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2024.08.14
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カテゴリ:介護






川崎市バスが障害者を「乗車拒否」 ネット大論争も、
これは“デジタル化”が生み出した新たな問題ではないか?



​デジタル時代に潜む新たなバリアー​


 この事例は、
デジタル化が新たな課題を浮き彫りにしている。

一見すると、運転手の認識不足が原因で
障害者が不利益を被ったように見えるが、
実際にはもっと複雑な問題が絡んでいる。  

障害者はアプリの正しい使い方を十分に理解しておらず、
運転手もその誤りに気づきながら適切に説明できなかった。

こうした認識不足や
コミュニケーションの問題が明らかになった。

この状況を思い出させるのが、
1977(昭和52)年の 「川崎バス闘争」 である


川崎バス闘争では、
障害者の権利主張が
物理的なバリアーへの大きな転換点となった。

障害者がバスに乗る際の物理的障壁が問題視され、
障害者団体がバス会社に改善を求めた結果、
公共交通における障害者への配慮が進み、
社会的関心も高まった。


 この闘争は、障害者が平等に生活するための権利を主張した重要な出来事であり、後のバリアフリー法の制定や公共交通の改善に大きく貢献した。

今でも日本の障害者運動を象徴する歴史的な出来事として位置づけられている。
 今回の事例は、一見川崎バス闘争とは“異なる問題”に見えるが、実はデジタル化によって 「新たなバリアー」
が生まれているのだ。
​​​
このバリアーは、障害者だけでなく、
デジタルツールに不慣れなすべての人々にとって新たな障壁となっている。

​​

​スマホ保有率8割の裏に潜むデジタル格差​


 スマートフォンが日常生活に欠かせない存在となった現代社会では、
公共サービスのデジタル化が急速に進んでいる。

しかし、その利便性を実際に享受している人は限られている。



総務省の『令和3年版情報通信白書』によれば、
2020年時点でスマートフォンの世帯保有率は8割以上に達し、
インターネット利用の主要な端末となっている。

しかし、この数字は同時に約2割の世帯が
スマートフォンを保有していない現実も示している。



インターネット利用は一般的となったとはいえ、
2020年の利用率は83.4%、
スマートフォンによるインターネット利用率は68.3%だ。

つまり、日常に溶け込んでいるはずのインターネットを
利用していない人が 「2094万人」 もいる。

スマートフォンでインターネットを利用していない人は3999万人だ。

つまり、誰もが当たり前のように
スマートフォンでサイトを見ているように見えるが、
実際には日本人の約3分の1がそうではない。

 特に高齢者層では棒著
だ。

内閣府の調査によれば、
70歳以上の高齢者でスマートフォンやタブレットを
「よく利用している」
と答えた人の割合はわずか24.3%にとどまる。

さらに、利用していない理由として
・自分の生活には必要ないと思っている(52.3%)
・どのように使えばよいかわからない(42.4%) という回答が多く、
デジタル技術に対する心理的な障壁が存在していることが
明らかになっている。




​混乱を招いた窓口削減の実態​


 多くの交通機関では、
利便性と効率化を図るためにアプリの開発を積極的に進めているが、
デジタル化の急速な進展は、
必ずしもスムーズに受け入れられていない。

利用者も交通機関側も、
新しいテクノロジーにまだ十分に対応できていないのが現状だ。


特に問題が棒著だったのが、
JR東日本の「みどりの窓口」削減による混乱だ。

もともとJR東日本は、
コロナ禍による旅客需要の減少やコスト削減の必要性から、
2025年までに管内の440駅にある窓口を1
40駅程度に減らす計画を進めていた。  

