「出来なくてもしょうがない」発達障害判明後〝開き直り〟
消えた重荷 自分なりに楽しむコミュニケーション
漫画家のゆめのさん(ツイッター・@yumenonohibi)は、
コミュニケーションにまつわる悩みを抱いてきました。
自分の気持ちを、思うように言語化できない。
会話から間を置いて、初めて適切な表現が思い浮かぶ……。
最近、そうした事象が、発達障害に起因すると分かったのです。
「他の人と同じように出来なくても、しょうがない」。
ある種の〝開き直り〟を通じ、
生きやすくなるまでのプロセスについて、描いてもらいました。
知能検査で分かった自分の特性
30歳を過ぎてから、
ADHD(注意欠如多動性障害)・ASD(自閉スペクトラム症)
と診断された、ゆめのさん。
より正確に状態を調べるため、
専門的な医療機関で、知能検査を受けました。
すると、言葉や絵から情報を読み取ることは比較的得意な一方、
処理速度が極端に遅いと判明したのです。
更に、マルチタスクが苦手といったことも分かりました。
「思い当たる!」。
一連の結果に、ゆめのさんは膝を打ちます。
周囲の人々と話す中で、
言いたいことが咄嗟(とっさ)に思い浮かばず後悔したり、
食事しながらうまくコミュニケーションが取れず、
失敗したりした経験があったからです。
苦悩の根っこを見据えた上で、
自分の振る舞いを顧みると、捉え方が変わりました。
他の人と同じように人間関係を築き、交流できない。
その点に負い目を感じ、
不安を強める場面が少なくありませんでした。
でも発達障害由来なら、
一つの特性として理解すれば良い、
と達観したのです。
「私は他の人と元から違うんだから、出来なくたってしょーがない」。
そうやって、
良い意味で開き直れるようになったのでした。
無理のない仕方で、対人関係を築いてもいい
ゆめのさんはその後、発達障害について調べる中で、
琴線に触れる表現と出会いました。
精神科医・本田秀夫さんの著書
『発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』
(SB新書)
に登場する一節です。
<「対人関係が苦手」という特性は、
「一般的な対人関係を築くのは得意ではないけれど、
別のやり方ならば対人関係を十分に築ける」
特性――『発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』>
例えば、大勢で会話するのが苦手な場合、
少人数でお茶を飲む機会を設けてみる。
たくさんの人と関わらねばならない仕事に抵抗があるなら、
在宅勤務や、極力一人で回せる業務に取り組む。
自分なりに最適解を導き出すことは可能なのです。
「ふつう」に執着せず、
「私」という主語を取り戻すことから始めてみる。
無理のない仕方で、対人関係を築いてもいい。
そう気付けたとき、
心にのしかかる重荷が消えたかのように、
開放的な気分になれたのでした。
「他の人と違う点」を前向きに捉える
発達障害の診断は、ゆめのさんにとって、
自分自身の特性を受け止めるきっかけになりました。
長年悩んできたコミュニケーションについても、
「自分らしく、ちょっとずつ進んでいこう」
と思えるようになったそうです。
一方で、発達障害の診断を受けずとも、他者との距離感が測りづらい、
といった困り事を抱える人はいるでしょう。
自分自身と、
家族や友人、知人の個性が衝突する場合もあるかもしれません。
こうしたケースを念頭に、ゆめのさんは、次のように話しました。
「『他の人と違う点』を前向きに認識し、自分に合った対人関係を、
無理なく築く。そのことが、誰しもに当てはまる、
生きやすさを得る手立てになるかもしれません」
◇
ゆめの:マンガ家。著書に『心を病んだ父、神さまを信じる母』(イースト・プレス)。
好きなことは寝ること。
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[YAHOOニュース]
発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち (SB新書) [ 本田 秀夫 ]
本田先生の著書に救われている当事者も多いのでしょうね。
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