REGA(スイスエアレスキュー)
スイスの登山を行うときは必ずREGA(スイスエアレスキュー)に加入する。一人30スイスフランで誰でも加入できる。スイス在住の濱四津雅子さんが情報提供している。以下はREGAについて案内したホームページ、ブログ記事からの転載である。スイスに登山やハイキング、旅行に行く人は参考にして下さい。水難でも対応しています。以下に記事の内容を読みやすいようにまとめて転載します。 スイスのヘリコプター救急はREGAと呼ぶ民間の航空救助隊によっておこなわれている。国内13ヵ所の拠点にヘリコプターを配備、アルプスの山岳地帯でも、ごく一部を除いてはどこでも15分以内に医師をのせたヘリコプターが飛来する体制ができている。しかも、昼夜を問わずに出動するので、急峻な山岳国でありながら医療過疎の問題はほとんど解消された。 REGAの運営費は国民の寄付が基本である。スイスの人口720万人余のうち170万人以上(約23%)が1人30スイスフラン(約2,700円)を献金している。これらの人はREGAの「パトロン」と呼ばれ、急病、事故、遭難など身体的な危機におちいったときは、世界中どこにいても電話1本で医師が飛んでくる。それに要する費用は、パトロンに対しては請求されない。要するにパトロン制度は、年額30スイス・フランを保険料とする一種の事故保険の制度なのである。 REGAはヘリコプターに加えて、長航続性能を持つアンビュランス・ジェット3機を保有し、世界のどこでパトロンが病気になっても直ちに迎えにゆく仕組みになっている。時折り日本の空港へも飛来している姿を見かけることがある。 REGAの経費は、上記パトロンの寄付に加えて、医療保険も適用される。全経費の中に占めるパトロン寄付と保険収入の割合はおおむね半々である。患者への経費請求手順は、まず医療保険の請求となる。しかし患者が保険に加入していなくても、パトロンならば請求されない。パトロンでなければ患者個人に請求がゆく。しかし患者がその金額を払えないときは、回収不能として帳消しになる。 人命を左右するのは、現場の位置と状況を正確に伝えることと、一秒でも早い救助開始。最近は携帯電話からの救助要請が少しずつ増え、携帯電話の普及は迅速な救助隊の活動にも一役買っている。 スイスは湖畔や川沿いのキャンプ施設が充実し、余暇を過ごす家族連れにも人気だ。事故も増えるが、目立つのは、1人で水に入り溺れるケースだという。プールで溺死するということは、まずない。周りに助けてくれる人がいる上、監視員もいるからだ。しかし、「1人きりで川や湖で泳いだりボートに乗ることは避けるべきだ。万が一のときに、誰も気づかず、救助すら呼べない」と助言するのは、「スイス人命救助協会(Schweizerische Lebensrettungs-gesellschaft SLRG)」の広報担当プリスカ・ヴォルフェンスベルガー氏だ。多い年で90人近くが、溺れて命を落とすという。 しかし、スイスの夏に多いのはやはり山の事故。山岳救助というと雪山を想像しがちだが、実際は夏の登山者の救助件数の方が圧倒的に多い。「スイス事故防止事務局」によると、山で事故に遭う人の約半数が7月から9月の3カ月間に集中しており、ハイキングや登山での事故件数はスキーなどの約3倍に上る。 また、登山は年々人気が高まっているが、余裕のない計画や不十分な装備で山に出かける人も増えているという。2000年に5500件だった事故件数は、2009年には9000件と激増している。 その一方で、中には「けがなし」の救助もある。事故防止事務局によると、疲労で動けなくなったため、あるいは暗くなり先に進めなくなったために救助を要請するという人が例年500人前後いる。緊急性がなく野宿が可能なら、保温して夜明けを待つように指示するケースも、夏には多々あるという。 反対に緊急を要する事故で多いのが「滑落事故」だ。アルプス山脈とジュラ山脈では毎年1000人から1100人が滑落事故で救助されており、やはり夏の3カ月間に多い。 このように山で万が一事故に遭遇したときの頼みの綱は、「スイスアルペン救助隊(ARS/SAS)」や「ヴァリス州救助隊(KWRO)」といった山岳救助隊や、ヘリで出動して空からの救助を行う「レガ航空救助隊(REGA )」だ。こうした団体は協力体制にあり、陸路で現場に到着した救助隊が、現場の判断でレガのレスキュー・ヘリを要請することも多い。しかし、個人で直接レガに救助を求めることもできる。 レガ広報担当のアリアン・ギュンゲリッヒ氏は、「緊急事態を知らせる人から電話があれば、基本的にはすぐにレスキュー・ヘリを向かわせる」と言い、「救助要請から15分以内の現場到着を目指しているが、特に生命にかかわる事故の場合は、一秒でも早く救助を開始することが重要だ」と強調する。 レガの指令センターでは、現場の特定やけが人の状態などを聞き取り、適切な装備を指示し、準備を整えて医師と救助隊員がヘリに乗り込む。 例えば、アイガー北壁での滑落事故で、常設の90メートルのウィンチ(巻揚げ機)では長さが足りないことが分かり、200メートルのロングラインをヘリ胴体部に設置してから出動したことがあった。「一秒を争う中で、正確な情報が人命を左右する」とギュンゲリッヒ氏は語る。とはいえ、緊急事態にあって自分の位置を正確に言える人はあまりいないという。 REGAは、2010年2月に多機能携帯電話のアイフォンのアプリケーション「アイ・レガ(iRega)」を導入した。この新通報システムでは、アイフォンの通信圏内にいれば、わずか2回のタッチ操作でレガの指令センターとの通話を開始することができる。それと同時に、アプリケーションが位置情報や個人情報などのデータを自動送信する。「我々が電話で確認すべき内容を利用者があらかじめアプリに入力しておくことで、指令センターでの情報処理からヘリ出動までの所要時間がかなり短縮される」とギュンゲリッヒ氏はアイ・レガの効果を説明する。 これまですでに27万5000人がこのアプリをダウンロードしている。「実は、これほど多くの利用があるとは予想していなかった」が、導入直後からアイ・レガによる救助要請があり、効果を上げている。 例えば、雪山でけがをして動けなくなった人の同行者が、アイ・レガで救助を要請。現場は通信状態が悪く、通話は不可能だったが、かろうじて位置情報などのデータだけが送信された。そのおかげで、即座にレスキュー・ヘリが向かい、けが人をウィンチで引き揚げ救助することができた。「通常の携帯電話では、通報すら困難だっただろう」とギュンゲリッヒ氏は話す。レガはそうした成果も踏まえ、アイフォン以外のスマートフォン(多機能携帯電話)などでも同様の機能が利用できるよう開発を進めており、早ければ2011年内にも実現する見込みだ。以上 こちもクリックをよろしく