アラビア書道とその周辺

2020/05/22(金)21:01

盗むならラクダを

アラビア書道(727)

今日も、エバ・ハッサンさんの「アラブのことわざ×日本」から取ってみました。  إِنْ سَرَقْتَ ٱسْرَقْ جَمَلًا ,وَإِنْ عَشِقْتَ ٱعْشَقْ قَمَرًا (イン サラクタ (イ)スラク ジャマラン ワ・イン アシクタ (イ)ウシャク カマラン) 意味は「盗むならラクダを、恋に落ちるなら月を」 エバさんの解説には、「善であることでも悪であることでも、思いっきりやれ!」という意味ですとあります。盗むなら一番価値のあるラクダを、女性を好きになるなら高嶺の花を狙えということでしょうか。 現代ではラクダは余り重要でない動物になってしまいました。 せいぜい食肉用ぐらいしか用途がなさそうです。また動物園の展示や鳥取砂丘などでの記念撮影用ぐらいです。 その肉も、以前食べたことがありますが、大変固く、なかなかナイフで切れず、また脂身も余りないのでパサパサで美味しくありません。乳もスーパーで売っていたりしますが、乳脂肪分が少なくコクがなく、水っぽい感じです。このためか、健康食品的な分野では多少売れているようですが。 昔は隊商用の非常に重要な動物でした。自動車のない時代、ラクダは胡椒など高価な荷物を背負い、水が少ない砂漠を横断するため使われた非常に重要な動物でした。またハッジ(巡礼の儀式)が終われば、お金持ちはラクダを屠り、貧しい人に施しをするための動物でもありました。アラビア語のジャミール(美しい)がジャマルと同じ語根なのも関係あるかも知れません。 盗人でもそんな大事な動物を盗むのはかなり覚悟がいったと思います。 月もアラブ人にとっては非常に大事な星です。何と言ってもイスラム暦の基準が月の満ち欠けです。また、夜砂漠を歩く時には、貴重な明かりでもあります。 このことわざでは月は美女を表しています。日本でもまた、衛星の意味も有り、 قَمَرٌ صِنَاعِيٌّ カマル スィナーイーと言うと人工衛星という意味になったりします。ついでながら、جُزُرُ الْقَمَرِ ジュズル (ア)ル・カマルと言うとアフリカの南にあるコモロ諸島を表します。 ということで今日はルクア書体で。

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