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2007.07.21
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カテゴリ:アラビア語
私の大学の入学当時のアラビア語科の主任教授は伴康哉先生で、4年間主任教授でした。

伴教授は手書きのプリントを授業ごとに数枚持ってきて、それを訳しながら進める形式でした。非常に丁寧にきっちり書かれた手書きのアラビア文字は、一糸乱れず、淡々とした文字でした。
授業内容は、初期のうちはそれ程難しくはなかったのですが、ある程度文法が進むと、急に難しくなり、引用される例文もHans Wehrの辞書には載っていない単語や意味がバンバン(洒落?)出てくるようになりました。
「先生、この単語はどういう意味ですか?」と聞いたところ、「この単語の意味は、Hans Wehrには載っていません。○○というアラ-アラ辞典を見れば3番目ぐらいに載っています。」とこともなげに言われます。まだ1年生で、辞書も満足に引けない生徒に対し、何と恐ろしいことを言う先生かと思いました。

一言で言うと非常に学究肌で、少し取っつきにくい、気むずかしそうな感じに見えた先生でした。いつも勉強ばかりしている雰囲気があり、無駄口は叩かず、最小限の言葉しか発しませんでした。また、非常に難しい説明をさらりとされるので、呆気にとられることはしばしばありました。1年や2年のアラビア語などは簡単すぎてどうしようも無かったのでしょうか、いつも軽めの短い小話的な読み物を持って来られました。生徒たちは説明を聞いてもどこが面白いのかポカンとしていましたが、先生は一人にやりとして『このオチがわからんのか』と言いたげな顔をしながら、授業を淡々と進めて行きました。

一日に単語を100個ずつ憶えていたというエピソードがあり、生徒の一人が、「それは本当ですか?」と聞いたところ、「いろいろな言葉を勉強していたので、そんな時期もありました」と特に否定しないところが凄く、みんな「やっぱりそうか。」と納得したものでした。

古典語も精通されており、アッカド語やアラム語の授業もありました。もちろん、必修ではなく、研究語学と呼び、別に取っても単位にならない授業で外大生なら誰でも受講できる科目でしたが、受講条件として、“アラビア語が理解できること”とサラッと書かれていました。余り恐ろしく難しそうな授業だったので出席したことはありませんでしたが、授業として成立していたのか分かりません。多分、院生が受講していたのだと思いますが。

出席者が少ない夏の授業の時には、先生は、「今日は外の喫茶店で授業をしましょう。」と言って、当時大学のすぐそばにあった喫茶店に入り、小一時間、教室でやるのとほとんど同じ形態で講義をしました。もちろん、飲み物代は先生持ちです。当時は教室に、当然のことながら、エアコンなんが付いていませんでしたので、涼みがてら喫茶店で授業をおこなったのです。午後3時ごろにあたるコマには、運がよければ、その特別授業に当たることもありました。生徒はレイコー(関西人に聞いてください)やコールティー(関西人に聞いてください)を飲みながら、大人しく、理解できないアラビア語を聞いていました。

試験問題はだいたい纏まった短文が出題され、時間内に翻訳せよというものでした。辞書を使ってもOKということで試験時間中に皆、うんうん言いながら答案用紙に書いていると、突然、「ちょっと私は30分ほど外出します」と言われて教室から本当に姿を消します。すると、当然一番よくできる奴に皆、回答を聞きに集まります。そこそこ写し終わったあと、先生は普通に教室に何事もなかったように戻って来られます。生徒たちも、さすがに後ろめたいので、同じような回答ではまずいとばかり、多少化粧を施します。
ある意味、頭の悪い生徒には優しい先生で、出来れば早く4年でさっさと卒業して欲しいということがありありと分かりました。どうしても最低点が取れない生徒には追試も3回ぐらいはありました。

ただ、大学院に残って勉強しようとする人にはかなり厳しかったようです。“この古詩にシャクル(母音符号)を打って、和訳せよ。”というような難問が出され、なかなか大変だったようです。アラビア語の古詩はいくつかのパターンを知っていなければならず、文ごとにリズムがあり、また単語も古語ですから、Hans Wehrでは手に負えない単語ばかりですし、当時の風俗、習慣も知っていないと分からないものもありました。ちらりと大学に残ろうかと思った私も1秒であきらめた程です。

