Kija?　　「どこいくの？」。

前回のテロの傷も治りきらないうちに、またも
バリが標的になった。

爆発があった一日、午前中はモニカの保育園の運動会、
午後からは仕事と私にしてはハードな一日だったため、
夜は早くに床についた。とても疲れていた。
携帯にメールが何通か来ていたのも知っていたし、
家の電話・オットの携帯が何度も鳴っていたのは
気がついていたけれど、疲れていて起き上がれなかった。

朝７時過ぎにふと目が覚め、携帯メールを眠気まなこで
チェックしていたが、読んで一度に目が覚めた。
友達からバリで起こったテロについての情報メールだった。

あわてて軍鶏好きを起し、まずは州都デンパサール在住で
ヌサドゥアのホテルに勤務している叔父の家に電話した。
叔父が電話に出た。昨夜は夜勤だったが、近くで爆発が
あったため、負傷者の搬送にかりだされ、病院から戻った
ばかりだという。叔父に怪我はなかった。

次に実家へ電話。実家は爆発があったエリアから離れているので
大丈夫だとは思ったが、やはり心配で電話を入れた。
それから他の親戚の家にも。みんな家にいて無事だった。

それからバリ在住の友達や、思い当たる知人に電話や
メールをした。一夜明けていたからか、ほとんどの人に
すぐに連絡が取れて無事が確認できた。
それでもなかには連絡が取れない人もいたから、
バリの新聞のホームページで安否確認を見た。

私たちの知り合いには今回のテロに巻き込まれた人はいなかった。
しかし何の罪もなく亡くなられた方、怪我をされた方がたくさん
いらっしゃる。心からお悔やみ、お見舞い申し上げる。


今回のテロも自爆テロだったという報道だ。
今日付けのバリの新聞のホームページには
頭と片腕だけが見つかったという、クタのレストランRaja'sの
自爆テロ犯人の遺体写真が載っていた。

それぞれの人にはそれぞれの信念・信仰があり、
それはもちろん認められるべきだと思う。
しかし、自分の主義主張を他者に強要するあまり
他人の命を奪っていいわけがない。

自爆テロは聖なる死ではない。殉教とももちろん言えない。
自分の信念を貫き通すために、自身が必要と思うなら自身の
命を絶つことは構わないとは思う。勝手にやってくれ、と思う。
だが、大勢の人たちを巻き込むことに何の意味があるのか。
他者を巻き込むことで、自身の主張が尊重されたとでも考えるのか。
むしろその逆ではないか？蔑まされこそすれ、人々から褒め称えられる
行為では決してない。

狂信的なイスラム教徒の犯行であるとの報道だが、
私は絶対に犯人の信念・信仰及び行動を理解しないし
許さない。愚劣の極みであるとしか思わない。

今月５日、バリでは先祖を迎えるガルンガンというお祭がある。
日本でいう迎え盆の様なものである。
ペンジョールを家の前に立て、お供えを作り、皆で
祈りを捧げる。そして１５日はクニンガン、送り盆である。

バリは神々が住む島であり、信仰と帰依によって
その平安が保たれてきた。
それが今、破壊されつつあるのは、祈りが足りないのか、
信仰が薄くなっているのか…。

理想の楽園像はもろくも崩れたようだ。
だが、バリの人々は今も毎日、祈りを捧げ、神に平安を祈る。
静かに暴力行為に対して抗議を続ける。

破壊活動は何も生まない。何も得ることは出来ない。
本当の信仰は暴力的テロではなく、日々の祈りであり
心の平静であると思う。
私もガルンガンにはお供えを作り、家族とともに祈るつもりでいる。