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カテゴリ:少女マンガ
白泉社 花とゆめコミックス
「京&一平シリーズ」30巻目です。

アパートのダブルブッキングがきっかけで同居するようになったK大医学生の桜小路京とK大生の山田一平。一平が家庭教師をしている少女の父が亡くなったことから、二人は事件に巻き込まれ・・・
という「桜屋敷の殺人」をはじめとする推理モノの短編集です。

美貌だが冷たい雰囲気だった京が、おおらかな一平の影響でだんだだん人間味が出てきます。単なる学生2人の推理モノというよりも、犯罪を通して人の心を書いた漫画だと思います。

今回は「迷宮・僕たちに翼はない」「迷宮・緑の世界」「鱗迷宮ー竜宮邸の殺人ー」の3編と次回予告編ともいえる「Well met!」の計4編です。

いつも思うのですが、このシリーズには心優しき犯罪者が多く登場してきます。扱う事件は殺人事件が多いのですが、被害者よりも加害者の方がかわいそうになってしまうような展開が多いように思います。そういう意味では、連載している「別冊花とゆめ」の読者層をどの辺の年代に想定してあるか知りませんが、中高生よりももっと上の年代、ある程度人生経験のある世代の方におすすめです。

「そのとおりだ。君は正しい。もし君の目の前で姉さんが誰かに殺されても、君は冷静に犯人を制して警察を呼ぶのだろう。非のうちどころのない最も正しい判断だ」と京が言うセリフがあります。
そう、基本はこれなんです。それを十分分かった上で、「でもね」と続けることになる。

やられたからといって、勝手にやりかえしたら無法状態になってしまう。かといって、目の前にいる犯人を許しておけない気持ち。正解がない想いが哀しい話です。

京も一平も素人探偵です。だから必ずしも警察と同じ立場ではない。長いシリーズの中には、推理としては解決しながらも、警察に言わないでおく事件もありました。それは原則論からいうと悪いこと。でも、マンガというフィクションだからこそ、そういう温情があってもいいのかなと思います。

星迷宮 ( 著者: 神谷悠 / 神谷悠 | 出版社: 白泉社 )

星迷宮 ( 著者: 神谷悠 / 神谷悠 | 出版社: 白泉社 )

華迷宮―京&一平シリーズ1 桜屋敷の殺人
翠迷宮―京&一平シリーズ2 竜湖畔の殺人
月迷宮―京&一平シリーズ3 水晶館の殺人
夏迷宮―京&一平シリーズ4 潮騒がききたかった
星迷宮―京&一平シリーズ5 ダイヤモンドの殺人
鏡迷宮―京&一平シリーズ6 怪人Xの殺人
砂迷宮―京&一平シリーズ7 白夜館の殺人
蝶迷宮―京&一平シリーズ8 青い焔の殺人
風迷宮―京&一平シリーズ9 花陽炎の殺人
聖迷宮―京&一平シリーズ10 カノンの騎士
翔迷宮―赤い鳥の殺人
石迷宮―京&一平シリーズ12 カストール家の殺人
海迷宮―約束のイヴ
千迷宮-輪廻ノ杜の殺人-
幻迷宮―夢獣の殺人
双迷宮-震える蛇-
霧迷宮―天ノ郷の殺人
匣迷宮―京&一平シリーズ18 宇宙ガ呼ンデイル
鐘迷宮―綾小路京誘拐事件
桜迷宮―京&一平シリーズ20 花降国で君と
赤迷宮―京&一平シリーズ21 灰の鎖の殺人
虹迷宮―京&一平シリーズ22 真夏の夢
青迷宮―京&一平シリーズ23 君は晴れた空の下で
文迷宮~人形夜話~
炎迷宮-燈火城の殺人-
鍵迷宮-幽鬼館の殺人-
宝迷宮-3番目の扉-
水迷宮-13燈台の殺人-
愛迷宮-仮面の魔女-
鱗迷宮-竜宮邸の殺人-





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Last updated  2004.09.21 13:08:51
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