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テーマ:障害者と共に生きる(141)
カテゴリ:介護
川崎市バスが障害者を「乗車拒否」 ネット大論争も、 これは“デジタル化”が生み出した新たな問題ではないか? デジタル時代に潜む新たなバリアーこの事例は、 デジタル化が新たな課題を浮き彫りにしている。 一見すると、運転手の認識不足が原因で 障害者が不利益を被ったように見えるが、 実際にはもっと複雑な問題が絡んでいる。 障害者はアプリの正しい使い方を十分に理解しておらず、 運転手もその誤りに気づきながら適切に説明できなかった。 こうした認識不足や コミュニケーションの問題が明らかになった。 この状況を思い出させるのが、 1977(昭和52)年の 「川崎バス闘争」 である。 川崎バス闘争では、 障害者の権利主張が 物理的なバリアーへの大きな転換点となった。 障害者がバスに乗る際の物理的障壁が問題視され、 障害者団体がバス会社に改善を求めた結果、 公共交通における障害者への配慮が進み、 社会的関心も高まった。 今でも日本の障害者運動を象徴する歴史的な出来事として位置づけられている。 今回の事例は、一見川崎バス闘争とは“異なる問題”に見えるが、実はデジタル化によって 「新たなバリアー」 が生まれているのだ。 このバリアーは、障害者だけでなく、 デジタルツールに不慣れなすべての人々にとって新たな障壁となっている。 スマホ保有率8割の裏に潜むデジタル格差スマートフォンが日常生活に欠かせない存在となった現代社会では、 公共サービスのデジタル化が急速に進んでいる。 しかし、その利便性を実際に享受している人は限られている。 総務省の『令和3年版情報通信白書』によれば、 2020年時点でスマートフォンの世帯保有率は8割以上に達し、 インターネット利用の主要な端末となっている。 しかし、この数字は同時に約2割の世帯が スマートフォンを保有していない現実も示している。 インターネット利用は一般的となったとはいえ、 2020年の利用率は83.4%、 スマートフォンによるインターネット利用率は68.3%だ。 つまり、日常に溶け込んでいるはずのインターネットを 利用していない人が 「2094万人」 もいる。 スマートフォンでインターネットを利用していない人は3999万人だ。 つまり、誰もが当たり前のように スマートフォンでサイトを見ているように見えるが、 実際には日本人の約3分の1がそうではない。 特に高齢者層では棒著だ。 内閣府の調査によれば、 70歳以上の高齢者でスマートフォンやタブレットを 「よく利用している」 と答えた人の割合はわずか24.3%にとどまる。 さらに、利用していない理由として ・自分の生活には必要ないと思っている(52.3%) ・どのように使えばよいかわからない(42.4%) という回答が多く、 デジタル技術に対する心理的な障壁が存在していることが 明らかになっている。 混乱を招いた窓口削減の実態多くの交通機関では、 利便性と効率化を図るためにアプリの開発を積極的に進めているが、 デジタル化の急速な進展は、 必ずしもスムーズに受け入れられていない。 利用者も交通機関側も、 新しいテクノロジーにまだ十分に対応できていないのが現状だ。 特に問題が棒著だったのが、 JR東日本の「みどりの窓口」削減による混乱だ。 もともとJR東日本は、 コロナ禍による旅客需要の減少やコスト削減の必要性から、 2025年までに管内の440駅にある窓口を1 40駅程度に減らす計画を進めていた。 窓口削減にともない、JR東日本は次の対策を取った。 ・オペレーターが切符購入をサポートする「話せる指定席券売機」の導入 ・ネットでの切符購入サービス「えきねっと」のリニューアル ・チケットレス化の促進 これらの削減措置はJR各社でも進められていたが、 SNSなどでは 「窓口が混雑するのではないか」 という声が早くから上がっていた。 新しい券売機は、 ネットでの購入に慣れていない人にとって使いにくく、 窓口の職員のように柔軟な対応も難しかった。 その結果 、利用者が減少したみどりの窓口に長い行列を作る事態となった。 特に2024年のゴールデンウィークにはこの問題が大きく表れ、 JR東日本は2024年5月8日に 窓口削減計画の凍結を発表することになった。 切符購入アプリが抱える利用者格差 |