【不眠症カフェ】 Insomnia Cafe

2021/12/15(水)07:07

​図解でわかる ホモ・サピエンスの秘密

🔴 C 【文化・歴史・宗教】(279)

​​​​​​図解でわかる ホモ・サピエンスの秘密  ​ 単行本(ソフトカバー) – 2017/5/26インフォビジュアル研究所  (著)単行本(ソフトカバー)¥1,320​​(alex99) 以下は上記の書籍に対するある通販サイトにおける読後コメントKこの本はハラリのホモサピエンス前史の要約的な本でもあるらしい ​​さぼてん(評者)VINEメンバー5つ星のうち5.0 認知能力の向上がもたらしたもの人間とサルとが分かれた時代について詳しく書かれている書籍を探していた。最初電子書籍を購入したが、落ち着いて音読したい気分になって単行本も購入した。本書は人類史と歴史の本で、人類学の視点が特に強く反映されている。まだすべてを読んだわけではないが、本書をヒントに考えたことを書いてみる。​特に知りたかったのは宗教についてだ。僕自身が元オウムであるため、引いた視点から宗教とは何かを考えたかった。我田引水で申し訳ないけれど、オウムを辞めてからは輪廻転生のように「有るかないか分からない」ことについては有る前提で考えないことにしている。そのような話は世間にいくらでもあってキリがないからだ。雲をつかむような話で人生を消耗するのは非常に勿体ない。いまは科学の力で分かっていることを学びたい。​​人間とサルとは認知能力に大きな違いがある。本書でも「認知革命」を丁寧に解説している。過去に聞いた話では、サルは未来を考えて期待したり、不安になったり、過去に囚われて悩んだりはしないという。他者の気持ちを推し量ることも苦手だ。人間だけが現在という時間を離れ、自分を抑圧してでも周囲に受け入れられようとする。それによって自分を見失う。​ ​(alex99) つまり、サルの脳にはメタ認知能力が無いということだ ​人間は災害の経験から建物を丈夫にしたり、豊かさを求めて収益の拡大・貯蓄にも励んできた。身近な人の期待に応えよう喜んでもらおうとして、良いものを作ったり芸能を磨いてきた。​これらは文明や文化が形成されたのは、人間の認知能力が発達したからであることを示しているのだろう。 ​​​​​​同時に「いま、ここを生きる」ことが出来なくなったのも認知能力が発達したためであることが分かる。これは僕たちが過去の経験・未来への不安からいまに生きることが出来ず、周囲に気に入られようとして本当の自分を生きることが出来ないために、悩み多き人生を生きる原因となっている。仏教でも心理学でも幸福論で共通しているのは「本当の自分を生きること」であり、そのための基本として「いま、ここを生きる」ことが重要とされる。「いま、ここ」だけが真実だからだ。過去も未来も、現在周りににどう思われているかも、実際は本人の思い込みによる解釈であって真実ではない。​​​​​文明の発達そのものが幸福を求め、問題を解決しようとしてきた工夫の産物であることを考えると、僕たちは自分に都合良く文明だけを手に入れ、苦悩せずに済ますことはできない。これらはコインの表と裏のように不可分なものなのだ。認知能力の向上が人を幸福にしただけではなく、苦悩を生み出し「苦」(煩悩と言ってもいいかもしれない)の数を増やしてきたことも認めるべきだ。それらを解決してくれる都合の良い、想像上の存在が全知全能の「カミ」なのだ。 文明以前の洞窟壁画に半鳥半人の絵があり、人間が絵画の才能を開花させる以前には既にアニミズムがあったことが推測される。神の概念には矛盾があると思う。例えば「カミ」はいつも僕たちの味方をしてくれると考える。ならば僕たちの敵やライバルから見たら「悪魔」である。金運向上の「カミ」は僕にお金を集めてくれると信じる。そのために「カミ」は誰からか、お金を奪うはずなのだ。しかし神は善なるものとされる。この矛盾は僕たちが「カミ」をいかに自分にとって都合よく創造してきたかを示している。 ​(alex99) 概念における神は常に我の味方をしてくれる 私から言わせれば、それは人間が「神はこうあってほしい」 という願望にすぎない 人間は神に救いを求めるが、実際に神は何も知れはくれない 「神も仏もあるものか」というのは、過去にそういう願望がむなしいものであることを思い知った人々の嘆息である ​​簡単に分ければ人間の苦には2つのタイプがある。 一つは痛みや飢えといった「直接的な苦しみ」(生存の苦しみ)、 もう一つは現在の状態が恵まれているか否かに関わらず考えることから生じる「苦悩」(実存の苦しみ)である。 宗教では飢えなどの「直接的な苦しみ」を救うことはできない。風邪にかかった人や骨折している人はすぐ医者に行くべきである。いくら祈っても空腹は満たされない。行政に相談した方がいい。宗教が救済できるのは「苦悩」の方だけである。認知能力が向上し「いま、ここ」を離れてもたらされるのが「苦悩」だからだ。神に祈ることで苦悩を預け、精神的な重荷を下ろすことで人間は生き続けることが出来る。高度な教義のある宗教は、事態の解釈の仕方を変えることで変質させ、苦悩を感じないようにする。