【不眠症カフェ】 Insomnia Cafe

2022/10/20(木)18:17

ロシアの「弱さ」思い知った旧ソ連諸国

🔴 【ウクライナ戦争・ロシア】(229)

​​​ロシアの「弱さ」思い知った旧ソ連諸国...「力の空白」で周辺地域が一気に不安定化​​​10/20(木) 12:04配信ニューズウィーク日本版   <ウクライナでの苦戦により周辺地域におけるロシアの威信は大きく低下し、重しが外れた周辺地域で紛争の火種を一気に表面化させる結果を招いている>【木村正人(国際ジャーナリスト)  [ロンドン発]無謀なウクライナ侵攻でロシアの国力がみるみる衰える中、周辺の旧ソ連諸国に「力の空白」が生じ、不安定化している。 ウラジーミル・プーチン露大統領が自らの正当性を主張するためウクライナの占領地域にこだわれば、それだけロシアは蟻地獄にハマる。旧ソ連崩壊と同時進行形で始まったユーゴスラビア紛争と同じ悪夢が繰り返されるのか。 ​​​「アゼルバイジャンは近い将来、欧州への天然ガス供給量を倍増することを計画しており、中央アジアの国々はわが国と協力し、カスピ海を越えて欧州に至る輸送・通信回廊の整備を加速させている。​​​(わが国と隣国アルメニアの)和平が配当をもたらす可能性は高まっているが、和平プロセスが遅れることによる機会費用も同様に増加している」 エリン・スレイマノフ駐英アゼルバイジャン大使は保守系英紙デーリー・テレグラフに「カフカスの平和を取り戻すために」と題して寄稿した。アゼルバイジャンがエスカレートさせたアルメニアとの紛争に対する西側諸国の批判をかわすためだ。スレイマノフ氏は筆者を含む西側メディアに個別取材を呼びかけ、アゼルバイジャンの主張を繰り返した。 「ロシアは疲弊し、周辺地域は不安定化するのか」との筆者の問いに、同大使は「ロシアが依然として巨人であることに変わりはない。外からどう見えるかは別問題だ。しかし安定は外からではなく、内からもたらされるべきだ」と答えた。アルメニアとの和平合意は非常に近いとの見方を示す一方で、和平が近づくにつれ暴力や挑発が起きる危険性も指摘した。 ​■「ロシアが軍事的損失を被ったことがアゼルバイジャンを増長させた」​----------------------------------------------------------------------- 旧ソ連崩壊でアジアと欧州を結ぶカフカスの地政学は複雑になった。「西側諸国によるアゼルバイジャンとトルコへの大規模なエネルギー投資はアルメニアを経済的に孤立させ、バクーを支援することでアルメニアが直面する安全保障上の脅威を大きくした。ロシアがウクライナ侵攻で多大な軍事的損失を被ったことがアゼルバイジャンをさらに増長させた」 米外交誌フォーリン・ポリシーへの寄稿でこう解説するのは米国最大のアルメニア系米国人草の根支援組織「米国のアルメニア国家委員会」のプログラム責任者アレックス・ガリツキー氏。9月、アゼルバイジャンがアルメニア国内の防空・大砲システムに大規模攻撃を加え、200人以上が死亡。米航空宇宙局(NASA)が衛星から確認できるほどの激しい攻撃だった。 作戦はロシア軍がウクライナ北東部ハルキウから屈辱的な撤退を強いられた直後に実行された。ロシアは2国間防衛条約と集団安全保障条約(CSTO)に基づきアルメニア国内に基地を置いており、同国が第三国に攻撃された場合、集団防衛の義務を負っている。ロシアはアルメニアから支援要請があったものの仲裁できず、代わって外交を展開したのは米欧だった。 「2020年のナゴルノ・カラバフ紛争で圧倒的勝利を収めて以来、アルメニアに対しアゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領は交渉と武力を織り交ぜた『強圧外交』を行ってきた」と、欧州のシンクタンク、カーネギー・ヨーロッパのトーマス・デ・ワール上級研究員は同国幹部の言葉を紹介している。  ​■ 安全保障の保証人としてロシアは見切りをつけられた​------------------------------------------------------------ デ・ワール研究員によると、アリエフ大統領は(1)アルメニアがナゴルノ・カラバフの領有権を放棄する「平和条約」を締結させる(2)アルメニアとの国境をアゼルバイジャンの都合の良いよう画定する(3)アルメニア領土を横断する「ザンゲツール回廊」構想を実現する――という3つの目標を掲げていたという。本当に「和平」は可能なのか。 CSTOは今年1月、ロシア指揮下の部隊を「平和維持」のため加盟国カザフスタンに兵を送り、200人以上が死亡した危機「血の1月」を鎮めるのに貢献した。ロシア、アルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、タジキスタン6カ国でつくる「プーチン版NATO(北大西洋条約機構)」と呼ばれるCSTO初の集団的自衛権行使だった。 しかしウクライナ侵攻でプーチン氏に協力したのはCSTOの中ではベラルーシのみ。ロシア依存度が高いアルメニアは「地域安全保障の保証人」としてロシアに見切りをつけ、米欧に支援を求めている。したたかなアリエフ大統領はアルメニアだけでなく、その背後にいるロシアにも狙いを定め、大規模攻撃に踏み切ったとの見方も有力だ。 キルギスは9月、同じCSTO加盟国タジキスタンとの国境紛争がエスカレートし、約100人が死亡した。プーチン氏70歳の誕生日(10月7日)、サンクトペテルブルクで開かれた旧ソ連諸国の「独立国家共同体」(CIS)非公式会合に、キルギス大統領は突然欠席し、代わりに電話で祝辞を伝えた。プーチン氏がタジキスタン大統領に勲章を与えたためと言われる。 ​■ロシアの威信低下でユーラシアの地政学に劇的な変化が​---------------------------------------------------------- ウズベキスタンは2012年にCSTOを離脱しており、他の加盟国が相次いで離脱するとの懸念も膨らむ。ウクライナが早期に勝利を収めるとみるのは楽観的過ぎるかもしれないが、ロシアのパワーと影響力は目に見えて弱まっている。「ロシアは撤退しているのではなく収縮している」(米カーネギー国際平和基金のダニエル・ベア上級研究員)という。 「東欧から中央アジアに至るロシア周辺では地政学的に巨大な吸引音が鳴り響いている。プーチン政権は旧ソ連圏でロシアの力を誇示しようとする権威主義的な体制になった。その背後には旧ソ連圏を再び支配下に置きたいという願望と、旧ソ連圏の民主化が自国にも伝染しかねないという根深い恐怖心がある」とベア研究員はフォーリン・ポリシー誌に書く。 「ウクライナでのプーチンの戦略的敗北はロシアの支配力を緩めることになるかもしれない。ウクライナ戦争の敗北によって、ロシアの将来の政治的発展と安全保障体制が注目されるようになった。ロシアの威信とパワーの低下によりユーラシア大陸の地政学的風景はダイナミックに変化する可能性がある」(ベア研究員) ロシアの違法なウクライナ4州併合を非難した国連総会決議で反対票を投じたのがロシアとベラルーシ、北朝鮮、シリア、ニカラグアの5カ国。賛成143カ国で、棄権は中国やインドなど35カ国。CSTOではアルメニア、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタンが棄権に回った。 ​ウクライナ戦争でプーチン氏は「張り子の虎」以下の存在に成り下がった。​ 

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