窓口削減にともない、JR東日本は次の対策を取った。

・オペレーターが切符購入をサポートする「話せる指定席券売機」の導入
・ネットでの切符購入サービス「えきねっと」のリニューアル
・チケットレス化の促進  

これらの削減措置はJR各社でも進められていたが、
SNSなどでは
「窓口が混雑するのではないか」
という声が早くから上がっていた。

新しい券売機は、
ネットでの購入に慣れていない人にとって使いにくく、
窓口の職員のように柔軟な対応も難しかった。

 その結果
、利用者が減少したみどりの窓口に長い行列を作る事態となった。

特に2024年のゴールデンウィークにはこの問題が大きく表れ、
JR東日本は2024年5月8日に
窓口削減計画の凍結を発表することになった。



切符購入アプリが抱える利用者格差

この事例から、
新しいテクノロジーの導入には、
利用者と現場スタッフの双方が
対応力を高めることが不可欠であることがわかる。

利用者と交通事業者の課題を整理すると、次のとおりだ。

●利用者側の課題
・デジタルリテラシーの差による利用の困難さ
・新しいシステムへの不慣れや抵抗感

●交通事業者の課題
・新システムの操作や説明に関する十分な訓練の不足
・急激な変更に対応するための準備期間の不足
・想定外のトラブルに対する柔軟な対応力の不足  

例えば、JR東日本の切符購入アプリ「えきねっと」は、
使いこなせば非常に便利だ。

特急券の指定席をスマートフォンで簡単に購入でき、
予定変更にも対応できる。

しかし、慣れていない人にとっては使いこなすのが難しい。

例えば、全国の在来線特急が購入できる一方で、
すべてがチケットレス対応ではなく、
JR東日本のエリア外では紙の切符を発券できない地域も多い。

旅行を年に数回しか利用しない人は、
複雑さに困って結局みどりの窓口で購入することになるだろう。

 利用者と事業者の双方がデジタルサービスに習熟すれば、
より便利で効率的なサービスの提供が可能になる。

そのため、今後もアプリの利用促進が求められる。

 しかし、これは想像以上に困難な作業だ。

前述の『令和3年版情報通信白書』によれば、
スマートフォンを持っていない人の割合は依然として高く、
さらにアプリを問題なく使いこなせる人は限られている。

多くの人が、
普段使い慣れているアプリ以外にはなかなかなじめないのが現状だ。



​直感的操作のUI設計​


アプリ開発では、
ユーザーインターフェイス
(UI)デザインが非常に重要だ。

最終的には、
誰でも見ただけで使い方が理解できるものが求められる。



 UIとは、ユーザーがコンピューターや
アプリとやり取りを行う際の接点や環境を指す。

具体的には、次の要素が含まれる。

●ビジュアルデザイン  色やフォント、
ボタン、
アイコンなどの視覚的要素で、
使いやすさや美しさを考慮して設計される。

●レイアウト  情報や機能の配置を決定し、
ユーザーが直感的に理解できるようにする。

●インタラクションデザイン  ユーザーがアプリや
ウェブサイトと対話する方法を設計し、
操作の流れをスムーズにする。

●フィードバック  ユーザーが操作を行ったときに、
アプリがどのように応答するかを示す要素。

例えば、
ボタンを押したときの色の変化や
メッセージの表示などがある。  

UIの目的は、ユーザーがシステムを簡単に理解し、
効率的に利用できるようにすることだ。
よいUIはユーザー体験(UX)を向上させ、
アプリやサービスへの満足度を高める。


 九州産業大学教授・藤井資子氏の論文
「DX時代におけるデジタル・デバイドの変遷:
インフラのデバイドからリテラシーのデバイドへ」
(『アドミニストレーション
』第29巻第2号)
では、
ブロードバンド環境が整備された現在、
解決すべき大きなデバイド
(ここでは、デジタル・デバイド=インターネットや
パソコン等の情報通信技術を利用できる者と
利用できない者との間に生じる格差)

「情報通信機器の
『最低限の利用に関するリテラシーの利用者間格差』」

だと指摘されている。

この課題に対処するためには、
年齢や身体的な条件、
デジタルリテラシーのレベルに関係なく、
誰でも使いやすいユニバーサルデザイン

取り入れることが欠かせない。  

便利なアプリを開発しても、
一気にデジタル化が進むわけではない。

JR東日本の例でも、
使いこなせるようになるまでに
かなりの時間がかかることが示されている。

特に、デジタルリテラシーが
異なる多様な人々が利用する公共交通では、
普及はさらに難しい。

 だからこそ、公共交通のデジタル化を進めるには、
利用者の多様性に配慮したシステム設計が不可欠だ。

また、全員がシステムを理解できるまで、
必要に応じて人的サポートを提供する体制も重要だろう。

 今回の川崎市での出来事は、
公共交通のデジタル面でのバリアフリー化が
いかに大切かを示している。

この問題を解決するには、交通事業者だけでなく、
利用者も学ぶ姿勢を持つことが求められる。



Merkmal


​[YAHOOニュース]​



デジタル社会に中々馴染めずに、苦慮している

高齢者や障害者が意外に多い事、

社会全体で認識しての歩み寄りが必要ですね。




















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Last updated  2024.09.16 17:01:42
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