2021/07/12(月)02:20
オーケストラてんこ盛り曲対決!!~ザ・ビートルズ VS イエス
こんにちは、アルヴィンです。
今日は、ロック・ミュージックにおけるオーケストラてんこ盛り対決について紹介しましょう!
2枚のアルバムを紹介しよう。
『レット・イット・ビー』 ザ・ビートルズ
『時間と言葉』イエス
双方とも、イギリスのバンドで1970年にリリースされたという共通点がある。
まずは、『レット・イット・ビー』 ザ・ビートルズ
ザ・ビートルズのラスト・アルバム(正確に表現すると、最後に発売されたアルバムであって、最後にレコーディングされたアルバムではない。)で、本国イギリスでは12枚目のアルバムである。
このアルバムには、「レット・イット・ビー」「ゲット・バック」といった名曲が収録されているのだが、本アルバムの2大名曲はスルーして、3番手の名曲①「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」にスポットを当ててみよう。
次に、『時間と言葉』イエス
イエスのセカンド・アルバムで、まだのちの「プログレッシブ・ロック」というサウンドが確立していない頃の作品だ。
こちらは、オープニングの②「チャンスも経験もいらない」
この2曲について解説してみたい。
この2曲の共通点は、オーケストラてんこ盛りであることだ。
①「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」ザ・ビートルズ
「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」はもともと、ポール・マッカートニーがピアノでの弾き語り風のバラードをイメージして書いた。
この時にレコーディングされた本曲を含むアルバム収録曲は、メンバーがその出来に満足せずしばらくの間放置されていた。
その間に『アビイ・ロード』が先行して発売されていた。
このビートルズの活動末期になると、メンバーの仲も険悪度MAXになっており、充分にコミュニーケートできない状態になっていた。
その後、放置されていた多数の曲はプロデューサーのフィル・スペクターにより選曲&アレンジされ、見事に生まれ変わるのだが、そんな折、ジョン・レノンがフィル・スペクターへプロデュースを依頼し、『レット・イット・ビー』というアルバムを完成させた。
「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」「レット・イット・ビー」「アイ・ミー・マイン」などにオーケストラアレンジを施したのだった。
ところが、アルバム『レット・イット・ビー』が発売され、本曲のアレンジのことは何も聞かされておらず、勝手に曲をいじくりまわされたポールは曲を聴いて激怒。
以降、「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」にはオーケストラが必要か否かが評論家やファンの間で長年議論されることとなった。
その後、1996年に海賊版を除く公式アルバムとして未発表バージョン集『ザ・ビートルズ・アンソロジー3』に初めてオーケストラ無しバージョンの「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」が収録された。
そして、この問題に一応の決着を見たのが、2003年。
アルバム『レット・イット・ビー...ネイキッド』が発売され、オーバー・ダビングされたオーケストラ、コーラス、雑談などは全てカットされた素のままの楽曲が披露された。
どちらが良いか?
これはもう好みの問題だろうね。
小生はオーケストラ有or無バージョンは全く別ものの曲として捉えて聴いている。
双方の魅力は余りあるものだが、どちらかと言えば、第一印象+長く聴いていたおなじみのバージョンということで、オーケストラ有りに軍配を上げるかな!?
②「チャンスも経験もいらない」イエス
「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」がオーケストラてんこ盛りの王道であるならば、こちらは鬼気迫ったオーケストラてんこ盛りである。
何故ならば、本曲にオーケストラがてんこ盛りされているのは、嫌がらせが目的だったからである。
イエスのギタリスト、ピーター・バンクスを解雇しようとしていたプロデューサーのトニー・コルトンが、ピーター・バンクスのギター・パートに過剰なオーケストラアレンジを被せた。
アルバム『時間と言葉』全体にオーケストラ・アレンジは施されているので、シンフォニックなアルバムという印象があるが、とりわけオープニングの「チャンスも経験もいらない」はオーケストラの被せ方が尋常でない。
ギター・パートはワウワウ・ペダルを使用したギター・ソロや一部のフレーズのみ申し訳程度に残し、あとは「これでもか!」「これでもか!」というくらい上塗りされた繰り返しのオーケストラのフレーズの連発に悪意さえ感じてしまう!
バンドやプロデュース側にも事情があったと思うのだが、このような卑劣なやり方は許されるものではない。
日本の企業でも似たような手口でリストラを行なうところもまだまだ健在であろう。
解雇を目的とした嫌がらせの手口は、古今東西変わらぬものなのだなあとつくづく感じさせるのが、この曲を聴くたびに感じることである。
そんでもって、両者のてんこ盛り対決は、
王道の優雅さでザ・ビートルズの「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」
尋常ではない鬼気度でイエスの「チャンスも経験もいらない」
に軍配が上がる!
両者引き分けというところだな!
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