働きやすい環境工夫 静岡の民間企業
障害者雇用の水増し問題で、
静岡県内でも県や静岡市などの行政機関で不適切な雇用率算定が相次いだ。
一方、民間では工夫を凝らして就労支援を進める企業もある。
働く現場からは、一連の問題について
「障害者が働きやすい環境は何か、行政が考え直すきっかけにしてほしい」
との声が上がる。
「お疲れ様です」。
9月中旬、バックミラー製造会社「村上開明堂」(静岡市葵区)
の藤枝工場で知的障害を持つ男性が元気にあいさつした。
男性は工場一角の作業所で
ミラーを運搬するための空箱を次々に掃除する。
残った異物やほこりでミラーが傷つくことを防ぐためだ。
同社は2017年2月に障害者の就労訓練のための作業所を新設した。
藤枝市の社会福祉法人「ハルモニア」と請負契約を結び、
施設利用者に作業所を働く場所として提供する。
働きぶりを見て正式採用するかを決め、
これまでに女性1人を採用した。
同社経営企画課の高嶋明主査は
「早期離職してしまっては、本人も会社にもマイナスになる。
まず適性を見極めることで障害者の職場への定着が図れる」
と狙いを話す。
同社は20年以上前から障害者の採用に取り組み、
現在は18人が働く。
障害の程度を把握するため手帳の写しの提出を義務付け、
雇用率は2.38%と民間の法定雇用率(2.2%)を上回る。
ただ、12年度は法定雇用率に届かず
一定規模以上の未達成企業に課される納付金を国に納めた。
県などは国のガイドラインが原則とする
障害者手帳の確認を一部で怠っていたが、
同社人事担当の鈴木由賀里さんは
「民間の感覚では根拠が重要。手帳は採用に当たっての根拠」
と指摘する。
鈴木さんは
「障害者と健常者が一緒に働くことで職場の雰囲気が和らぎ、
工場の安全意識も高まる。
障害者が自立できる環境が整えられるよう、
行政には支援をお願いしたい」
と話す。
[毎日新聞]
企業の中に作業所、何より幸先が安心ですね。☄