うたたねの詩

2020/01/26(日)00:00

第3話 訓練開始

BLACKLIGHT 再起(43)

明日、行われる配置転換によって移動するかもしれない。 「それなら、行けるんじゃないか?行けるだけだけど」 トワールは笑いをかみ殺している。 結局、理由は聞けないまま、話は進んでいく。 「お前だって自由に行けるわけないだろ。どうするつもりかは予測つくけど」 トワールはレイトに直談判して行こうとしている。 自分一人だけなら了承が得られる、という算段だ。 「じゃあな。これから準備して来ねぇと」トワールは去っていく。 ヨーディは残っているクイントに聞いてみると、 「あいつと同じ道。ってことだ。覚悟しといたほうがいいぞ」 翌日、入隊志願者とともに集められた中にヨーディはいる。 「では早速、運動能力を図るためにナキュアに向かってもらう。  期限は3日、それ以外の条件はない。解散!」 そう言われてもすぐ動ける者などいない。 ナキュアという町は普通に行くと4日はかかるところにあり、急がなければならない。 が、食料を中心に持っていかなければならないものを準備する必要がある。 その場に立ち尽くしている者たちの中には、早くも判断力の差が出ていた。 ある者たちはまとまって考えを導き、準備を分担して行動に移そうとしている。 ヨーディはいち早く動いた。食料と寝る時の布さえあればいい。 あとは、雨風が防げるような場所が見つけられれば問題ない。 昔のことを思い出して笑いが込み上げてくる。 (まさか、こんなんでキツいとかそういう話じゃないよな?) ヨーディは食料を買い集め、そのまま街を飛び出していく。 地図通りに整えられた道を走っていく。 知らないところに行くだけに、回り道になってでも道に迷って時間をロスすることは避けたい。 1日、2日と進んでいく。ヨーディは先頭を走っている気分だ。 寝ているうちに抜かれているかもしれないが、前に人影が見えることもない。 時間が経つにつれ、不安が膨らんでいくものの、目的地には近づいている。 坂を上っていく途中で人の話し声が聞こえてくる。 まさかとは思いつつも、そこには人だかりができている。 「あー、結構ギリギリになっちまったな。迷ったから仕方ねぇけど」 「あの分かれ道で間違えなければな」 「お前が遅れて前の奴らが見えなくなったからだろ」 「まぁまぁまぁまぁ、間に合ったんだから」

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