主任教授ですので、卒論は伴教授に提出する必要がありました。私は、『黄金の牧場(mauju adh-dhahabi)』という、有名なアラブの逸話集の中から、ヘビに関係する一編を翻訳したものを提出しました。1月中ごろ提出した後、何か口頭試問でもあるのかと冷や冷やして待っていました。ところが、特に呼び出しもなく、そのうちに4年生の追い出しコンパの日になってしまいました。4年生は当然全員このコンパに出席します。そして一人が、「卒論の結果はどうなりましたか?」と先生に恐る恐る聞いたところ、「今日この宴会に出席された方は卒論に全員合格しましたので、思いっきり飲んで下さい。」と宣言されました。皆、呆気にとられながらも、よかった、よかったと言いながら飲んだくれました。そうです、伴先生は出来の良くない生徒には優しいことを再度証明してくれました。

私に初めてアラビア書道を見せて頂いたのは伴先生でした。
大学4年の卒業前に就職したことの報告とご挨拶のため、お住まいの大学の官舎にお伺いしました。授業中はほとんど世俗的な会話したことがなかったので、その時も、アラビア語の話ばかりになってしまいました。そのうちに、ネタ切れとなり、先生も少し、気まずいと思ったのかも知れませんが、当時東京芸術大学・吉田左源二教授のアラビア書道の本をゴソゴソと出して見せてくれました。
アラビア書道という芸術がアラブにあるということは、ひょっとしたら授業中の睡眠中にお話されたかも知れませんが、全く記憶になく、その時初めて、アラビア語にもアラビア書道という分野があるのだと知った次第でした。その吉田左源二先生の書道は、いわゆる正式な書道ではなく、日本の毛筆でアラビア文字を書いていたものでしたので、『アラビア文字を毛筆で書く芸術もあるのだな~』と思った程度でした。

インターネットで“伴康哉”と調べても、中公新書版のコーランの翻訳で共著の一人として引っ掛かってくるくらいしかありません。基本的に辞書や一般受けするような本などには余り携わっていなかったようでした。というより、もっと高度でかつ、難解なことをやることが好きな先生でした。更に、なるべく人がやらないことを勉強するのが好きなようにも見えました。そんな下らんことをやる暇があるのなら、もっともっと難しいことをやるよという雰囲気がプンプンしていました。

伴先生は、大阪外国語大学の前身である、大阪外国語学校印度語部を1939年に卒業され、改めて、大阪外事専門学校のアラビア科を1945年か1946年に卒業されています。1945年か1946年のどちらか分からないのは終戦があったためで名簿にも1945年・1945年卒業となっています。また、ペルシア語科の沿革を見ると、1961年にペルシア語の兼担・伴康哉という文字が見えるので、ペルシア語も堪能だったことが分かります。
外大を退官された後、四天王寺国際仏教大学に移られ、現在は名古屋で悠々自適(?)のはずで、年賀状のみの交換になっています。

伴先生のお名前は正式にどのように発音するのか分からなかったので、学生時代に伴先生のお名前は“こうや”と発音するのですかと本人に聞いたところ、「よく間違えられるのです。」と言われたきり、何もおっしゃらず、私もそれ以上聞き返さなかったため、正解はいまでもよく分かりません。そろそろまた聞いてみようかと思います。






最終更新日  2007.07.23 02:01:27
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Re:私的アラビア語こと始め(その3)(07/21)   tmk21515  さん
伴先生のことを知りたくて アラビア文化 伴先生などで検索してこちらを見つけました。その他のサイトから先生が数年前に亡くなられたこともわかりました。それでも随分と長生きされたのですね。楽天ブログは初めてであなたの自己紹介のところなどどうやって見るのかがわかりませんが、伴先生のお話がわかりとても嬉しく思いました。ありがとうございました。 (2018.04.06 22:29:12)


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