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アラビア書道とその周辺

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2007.09.29
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カテゴリ:イスラム
サウジアラビアでのラマダンでの出来事です。

困ったことは、ラマダン月はいつから始まるのかはっきりしないことです。あくまで新月が見えるかどうかを、さる決定機関が決めるため、暦上ではラマダンになるはずと思っても、その決定がなされない限りラマダンが始まりません。また国によってもまちまちで、サウジアラビアではラマダン月が始まったが、マレーシアではまだということがあります。サウジアラビアではいつもお天気が良いので新月の確認は問題ないのですが、マレーシアあたりだと天気が悪くて確認できないこともあります。その時は、他の国に国際電話して確認するそうです。

サウジアラビアに駐在していた時、ある朝事務所に行ってみるとラマダンが始まっており、慌てて仕事のシフトを変更したことがあります。つまり、ラマダン月が始まると、勤務時間を朝8:00~12:00、16:00~20:00と夜型にします(現在は違うようですが)。

運転手や現地スタッフも朝から力なくしているので、余り遠出をしたり、ややこしい案件を担当させたりしないよう気をつける必要があります。特に午後の就業時間は空腹と渇きの絶頂を迎え最悪な状態なので、気を付けていました。というより日本人だけが仕事をしていた感じです。
また、お客さんのところに行っても、覇気がなく、余り重要な商談をすることができず、通り一遍の挨拶だけで終わってしまいます。お客によっては、夜の9時ごろ来てくれと言われます。何かいい話でも聞けるのかと、いそいそとその時間に出かけて行くと、朝とはうって変わって元気なお客さんは、デーツ(なつめやし)や砂糖の塊のような甘~いお菓子を山のように振る舞ってくれます。そして、まあ一杯やれとまた甘~い紅茶やペプシを出してくれます。それで商談に入るかと思えば、そんなこともなく、やたら友達と称する人間がわさわさと入れ替わり立ち替わり現れ、仕事の話なんぞするスキもなく、何となく終わってトボトボと帰ってしまうのがオチです。

ムスリムではない日本人はラマダンでも食事をしますが、昼食はレストランが開いていないので、駐在員は家に帰ってから食べます。出張者は街中のレストランやホテルのレストランも開いていませんので、前日スーパーで買って固くなったパンか、ルームサービスを頼んで、部屋でコソコソと食べるしかありません。

また、ラマダン期間中はお客さんによっては海外に行ってしまうこともあります。ラマダンが始まると出国便はかなり混み合います。旅行中はラマダンしなくても構わないというルールがあるからかも知れませんが(もちろん厳格な方は旅行中でも守ります)。
あるラマダンになる前の日、旅行代理店のカウンターで、大声で「どこでも良いから海外に出る便は空いていないか」と怒鳴っている親父を見たことがあります。

事務所に来客があった場合、通常はお茶を出すのですが、「ラマダンですので、お飲物は出せませんが、ご了承下さい。」と言ってお茶も出しません。またラマダン中はタバコを吸うのも禁じられています。しかたなく、トイレや応接室に閉じこもり鍵を閉めて吸ったりしなければなりません。また吸った後は痕跡が残らぬよう、換気扇を回したり、窓を開けて空気を入れ換えたりしなければならず、スモーカーは中学生のような行為をせねばならず大変です。ある日本人駐在員事務所で、ラマダン中タバコを吸っていたと、現地スタッフにより当局に通報され、所長が偉く叱られたという話もありました。

ラマダン月が終わるのも確認ですので、日にちがはっきりしません。事務所に朝行ってみると、運転手や現地スタッフが誰も来ていないので分かったこともあります。ラマダン月が終われば1週間程度の休みになっていたため、誰も来ないのです。
こちらは肩すかしのようになって仕方なく、日本に今日からラマダン休みに入りますので、返事は遅れますとだけ、テレックスを打って、家に帰ります。

日本人でも真面目なムスリムはラマダンを日本国内でも守っています。初めてそのムスリムの方にお会いしたのは、22年前仕事の打ち合わせをした時で、真夏だったのですが、非常につらそうに見えました。どこか調子がお悪いのですかとお聞きしたところ、その方が、今ラマダン中ですので、と答えられました。私が、ラマダンの意味を知っていると分かっておられたから、そう答えられたのでしょうが、知らない人ならはっ?と怪訝な顔をされたと思います(説明するのも困ったでしょうが)。その方こそ、「イスラームの常識がわかる小事典」、「預言者ムハンマド」などの著者でアラビア語の同時通訳者、東洋大学非常勤講師なども務められている鈴木紘司さんでした。

最近では日本でもラマダンの意味もかなり理解されるようになりました。それでも、私はラマダン中ですとカミングアウト(?)するのは少し勇気がいると思います。

(日本アラビア書道協会 http://alqalam.jp)

ラマダン・カリーム(ナスヒー書体)





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最終更新日  2007.09.30 15:06:15
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