2008/03/27(木)18:30
梅鉢家紋の黒紋付
お天気は晴天夜勤の休憩中、ふと見た携帯に届いていた 優しいメール。
深夜でもメールするママ。
迷惑ばかりかけているはず。
「あなたは独りではない」の言葉に 涙があふれる。勤務終了間際、上司から 次年度の委員会の打診が。
年度途中で復職したママは、今年度は委員会なしのフリーな状態。
そんなママに打診されたのは、パパさんも籍を置く委員会。
(上司は パパさんがその委員会に所属していることを知らなかたみたい。)
断る理由も思い浮かばないから、拒否もしなかったけれど、
今現在、仕事へのモチベーションを保つことができないのも事実。ママが 働き続けたかったのは、前職場。
住み続けたかったのは、前職場に通勤できる地域。
パパさんのご実家からの結婚の条件は、パパさんの地元への転居。
だからこそ パパさんとママの結婚は、2回の破談を経た。
仮予約していた結婚式場もキャンセルしたから、
パパさんとママは 結婚式を挙げていない。
(もう10年前のことだけど…。)
それでも結婚した パパさんとママ。パパさんのご実家には 5年間待っていただいて、
前職場で働き続けながら 3人の子ども達を出産し、
5年前 パパさんの地元に転居。
そして その転居を機に、パパさんと彼女の関係はより親密に。同じ頃、パパさんとママの関係にも変化があった。
慣れない生活に嘆き、パパさんに不審を抱き、
何度も不安な思いを ぶちまけた。「ママだけだ」と、「信じていい」と言い続けたパパさん。
パパさんを信じることができないママを「おかしい」とも言った。
パパさんを信じようとして、でも信じきれない時があって、自分を責めた。
新しい職場にもなじめなくて、体調を崩しドクターストップ。それでも 周りから見れば、仲の良い2人だったんだと思う。
実際 家族としては 仲睦まじかったと思うし、
少なくとも ママは パパさんのことが大好きだった。だからこそ、パパさんと一緒に居るために この地域に住み続けたし、
子ども達が育つ環境としての この地域を 大切にしてきた。
パパさんと 子ども達と 一緒に生活するために、
この地域で働くことを選択し、現職場に復職した。
そう、ママが 現職場で働いているのは、パパさんとの生活を守るため。
でも その守りたい生活は、もうどこにもない。
現職場で働いていることも、とても虚しく感じる。虚無感を抱えながら 帰路へ。
途中 郵便局に寄り、住宅の地震保険の入金。
こんな時でも 生活は生活。それがまた ジレンマ。帰宅すると、目にとびこんできたのは リビングの家族写真。
飾ってある たくさんの写真。
でも、この写真の笑顔の裏で、パパさんは彼女との時間を紡いでいたのよね。
もう 写真も 要らない。
パパさんと彼女の過ごした年月を数えながら、写真を片付ける。前職場の同僚とメールしてみた。
ママの前職場は、彼女が今も働いている職場。
ママがメールを送った相手は、彼女にとっても 同僚。
子どもが通っている園も、彼女の子どもが通う園と一緒。でも、ママがメールを送った同僚のもとには、
先日 パパさんとママが 彼女に会いに行った情報は届いていなかった。
それなりに情報通の同僚。彼女と共有する交友関係もある。
その同僚に情報が届いていない?
どこかで 情報が止められているのだろう。
彼女を守るために 彼女を大切だと思う人たちが 動いている。そうして ママの大好きだった前職場は、
今は 彼女のテリトリーなのだと 思い知る。フラワーアレンジの教室に行ってみたけれど、
お花に触れていても、心が枯れたまま。郵便ポストに 先日(3月4日)の楽多さんの採血結果が。
検査結果は「特に異常なし」。 一安心。
お庭のクロッカスはたわわに開花子ども達のお迎えを済ませ、夕食を準備。お風呂も終了。
ママは 自分の身支度を。よく見てみたら、ママの身の回りの物は パパさんが選んだものばかり。
でも ママの正装は ママの実家が誂えてくれたもの。
ママが着たのは 五つ紋付の黒無地。
紋は、ママの実家の梅鉢。(だからママは梅の花が一番好き)
久しぶりに締める帯。
そういえば 自分で和服を着るのは 1年前の姫の入学式以来かも。
(七五三の撮影の時は 美容師さんに着付けてもらったから。)帯揚げを整えていたら、仕事を終えたパパさんが帰宅。
久しぶりに 着物を着ているママを見て、「どこにいくの?」と子ども達。
「ママ きれい!」と向けてくれる笑顔が まぶしい。子ども達を寝かせた後、パパさんと向き合う時間。
慌しい毎日の中、向き合う時間もなかなか取れないね。パパさん:「どこへ行くの?」
ママ:「どこへでも。どこにいても居場所はないから。」パパさん:「僕では 居場所になれないか?」
ママ:「先に 私の居場所をなくしたのは、あなたでしょう?
