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R わたしのブログ 徒然日記 山歩き

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2012.07.23
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 富士山は好きな山である。今年は,6月~7月にかけて4回登った。私が始めて富士山に登ったのは,20歳のとき,今から40年以上前のことである。このとき,すでに登山ツアーバスが運行されていた。朝,大阪を出発して,午後に富士吉田口五合目に着き,八合目まで登って小屋に泊まる。翌日は暗いうちに出発し,頂上でご来光を見て下山するという,今と変わらないスケジュールであった。当時も大勢の人が登っていた。
 
 当時の印象として,小屋付近のゴミの多さやし尿の放置処理のことが思い出される。その後,何度も登っているが,富士山の世界自然遺産登録への動きとも関わって,ここ10年ぐらいの間に,ゴミやし尿に対する環境整備と保全意識は格段に向上してきている。
 
 夏季の登山シーズンは2ヶ月間だけであるが,約30万人もの登山者が登りにやってくる。放出されるし尿の量はかなりのものである。近年まで,し尿処理のあり方が問題化しなかったのかというとそうではない。富士山は噴出した砂礫で覆われているため水の確保が難しいうえ,浄化槽の設置も困難であるため、汲み取りトイレにせざるを得なかった。その上,溜まったし尿を運び降ろすには費用がかかるため,小屋を閉めるときに放流せざるを得なかったのである。こうして,し尿の「白い川」がつくられたのである。

 そこで、市民の力で何とかできないかと立ち上がったのが、『富士山クラブ』である。バイオトイレの設置に取り組んだ。現在では,各小屋のトイレはバイオトイレになっている。『富士山クラブ』の取り組みと,『富士山クラブ宣言』を,以下に引用する。

 富士山クラブが2000~2002年度に実施した「富士山トイレ浄化プロジェクト」は、市民が作り上げた環境NPOによる、富士山のし尿処理問題の解決に向けての実践的・具体的な環境保全活動であった。行政に頼りがちで、問題の処理を先送りしがちな日本の環境保全問題の中では画期的なことであった。富士山クラブによる実証実験の結果を受けて、環境バイオトイレには環境省や県の補助金が出ることになった。いまや山小屋には環境バイオトイレが完備され、登山者は快適なトイレ環境を享受することができる。富士山の世界自然遺産への挑戦を挫折させた一因ともいわれた「白い川」問題はこうして過去のものとなったのである。(以上,引用)

富士山クラブ宣言
 私たちは、富士山が育んできた、水と緑と命をまもり、心の故郷(ふるさと)としての美しい富士山を、子どもたちに残していくために、活動を続けます。美しい富士山を、日本の誇るすばらしい宝として、後世に残していくために、富士山クラブは市民が中心となって、富士山の自然環境保護活動を行っていきます。
さらに具体的な行動指針として、2005年5月『富士山クラブ宣言』を制定、「水」・「緑」・「命」(生態系)をキーワードに、富士山の自然環境保護、保全、再生のための具体的なプロジェクトを進めていきます。

 こうした近年の環境保全への取り組み,世界自然遺産への挑戦の動きは,私個人の考えにも大きな影響を与えた。私は,モンブランにこれまでに3回登っている。一般ルートは,グーテ小屋に宿泊して登るが,ここのトイレは垂れ流しである。幅30cm,長さ3m程の雨樋のような,大便受けが,便所小屋から,山のがけに向けて突き出している。出した尿や大便は水と共に,がけ下に落下していく。がけを覗き込むと,そこは,うんこと紙の山になっている。22年前,初めてこの光景を見たとき,唖然とした。しかし,そのときは,これも仕方がないのかと思っただけであった。

 その後,18年前に,アメリカのレーニア山に登りに行ったとき,入山前のレクチャーで,密閉できるポリューションバッグ(pollution bag)を渡され,これにし尿を入れて持ち帰ることを約束させられた。さらに,山中は,歩くことができるトレールは限定されており,写真を撮りため,トレールを踏み外すと,レインジャーから大声で叱責された。このことは,環境保全に厳しく取り組んでいる姿を目の当たりできた貴重な経験となった。

 若い頃,日本では,クライマーの特権のように,幕営禁止を無視して,剣の“三の窓”にテントを張った。そこには,みんなが通う不潔で汚らしい“うんこ場”があったが,これもやむを得ないことだと,気にも留めていなかった。

 富士山だけの話ではない。山への環境意識は高まって来たのだろうか。今の入山者数は,オーバーユース状態となっている。山小屋のトイレのし尿処理はかなり進み,登山者の環境への意識は醸成されてきていると感じる。私自身,山開きをしていない時期に富士山に登るときのし尿処理をどうするのかという問題が,頭を悩ますようになった。このような意識を持ち始めて,せめてできていることと言えば,幕営しない(禁止されている),日帰り登山にする,途中のトイレは我慢する,これぐらいである。今後は,携帯トイレの携行も考えないといけないと思っている。震災を機に,携帯トイレが簡単に手に入るようになっている。

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最終更新日  2012.07.23 22:20:10
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