あま野球日記@大学野球

2010/05/05(水)10:54

【新版】野球とその害毒、本多勝一

少年野球(10)

■1911年(明治44年)8月29日から朝日新聞が連載を開始した「野球と其害毒」。 その当の朝日新聞記者である本多勝一氏は、「野球と其の害毒」に倣い「新版・野球とその害毒」を朝日ジャーナル誌に連載したことがあった。ボクはその連載を読んだことはないが、当時の記事が著書『貧困なる精神第21集』(すずさわ書店、1991年刊)に収められており、その内容を今も読むことができる。 ■大の野球嫌いで知られた本多さんゆえ、野球に対する悪口雑言ぶりは相当に過激だ。まったく聞く必要なし!と思う記事もあったが、「成長期の青少年の身体への影響」に関する箇所にボクは注目してしまった。これはたしかに現代版・野球害毒論かもしれないと。 以下にその要旨を羅列。 (1)野球は投手のみに異常な負担をかけさせ、障害者をどんどん生産しているスポーツである。特に少年野球(リトルリーグ)の問題は、プロ野球と同じボール(硬球)を使っていること。ここに一番の無理がある。子供には子供なりの筋力と握力しかない。大人に例えるなら、練習や試合のたびに毎日何十球も砲丸投げをやっているのと同じこと。ヒジを痛めるのは必然。 (2)さらに問題なのは「野球ヒジ」という障害が世の中で騒がれているのに、改善が進んでいないこと。チームの監督や親たちはその問題から目を背け、ただ子供に我慢することを強いるのみ。本来は定期的に健診し故障の原因は筋肉か骨か、我慢していいのか休ませるべきか、専門医に診てもらう必要がある。もし故障の原因が筋肉でなく、骨ならば野球生命を断たれる可能性大だ。 (3)監督も親もその本当の怖さを知らない。ヒジが悪くなってもどんどん練習をさせ、プロ野球に入ってしまえば何とか活躍できるだろうという考えの甘さがある。また、甲子園・プロ野球に続く立身出世を皆な(監督、親、子供本人)が夢見る風潮があって、そのことが本当の怖さを見えなくしている。これは見逃すことのできない「野球社会の病根」である。 (4)現在プロ野球で活躍している選手の多くは、よほど故障のなかった運のいい選手か、少年時代にBクラス(二流)の選手だったはずだ。なぜなら少年時代にAクラス(一流)だった選手は、投手として酷使されることが当たり前。大概の場合、高校までの間に故障して潰れてしまうから。生まれてから潰れるまでの時間、その大半を野球だけに費やしてきた選手であれば一層深刻な問題になる。その時になって「俺の人生を返せ!」と叫んでも遅い。 ※上記は本多氏のほかに、整形外科医、関節疾患専門家やリトルリーグの(障害)専門家などが座談会形式で話した内容をまとめたものです。 ■上記の下線部に関して たしかに高校までにヒジ痛で野球を止めてしまう選手は少なくない。プロ野球でのほんの数人の成功と引き換えに、多くの選手たちが犠牲になっているのが現実なのかもしれない。その犠牲とは、それまでは野球だけに多くの時間を費やした選手に人生の進路変更を強いること。これは現代版の「野球とその害毒」といえるとボクも思う。■本多氏らが指摘するリトルリーグに関する指摘に関して。 ボクの知っている限りリトルリーグは投球数の制限が年々厳しくなっており、「リトル即ち害毒」と受け取れる指摘は確実に改善されており、現在においては的外れのように思うが。 ◇関連記事「1911年、「野球害毒論」論争勃発」 今日も1クリックお願いします    

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