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カテゴリ:映画
2月13日に國際書道連盟展の搬入作業が終わった後、映画に行きました。
ちょっと珍しいレバノンの映画で「キャラメル」という題名です。 ベイルートのとある美容室兼エステサロンの女性たちとその周り女性たちの話です。それぞれの女性にはそれぞれの事情があり、それぞれの話が同時進行します。 一人は、不倫をしており、誕生日祝いをわざわざホテルの部屋を借りて演出するもすっぽかされ、結局相手は家庭を取ってしまう。ところがある日その不倫相手の妻が偶然その美容室の無料体験にやってくる。妻の方はその美容室に不倫相手がいることを知らない。一方、彼女の方は知っている。そして彼女はその妻に嫉妬を抱きながら小さな小さな復讐をする... 一人は、結婚間近で皆に祝福されているが一つ大きな心配事がある。実は彼女は処女ではない。そこで美容室仲間たちが協力してある方法を敢行する... 一人はその美容室の常連客。家庭をもち、子どもがいるが、旦那は浮気をして恋人と旅行へ。昔昼メロの主演もしたことがある彼女は若い娘に交じって一生懸命オーディションを受けるも.... 一人はその美容室の責任者。ある日、美人のお客がやって来る。そしてその後もしばしば来るようになる。どうも彼女が目当てらしい... 一人は美容室の近くに住んでいる仕立屋のもう若くない女。同居している姉がすっかり惚けてしまって変な行動ばかりしている。ところがある日、仕立てを頼んできたフランス人老紳士(?)がどうも彼女を気に入ったようで、彼女を食事に誘う。彼女も満更ではなく、久しぶりに美容室で髪をセットしてもらい、出かけようとするが.... 何かフランス映画の男と女のように見えます。会話も何となくユーモアに満ちていますが、そこはベイルートの街角です。彼女たちは少しフランス語風なレバノン訛りのアラビア語を話しています。そして、アラブコーヒーでコーヒー占いをする話があったり、結婚した花嫁が処女であることを証明するため、ハトの血を使うという話があったり、女性一人がホテルを借りるのに結婚証明書のようなものが必要だったりというエピソードがでてきます。 この映画の原題は"sukkar banaat"で文字通りでは”娘たちのキャンディ(砂糖)”です。 邦題に「キャラメル」とあるのは、あのお菓子のキャラメルではなく、砂糖を焦がした”カラメル”の方で、美容師たちが脱毛にそれを使っていることから出たようです。 アラブ映画はそれ程多く見ないのですが、この「キャラメル」はかなり質の高い映画だと思います。何も言われなければフランス映画かなと思う雰囲気さえもあります。美容室とその周辺の女性たちがバラバラにそれぞれの問題を抱え、それにより彼女たちに起こる小さな事件を、特に大きなハプニングもなく、淡々とそして少しユーモラスに描いています。 96分の映画ですがかなり短く感じます。映画の挿入音楽もアラブ風ではなく、物憂げな感じで、特にメインテーマの部分ではツィンバロム(もしくは、サントゥール?)を使ったジプシー風な感じで、なかなかお気に入りです。 2008年のアカデミー賞、レバノン代表作品、監督は主演でもあるナディーン・ラバキーという女性です。 日本アラビア書道協会 e-mail: jaca@alqalam.jp HP: http://alqalam.jp スッカル・バナート(”キャラメル”の原題。ディーワーニ書体) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009.02.15 14:22:12
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