第73話 エンドロール
これで会談は終了。レイトはイグリス王とともに外に出る。「ご助力していただき、ありがとうございました。改めて感謝申し上げます」「ようやく元に戻すことができたな。そこで、だ」そこで持ち出された話とは、領土拡大に伴い、ゲイドモールの補佐役を増やすということだった。ということは、レイトによる統治を認めることを意味している。イグリス王は満足げにレイトを褒め称える。それから別れ際に、ゲイドモールをいったん戻してほしいと言い、その間は監視役をつけるつもりはない、と。レイトは驚きながらも同意。役目を果たすと宣言したあと、「では、本人に伝えます」一方、バフタール王は別の部屋に移り、誰かと会っている。「これであんたの希望通りになったはずだ。文句ないだろ?」「いやはや。お見事でございました。貴殿がこれほどまでの才覚をお持ちとは。 わざわざ下りてきた甲斐があった、というものです」「そう思うんなら、王国を差し出してくれてもいいんだぞ?」「また、そのような波風が立ちかねないことを申される。 その口の悪さがなければ、大陸一の人物であると感じているのですが・・・」「おだてて報酬削ろうとしてんのか?その手には乗らねぇぞ」「わかっております。戻り次第すぐに送らせていただきます」老人は山脈へと帰っていった。ほどなくして、フューリッドにかつての仲間たちが帰ってくる。寒気が渦となり、どんどん広がっていく。「皆、よく耐え忍んでくれた。本当に感謝してもしきれない。 特に降伏のお膳立てをしてくれたことには、なんと言っていいか・・・」「いえ。ルゼッタ将校のおかげでうまくいきました。 我々はバフタールから目をつけられていましたので、 説明する時間がわずかしか用意できず、申し訳なく思っております」時間がいくら経とうとも、再会の声が止むことはなかった。そして3人もまた例外ではなく、ヨーディとクイントそしてトワールが顔を揃える。ヨーディの成長ぶりに盛り上がりながら、話はバフタールでの生活へと移っていく。最初は不安だったが、レイトの手紙を聴くことができたおかげで冷静さを取り戻せたと言う。しかし、そのあとはバラバラの配置になり、お互いの情報を共有できなくなった。このことが原因で招集に時間がかかり、今回の事態を引き起こしたようだ。「なんとかうまくいったんだし、よかったんだよな?」そのときトワールはわずかに表情を曇らせ、微かにつぶやく。「だといいんだけど」何か引っかかる感じがしたが、何の確証もなく心に押しとどめる。「これから大変になるぞ。イグリスからの要求がより多くなる可能性もある」クイントは力を込めて今後を見据える。