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テーマ:思春期の子どもと暮らす(235)
カテゴリ:✧✧✧ game・本・マンガ ✧✧✧
薄っぺらい本の中に、中学受験合格後の引きこもり底なしの中二病がぎゅううううぅぅぅっと濃縮された、千原ジュニアの自叙伝の軽いレビュー ネタバレ無しよ。 のつもりで書いたけどほぼネタバレかもよ 本名の千原浩史ではなく、千原ジュニアとして出版。 というスタンスに、なんか彼らしいなと勝手に深読みして思った。 15歳で吉本に入る前の話。 ”芸人 千原ジュニア エピソード0”ちゅーこっちゃ。 「はじめに」が無いまま、淡々と異様な状況が進み、あっという間に吸い込まれてしまった。 千原少年の思春期は常に自分との対話。 引きこもりだからあまり「」が出てこない。 テレビから出てくる虫たちと戯れながら、己の世界観を確立していく生々しい描写がすごい迫力だった!!! 「あとがき」も無くあっけなく終わった。 最後に読者に残されたのは、薄い青空の景色と爽やかな春風。 しびれた。 余韻の残し方が格好良すぎだわジュニア こんな文才があるなんて知らなかった…。 便所は宇宙であるシリーズのノリで読み始めたら引っくり返ったわwww なんかもう、心を掻き回されすぎて読み終わって何日も経つというのに変な興奮状態が続いてるので、こうしてアウトプットしないと、私もパジャマのまま外に飛び出してしまいそうw そして盗んだバイクで走りだして夜の校舎の窓ガラス壊してまわりそうww タレント本なんて文学的価値は無いし、ましてや昔話などファン以外は興味ないし時間とお金の無駄しかない、と思っていた。 でもこの本は、★5の満点評価だ。 彼の生き様への評価ではないよ勿論。 その辺に転がっているお涙ちょうだいの自己満足な自叙伝ではなく、立派な小説で”文学”だった。 なので今後、避けてたタレント本を読んでいこうと思う。 火花とかKAGEROUとか。 もしかしたら、本当におもしろいのかもしれない。 これは大声で言いたい! ジュニアに怪我させたあの教師は傷害罪だからね!!! 昔は、頭おかしい教師も多かったもんなぁ…。 千原少年の14歳の頃。 私は小学生高学年の同世代。 まだ厨二病などという言葉がない、ちょうどバブルがはじける少し前の時代。 ぼんやりとした不安感が一体何なのか、具体的な答えもアドバイスもくれる良い大人はいなかった。 根性論を盾に「頑張るのが当たり前」と、限界値は自分ではなく大人に決められてた。 ヤンキーと秀才がキッチリ分かれていて、どこにも属さないニュートラルは抹殺され、”自分らしい生き方”は怠惰とみなされた小中学時代。 アイデンティティーの確立過程は、人それぞれスピードも違う。違ってていいはず。 それが許されなかった時代の、社会へのアンチテーゼみたいなものは、どの属性の子もみんな持ってた。 嗚呼… あの頃のティーン達は、みんな大人が嫌いだったなぁ…。 「部活中に水飲むな!たるんどる!」 「インフルエンザで休むだと?怠けるな!這ってでも来い!」 とかバカみたいな思想の学校が普通だった。 今の子は信じられないかもしれないが、30年前の中学校教師は脳みそ筋肉で、我々生徒に人権などなく、部活ではパワハラが当たり前だった。 そんな時代を生き延びたサバイバー!子育て中アラフォーに超絶おすすめする! ジュニアの立場としても、親の立場としても、両方分かるであろよ。 ”見守って待つ”という親業の難しさが身に沁みる…。 ジュニアパパの寛大さとママのギリギリさ。 綺麗事じゃないリアルさがこの本の魅力!!!! 勿論、子供が引きこもりで悩める親にも、引きこもり当事者にも推せる本。 ”自分が戦う場所”を探し出すことができずに、いまだに引きこもりの人も多いじゃんね。 ジュニアのおばあちゃんが旅行に連れ出したように、何がきっかけになるかわからない。 ジュニアママの「もう限界」というリミットを告げた言葉などがトリガーになって奮起するかもしれない。 そのきっかけを作るきっかけにこの本がなるかもしれない。 引きこもってるここが私の場所だ、と思える人にはおすすめしない。 くすぶって煮詰まって、”ここではないどこか”を夢見る人には、何かしら心に残る本になると思う。 ジュニアを嫌いな人でも、この本を嫌いにはなれはしまい。 この本を読んで思い出した曲がある。 ミーカがアリアナ・グランデとコラボした『ポピュラーソング』だ。 