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あま野球日記@大学野球

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2018.01.08
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テーマ:日本野球史(134)
カテゴリ:日本野球史
いま、夏の甲子園記録をまとめています。



今回は「最多奪三振」という記録。
​これは言うまでもなく、1958年の徳島商・板東英二が達成した83個です。​

初戦(2回戦)は秋田商を17奪三振で1安打完封、スコア3-0。
続く3回戦八女高戦は15奪三振で3-1、
準々決勝は魚津高と対戦、25三振を奪うも、村椿輝雄投手との投げ合いで延長18回引き分けとなり、翌日も再試合で奪三振9、勝利を挙げた。
準決勝は作新学院を14奪三振でスコア4-1、
そして決勝の柳井高でついに力尽きた、スコア0-7、奪三振3。計83個。

そもそも延長18回引き分け再試合というルールは、同年の春季四国大会がきっかけとなりました。当の板東が準決勝・高知商戦で16回を完投勝利し、翌々日の高松商との決勝でも延長25回をひとりで投げ抜き、一気に延長のルールを見直す機運が高まり、延長18回引き分け再試合のルールができました。

​と言っても、これはあまりに有名な話でわざわざ書く必要もないし・・・。というわけで、ここは板東英二の項ではありますが、ボクは当時の徳島商監督に注目することにします。名前は須本憲一。徳島商OBで、いわゆる「幻の甲子園」と云われる1942年の甲子園大会(この大会のみ文部省主催)で優勝した時の主将でした。

書籍『幻の甲子園』(早坂隆著、文芸春秋)によれば、
須本は「打ってほしいところで打つ男」とチームメイトから称賛され、徳島商打線の中でも随一の好打者だったそう。打順は3番、ポジションはショート。決勝の平安高戦では1点差を追う7回、一死満塁の場面で走者一掃の三塁打を放つなど活躍しました。

その決勝戦は結局延長11回までもつれ、押し出し四球を得て徳島商のサヨナラ勝ち。創部以来32年目にして初の全国制覇、それは徳島県勢悲願の初優勝でもありました。須本さんは卒業後、明治大を経て東急フライヤーズに入団して2年間プレー。その後、1955年から母校の徳島商で商業簿記の教諭となり、野球部の監督に。厳しい指導により、春夏あわせて計7回も同校を甲子園に導きました。

​​​一方、惜しくも敗れた平安高の投手は富樫淳あと1球で優勝というところまで徳島商を追い込みながらも、最後は連投による疲労で完全に握力を失い、押し出し四球を与えて敗戦しました。卒業後は法政大に進学するも召集されて兵役に。そして終戦後、父・興一が代表を務める大阪タイガースに入団しました。当初は投手登録でしたが、高校時代の肩の疲労もあってか野手に転向。プロには4年間在籍し、通算成績は169試合、516打数135安打、打率.262、打点48。引退後は母校平安高の野球部監督に就任しました。​​​

面白いのは「幻の甲子園」から14年間を経た1956年夏の甲子園。冨樫さんは鬼監督と呼ばれる熱血指導で、就任早々に平安高を甲子園に出場させるといきなり全国優勝を果たし、深紅の大優勝旗を手中に収めました。戦時中、優勝まであとワンストライクのところまで漕ぎつけながらも準優勝に終わった無念を、指導者として晴らしました。ちなみに、その時の甲子園1回戦の相手が「幻の甲子園」で決勝戦を戦った徳島商だったのは野球の神様のいたずらでしょうか。さらに皮肉なことに、その時の徳島商の監督は須本憲一さんでした。

敗れた須本さんはどれほど悔しかったでしょうか。徳島商ベンチには、この時、背番号14をつけた控え投手・板東英二がいました。そしてその2年後、エースになった板東は前代未聞の連投で甲子園大会を勝ち進み、その結果、奪三振83の記録を樹立しました。須本vs冨樫、この2人の因縁が板東をして新記録を産ませた、そう言えるか
もしれません。​



あ・うん / 高倉健 富司純子 板東英二 向田邦子【中古】



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(写真)徳島商時代の板東英二。『高校野球 忘れじのヒーロー』(ベースボール・マガジン社)より・


2018.1.8板東英二.JPG






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Last updated  2018.01.13 05:17:16
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