​想像によって生じた苦しみは想像によって解消できる。​​​​僕は信仰というものの本来の役割は、想像力が発達したことによって自らを苦しめてしまう人の、こころの健全さを維持することにあると思う。​ (alex99) つまり、認知能力が向上したからこそ産まれる「苦悩」を神という「一時預かり所」に預けると精神的に助かる、という事が宗教の構図か?(笑)それにしては人間は、神を過大評価しすぎ(笑) 文明を構築した人間が他の動物と比較して優れていると思うのは幻想にすぎない。彼らは「いま、ここを生きて」いるのである。だから生存の苦しみはあっても数々の苦悩がない。僕たちは夢ばかり見ているから”One of them”であることを嫌い成功を願う。成功を求め周囲に認められようとして他人の価値観に引きずられ、自分の生きる道を見失う。自分で勝手にハードルを高くして失望し他人を恨む。動物たちはそのようなことにはお構いなしに自らの運命を成就して死ぬ。野生動物の一生はすべて身の丈に合ったものだ。けがや病気をして死ぬのは人間も同じだし、どんな偉人でも歴史の流れが変わっていく中で忘れられていく。なおかつ動物たちは持続可能な生き方をしている。動物のように生きるべきとまでは言わないが、結果論として僕たちが長い歴史の間に、彼らとは比較にならないほど多くの問題を抱え込んでしまったことは事実だ。問題を一つ解決すると、別の問題が生じてしまう。抽象的な表現になるが、結局すべてはプラマイゼロになるようにできている気がする。​僕たちの社会を作り出しているのは想像力と約束である。貨幣制度も信用取引も治安の維持も民主主義もそうだ。原始から近世まではそれらを仕切っていたのは王権か宗教、またはそれらの複合体であったはずだ。本書では想像世界と呼び、それを支えた秩序を時代順にヒエラルキー、貨幣、国家、帝国と解説していく。次に帝国にテーマを移し、それが利用した道具として数、法律、硬貨について解説する。いずれもイラストがついていて理解しやすい。本書を一言でいうと「文明の進化論」である。しかし言ってきたように、この裏側には「苦の進化論」の流れが隠されている。その解決の結果として文明の発達があったのだ。ダーウィンではないけれど、現代科学の視点から「苦の起源」なる書籍は出ないだろうか。その視点で書かれた本を読んでみたい。​動物神に始まった「カミ」も進化してきた。現代人が考えるのは宇宙を支配する全知全能の絶対者だ。原始に比べていかに人間の視野が広がったか、信仰というものが、言い方は悪いが、ご都合主義に出来ているかを表している。​​本書は「サピエンス全史(上・下)」ユヴァル・ノア・ハラリ(著)を主に参考にしている。NHKラジオの文化講演会「宗教はなぜ必要なのか」で花園大学教授・僧侶の佐々木閑さんは「サピエンス全史」を引用して次のように語っていた。先の貨幣制度や政治制度だけでなく、日常的に価値を与えられているものは何でも、それが自分たちの生活を良くしてくれると強く信じられているから維持されている。これらはすべて一種の宗教だと言ってよい。ただそれを宗教と呼んでいないだけであると。 (alex99) つまり、これらは実在するものでは無くて、フィクションなのだ ​​​僕たちは生きている限り必ず何かを信じている。依存せずに生きることはできないのだ。同じものに価値を見出して依存する集まりを「仲間」と呼ぶ。それは個としての人間の弱さを表しているし、同時に集団としての人間の強さをも表している。 (alex99) 「仲間」をつくり群れる事が好きな人が多い 私は、子供時代から、あまり「仲間」に入るのが好きな人間では無かった だが「仲間」に入らないでも済む、個人としての強さを持とうと思っているない かっこよく言えば「孤高」 ​​本書は全体の半分以上がイラストである上に、90ページ程度しかない。 その最後の10ページで人間が追い求めてきた幸福について総括している。 経済的に繁栄した日本が幸福度ランキングで低い位置にあるのは何故か。 幸福論として究極的には答えは外界ではなく人間の脳内にあるとしている。 最終的にはそれぞれ自分のこころの問題だということだ。 これは戦後の日本社会が経済中心だったために心のケアを怠ってきたことを示しているのだろう。 それがオウム真理教を生み出したのだし、もしかすると日本人の多くが無宗教と考えていることとも関係があるのかもしれない。​24人のお客様がこれが役に立ったと考えています (alex99) 私が考える日本人の「幸福度」が低い事の原因 1 日本人はあまり宗教的では無いから、宗教に頼れないでいる 2 宗教的でないから唯物的になり物質的な幸福を求めている   しかし、物質的文明度はある程度、煮詰まってしまった 3 民族的に安心ホルモンのセラトニンが少ない体質 4 太平洋戦争の敗戦で、確固とした価値観をもてないでいる 5 皆が利己的・個人的になっている 6 核家族化によりコミュニティーを失った 日本人の幸福度を上げる方法は別稿で考えたいが それは心の問題であることは確かだと思う ​​​​​

続きを読む

このブログでよく読まれている記事

もっと見る

総合記事ランキング

もっと見る