ミーカは、壮絶ないじめの経験者で、なんと教師からも理由は分からずかなりエグイいじめを受けていたようだ。 そのイジメ体験をポップでキャッチ―な曲に合わせてノリノリで歌ってるのがこれまた皮肉でかっちょいい♪って世界中に多くのファンがいるみたい。 その『ポピュラーソング』っていう曲の内容は、 昔の君は人気者だったよね。僕をトイレでいじめてたりしてたのにさ。 そんな君が、今は最前列にいるじゃんww人気者の僕の歌を聴きにさブフォッwwww ほら、早くついて来いよ! 今の君と僕はヤバイくらい差がついちゃってんだからさ。 君だって僕みたいな人気者になれるよ! どうすればいいか教えてあげよっかブフォッwww ってな感じの歌 MVでは、魔法学校のようなスクール生のミーカとアリアナが、2人主催のディナーパーティーを開き、そこでイジメっ子達に復讐する物語になっている。 怪しい液体を大鍋でグツグツ煮込んで、雰囲気もゴシックホラーで私はめちゃめちゃ好きなMV MIKA - Popular Song ft. Ariana Grande 原曲はハリウッドの舞台『Wicked』の『Popular』。
オズの魔法使いエピソード0『Wicked ウィキッド』。 西の悪い魔女は、元々は良い子だった! どうして闇堕ちしたのか。 その理由が分かるエピソード0! オズの魔法使いの物語が始まる前の話。 劇団四季によるあらすじ→ 舞台はシズ大学。 生まれつき緑色で不気味がられてた陰キャの子がいた。優秀で素直な子で、名はエルファバといった。 人気者の陽キャの子がいた。ブロンドの髪で華やかな子で、名はグリンダといった。 この2人が同じ寮生となり、なんやかんやで親友になる話。 グリンダは、のちの北の良い魔女。 エルファバは、のちの西の悪い魔女。 グリンダが、「あなたも人気者になれるわ!私がそうさせてみせる!」とエルファバを励ます曲が『ポピュラー』。 かつて陰キャのミーカが、「お前らも僕みたいに人気者になれるよ♪」とかつてのイジメっ子を皮肉る曲が『ポピュラーソング』。 人に歴史あり。 エピソード0あり。 余談。 『14歳』のカバーを取って、私は「お勤めごくろうであった」と告げてそれをゴミ箱へ入れた。 この作業は私にとって、”ようこそ我が家へ”の儀式だ。 洋服を買って返品することもなく、私の物としてこれからよろしくとタグを切ることと同じ意味をなす。 私は日本の本のその無駄に派手なカバーが苦手だ。 売るためにはしかたない原色だらけのジャケットを剥ぎ取ると、シンプルな本体が出てきて、それを棚に並べてしばし愛でるというのも儀式の一環だ。 もう一度読みたいと思わせてくれた本に行われる儀式。 つまり、中古本として売らないで一生手元に置いておくから綺麗にしてとっておく必要がないわけで、ましてや嫌いなうるさいジャケットのまま並べる必要もないわけで。 いつかはまた読もう、と決めて14歳を本棚にしまう。 でもまたパラパラとめくってしまって、1時間経っていた。同じところで泣いていた。 そして焦った。 嗚呼…この世に巡り会ってない本が一体どれだけあるんだ! 嗚呼…時間が足りない! 自分に合わない本を選んでいる時間もお金もない! 売れてる本を買う奴らをバカなミーハーだと思っていた。出版社に騙されてバカな奴らだと。 だが、考えが変わった。 みんな、面白い本を読みたいだけなんだと気づいた。 失敗する時間もお金も勿体ないんだ。 夢中にさせてくれる本をみんな探しているんだ。 運命の作品に出会うには、やはり本のプロが推す作品を手に取るのが合理的だったのだ…。 帰宅した娘にこの本を勧めた。 娘は、たいして興味なさそうな顔して気怠く本を受け取った。 数時間後に「ねぇ、千原ジュニアってあの千原ジュニア?」と聞いてきた。 「そうだよ」と答えると「ふーん」とだけ返された。 「いやだから感想!」ときくと「おもしろかった」と面白くなさそうな顔して本と一緒に返された。 「語彙力!」と言うと「また次ジュニアの本買ったら読ませて」とだけ言って娘はソファーに踏ん反り返り、スマブラというゲームに夢中になった。 15歳になったばかりの、時間が足りない娘の為にも、やっぱ『火花』を買おうと決めた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2019.02.24 02:20:08
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