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あの日、私は死んでもいいと、このまま消えてしまってもいいと考えていた。
誰からも愛されず、誰からも求められない。 ただあるのは無神経に並べた差別とただの印象から夢想したくだらない軽蔑だけだったから…。 でもあの日、私は純に救われた。 彼がいなければ私は永遠に孤独で、永遠に惨めな化け物だっただろう。 かつて、中世ヨーロッパよりあらわゆる忌まわしい吸血の呪。 その呪を受けし者の避けられぬ宿命。 私には耐えられなかった。好きでなったモノでもないのに、背負わなくてはならない生きる道。 そしてソレのために罵倒軽蔑差別を知らない人たちにされ続ける日々は苦痛の極みだった。 でも私は彼に出会ってから全てが変わった。 彼はこの苦しい世界を愛していた。本の少ししかない『娯楽』や『幸せ』を私に見せてくれた。 そして私は夢見てしまった。 “――あぁ、この人となら………こんな幸せを分け合いながら生きて行けるのなぁ……。” でも私の宿命からは逃げられなかった。またアノ衝動が来てしまったのだ……。 “血を吸え!!”、と………。 血で汚れたこの体は、まだ血を欲しがっている。 きっとこれからも先ずっとそうだろう。 そう思うと私は悲しく、そして切なくなった。 恋も出来ないこの体。もう嫌になった。だから自制心を強化するために見込みのなく希望がある旅を私ははじめる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006/04/14 06:31:36 PM
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