私は 私を許せないのよ。
それに、あなたは 彼女を守るために、私を選ぼうとしているもの。
私を選ぶことで、彼女が守りたいものを 守れるように支えてるのよ。」パパさん:「それは違う。この1ヶ月間 僕はママだけを見てきたつもり。
それすらも 彼女を守りたいのだと言われてしまうと、
どうすればいいのか どうすれば伝わるのか わからない。」
ママ:「私の気持ちも伝わらないしね。
あなたのしていることと 私の望むことは違うの。」パパさん:「また同じ事をするの?」
ママ:「なぜ救命したの? こういうことになるって わかっていたでしょう?」パパさん:「でも 見つけて欲しかったから、あの時 僕にメールしたんでしょう。」
ママ:「…そうだね。見つけて欲しかったのかもしれない。
最期は あなたの腕の中がよかった。」パパさん:「前を見つめるための ステップだったんじゃないのか?」
ママ:「でも 何も変わらなかった。
そして あなたのもとには 彼女からのメールが届いて、
私のもとには 届かないのよ。」パパさん:「ごめん。
でも、彼女はもう 僕達2人には他人なんだよ。
これからの僕達に 彼女の存在は必要ないんだよ。」
ママ:「私が要らないのは、私なのよ。」パパさん:「ママになら、許してもらえると思ってたんだ。
こんなことになるとは 思っていなかった。」
ママ:「こんなことって?
あなた達2人は『家庭を壊すつもりはない』と口をそろえるけれど、
2人が関係を結んだ瞬間に 他でもない自分達が壊したのよ。
壊した後で、壊すつもりはないも何も…ね。」パパさん:「そうだね。自分で壊したんだね。」
ママ:「壊し続けてきた…でしょう。
『守りたいもの』って何?
守ってる『つもり』になっていただけよね。
だって 自分達が 放棄していたんだもの。
それに 守って欲しいなんて、言ってないでしょう。」パパさん:「でも、守りたいと、守っていきたい思ってる。」
ママ:「自分勝手だわ。
彼女だってそうよ。
彼女も 母としての自分を誇らしげに語るけれど、
彼女だって 自分が何よりも守りたいはずの子ども達を裏切って、
あなたの前で 女であることを 選んだじゃない。
しかも、彼女はまだ 自分が大切な人たちを裏切ったという事実と
向き合っていない。」パパさん:「どうしたら前を向いてくれる?
どうしたら前を向ける?」
ママ:「もう 前は要らないの。」パパさん:「子ども達のためにも 生きていて欲しいんだ。
子ども達には ママが必要なんだよ。」
ママ:「子ども達は、あの時 私が 子ども達のことも
切り捨てたことを 知っているわ。」パパさん:「そうだね。知っている。そして傷ついてる。」
ママ:「私は 生きている限り、あなたも 子ども達のことも、
そして 彼女のことも傷つける。
私は 私の存在を否定されるためであれば、
彼女の大切な 彼女の子ども達を傷つけることも厭わない。
彼女の大切なものを傷つけることなんて 簡単よ。」パパさん:「頭のいいキミのことだから、
どうすれば一番効果的なのかも ある程度 調べてあるんだと思う。
それが、ママが前を向くために必要なのであれば 止めない。」
ママ:「私が一番なくしたいのは 私の存在だから、
たとえ 周りの人全員を傷つけても、何も変わらない。」パパさん:「じゃあ、何をしたいの?」
ママ:「それは ずっと言い続けているでしょう?
私の時間を 止めてしまいたいの。」パパさん:「僕には ママが必要なんだよ。」
ママ:「彼女との時間を紡いでいくために 私の存在が必要だったから?
私が『きっかけ』だけであってくれた方が よっぽどマシだった。
だって 2人で作り上げていく時間に 私は必要ないはずでしょう?」パパさん:「でも、ママの存在なしに 2人の時間は有り得なかったんだ。
ママという存在があってこそ、2人の関係が成り立っていたんだ。」
あぁ…もう。
パパさんの正直さが 残酷すぎる。
だからこそ ママは 自分の存在が許せないのよ。パパさん:「僕はね、一時期 本気で、
男女の友情が成立するんだって思ってたんだ。
彼女のことを 女性としてではなく、人として好きだった。
でも 一線を越えたら…早かった。バカだよね。」
ホント…バカ。
何がって、ママに嘘をつき続けようとしたことが。
彼女に 女性としてひかれた時点で、ママを切り捨ててくれれば良かったのに。ママ:「もう 最期はあなたの傍で、とは望まない。」
パパさん:「僕は 親として 子ども達を守っていかなければいけない。
これ以上 親同士のことに 子ども達を巻き込んではいけない。
僕には もう ママを止めることができない。」ママ:「子ども達をよろしくお願いします。」
パパさん:「子ども達は キミの宝物なんじゃないのか?
キミの何より大切なものなんじゃないのか?」
大切よ。
だからこそ これ以上傷つけたくない。
これが 私の愛し方。
そして 子ども達は きっとわかっている。
自分達の母親は 自分達の父親を とても愛していたと。彼女は「子ども達は 親の愛、母性がなければ生きていけない」と断言した。
そして「死」を選択したママを「弱い」と「卑怯だ」と言った。
でも、子ども達の命は、
ママと繋がれている臍帯を断ち切った時点で 自立している。
羊水に守られていた世界から、空気という刺激を受けて 自分の力で呼吸する。
子ども達は 生まれ出たその瞬間から、自分の力で生きている。出生と同時期に母を亡くす子も 少なくない。
でも 強く生きている子はたくさんいる。
様々な形で親を失っても 強く強く 生きている子達がいる。王子1号、姫、王子2号が、これから先、
強く生きていけるかどうかは わからない。
でも、3人が 今まで 生きてきてくれたことは 確か。
そして 3人は、男と女としての パパさんとママの姿を知っている。
親子間の愛でなく、家族間の愛でもなく、男と女としての愛。
それを見せてこれたことは、ママの母としての誇り。1年前の本日は;新学童保育所立ち上げにむけて…。(07年3月11日)