吉森専務のたった1時間の会見で明白になったのは、側近も含めて組織全体が腐りきっているというとんでもない実態である。現幹部の任期は、来年2月まであり、第三者委員会の立ち上げ、調査、そして、同時に8月にはアジア大会、公認コーチ講習会、アンダージュニアの東西の王座決定戦、国体など行事が進行するため、それらの運営に支障が出ないように、しばらくは、現理事の体制のまま、運営を続けることを吉森専務は明らかにしたが、一刻も早く退陣してもらわねば、山根体制へ揺り戻しが起きる危険性さえ感じさせる。 新体制をスタートするためには、臨時総会を開催して、新しい30人の理事を選出、そして、その新理事の互選により新会長を選ぶという手続きを経なければならない。理事は、全国9ブロックの代表理事で、2期以上理事を務めていることが条件になるのだが、ぐずぐずしている時間はない。 この日、会見した再興する会の戸田裕典弁護士も、その点について「各種報道で多くの理事が辞任の意向を固めていると出てきておりますので再興する会の中で意見がまとまれば、第三者委員会の調査を待たずして臨時総会を招集請求するのか、今後の展開を検討していきたい」という考えを明らかにした。 すでに再興する会では、各都道府県に臨時総会への賛同を求める文書を配付しているという。  東京五輪まで残り2年。第三者委員会の調査により、不正の真相を追究することと同時進行で、真の改革を実行するための新体制への移行をスピード感を持って進めなければならない。(文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)

続きを読む

このブログでよく読まれている記事

もっと見る

総合記事ランキング

もっと見る