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アルパカ日記

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2007年03月24日
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カテゴリ:教育

自分の仕事の一部に、実習生の相手をするのも業務に組み込まれている。毎年、二十歳そこそこの学生さんと顔を合わす訳だ。


報酬もなくボランティアでやってるので(病院には実習費という形で収入があるらしい)、
やる気を維持するが大変だが(無報酬でやさられるのはアホらしい)、一種の定点観測だと思って続けている。(何か楽しみを見つけないとね)



技術職と言っても、国家資格の裏付けがあるから人気が高い。



で、いつも心がけている事がある。

医療技術は日進月歩だから、つい先端技術を教えたくなってしまうのだが、高校生に毛が生えたような若者に対し、社会に出る事の意味を語りかけるように努めている。

今までの人生の中で、サービスを一方的に受けてきた若者達。

それが資格を取り、社会に出ればサービスを供給する立場に転換する。

この変化は思いの外大きい

物見遊山で、実習に臨む若者達にとって、アルパカの言う話は面食らうモノらしい。(実習生を混乱させてどうするってツッコミはなしで)

学生達も一昔、二昔前の連中と比べてみると、明らかに毛色が変わって来ている。

サービスを受けるのが当然と考える傾向が強くなってきているのだ。


実習に来ているのだから、「教えて貰うのが当然」と考えてる連中の割合が高くなっている。

そこで「さるかに合戦」の話をするのだが・・・・

「さるかに合戦ってなんですか」と来る、前のエントリーでちょっと確認をお願いしたのは、コレが自分の身の回りだけの話じゃなく、日本国中の傾向かどうか知りたかったからなんです。

昔話が連綿と語り続けられてきた裏には、子供達に対する道徳教育の側面があったはずだ。

舌切り雀、金の斧銀の斧、洋の東西を問わず、無欲であれと言う願いが込められているし、かちかち山、花さか爺さん、悪行には報いが、善行には幸福が来る事を織り込んで語られてきた。
(”のだめカンタービレ”の影響で、金の斧・銀の斧の話は我が家では間違って伝わっている)

善悪の区別が付かない子供達に、昔話の形で染み込ませる合理的な方法だからこそ、長い間受け継がれてきたはずだ。

自分の子供のような実習生と話のきっかけを作るには、有名な昔話を使うのは理にかなった事だと思うが、最近その手が通じない。

まず、さるかに合戦のあらすじから話を始める必要がある。

おにぎりを持っていた蟹が、猿に言いくるめられて柿の種と交換する(柿の種は越後の銘菓じゃなく、果物の柿な)
蟹は種から柿を育て、いよいよ収穫しようとした時、木に登れないために猿に収穫を依頼するが、猿は自分ばかり柿を食べ、蟹には食べられない青い実を投げつける、猿の乱暴狼藉に怒った連中が復讐を果たす。

「さるかに合戦」の話をしてから、実習生に聞いて見る。

「さるとかにどっちが悪い?」と結局この話の裏にも勧善懲悪があるから、猿が悪いに決まっている。

ガッカリするのは、単純な話でもなかなか結論が出てこない、試験されていると考えて正解を出そうと苦労している様子がありありと見て取れる。

もっとも、何か命題が出された時、どんな反応するのか、ツッコミ力があるかどうか見てる訳なんだが、猿が悪いと言ってくれるのは及第点で、困るのはそのまま固まってしまう連中が多すぎる事だ。

時間は無限に無いので、仕方なく話を進めるのだが、さるかに合戦で悪いのは蟹に決まっている。

柿の収穫という一番大事な事を猿に委ねる。

立派な柿の木に育てる努力しようとも、収穫を疎かにしては台無しなんである。

木登りが苦手だろうが何だろうが、必死で取り入れしなくてはならない

見事に実習生諸君の姿勢と重なるのである。

二十数年間、勉学に勤しんできても、何か答えを求められた時、(アルパカの下らない質問でも、患者さんからの真摯な訴えでも)即座に対応出来なければ意味がない。

幾ら今まで努力したと言っても、仕事上でその知識を生かした解決策を即座に出せなければ意味がない。

社会に出て就職した時、患者さんや医師をはじめとするスタッフからの要求に即座に対応出来るか、まさしく収穫の部分で、ぐずぐず時間を掛けたり、人に頼ったりするのは間抜けな蟹ではないか。

教室と違い、実社会では完璧な答えなど有り得ない。

正解に近いか、少なくとも間違いでない答えを出していく必要がある。

生まれてから、ずっと正解のみを求められてきた連中にとって、アルパカの出す問いは厄介で、出来れば関わらずに済ませたいと考えるのは良く判る。


ウチの職場では実習生の自主性に任せているから、避けようとすれば避けられる。

実習生の間では担当者の評判は共有されているから、先入観バリバリで来るんである。

素直でソツはないのだが、全然面白味がない。

まるでロボットを相手にしているようだ、命令通りに動くロボットならまだ、それなりに対処出来るのだが、最近の傾向として、根拠のない自信に裏打ちされたロボットが増えている。

平気で危ない事をするから目が離せないし、注意すると固まって始末に負えない、ロボットではなく、ボロット

ボロットである事を気付かない連中に、社会に出る前にそのことを自覚させる仕組みが欲しい。

繰り返しになるが今まで、サービスを受ける一方だった諸君、卒業したからには自ら社会を構成する一員として、今度はサービスを供給する立場に立たなくてはならない。

そのことを肝に銘じ、蛹が蝶に変身するように今までの自分を脱ぎ捨て、社会に飛び立って貰いたい。

卒業シーズンの今、学校をさる諸君に言いたいかに。






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最終更新日  2007年03月24日 10時05分15秒
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