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ペルーアマゾンの泥染めとシピボ族の人々

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2024.04
2008.03.22
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カテゴリ:ペルー生活
金塊マジック 5

さっき車を降りた通りを歩き回って車を探した。
駐車できなくてずっと先の方に停まったのかもしれない。
いくら探してもない。
「・・・・・・・・・??????????????おかしいなあ。」

私は何がなんだか分からなくて、首をかしげてしばらく通りに突っ立っていた。
警備員のおじさんに「どうかしました?」と聞かれ
「青い車を見ませんでした?私はその車から降りてこれからまた出かけるところだったのだけどいなくなってしまって」警備のおじさんは人の話をひとつも聞かないうちから
「泥棒じゃないのか?」という。

「まったくもう、そんなんじゃない。話すとすっごい説明が長くなるけど、とにかく、おじさんとおばさんが乗った車がどこかへ消えてしまった・・・・。」
これ以上アホな警備員に説明するのは面倒なのだ。

・・・・・もしかして、もしかして、おばさんが黄金を持っているからと、おばさんを拉致したのでは・・・??
大変だ!おばさんを救わないと!!!
どうしよう、バスターミナルへ行くしかない。
タクシーですぐに行けば追いつくか?
しかし、もしかして一人では危険かも・・・・。
とにかくフェルナンド氏に相談しよう!

私は大慌てで事務所に戻り、「ちょっと、大変大変!」と興奮しながらフェルナンド氏に事情を説明した。「それで金貨と金の塊が・・・・」という話の最初の段階で、彼は自分の仕事の手を休めずに笑いながら私に言った。

「アヤチャン(私)、ぜったい、全部うそだよ、また騙されちゃったの?」
人の話もろくに聞かずに馬鹿にするとは失礼な!

「だから、違うんだって。金はお礼にと言ってすでにもらってるんだよ?おばさんを助けないと大変だよ、一緒に車でバスターミナルに行ってよお、早くしないと・・・・!!」

「じゃ、見せてよ、きっとないよ、そんなもの」
「もう!だって、さっきもカバンに入ってるのを確認したんだから。ぜんぶ嘘だとしても、じゃ、あの金はどうするのよ、もらっちゃたんだよ?どうなるの、あれは?」

では、私は金の一部をもらって「ラッキー」で済ませていいのか??
おばさんを助けないと。あの人は何もしらない無知で気の毒な農民なのだから・・・

もらった金を確かめて考えよう。

私はフェルナンド氏に促されてカバンからおばさんがぐるぐる巻きにした包みを取り出した。
「ほら、あるでしょう?これなんだから・・・」
しかし何故か、ちょっと軽いような気がして、
「まさか、だって、ここにあるんだから・・・」声が小さくなる。
ドキドキしてきた。フェルナンド氏は笑っている。

おばさんの布袋の紐をほどき、袋の中から ノートを破ったあのつつみ紙を取り出し、そっとあける。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そこに大事に包まれていたのは、「石ころ」だった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



私は頭の中が真っ白になった。



あの時たしかに金とお金を包むのを私は見ていたのだ。

とんでもなく高度なマジックではないか。

しばらくの間、理解できなかった。
最初から何が起きたのかを思い起こす。


おじさんはグルだった。
おばさんもおじさんも、プロの泥棒だった。


「アヤチャン、「黄金=詐欺」って知らなかった?よくあるんだぞー。」
「田舎風のおばさん+ネクタイ紳士の組み合わせが、たいていグルだってことも・・・・」
フェルナンドの声が小さく聞こえる。

グルの犯罪が多いことは十分に分かっているつもりだったが、今回、最後の最後まで、一度もおじさんとおばさんがグルかという疑いを持つことはなかった。
そこが犯罪のポイントだった。

何しろ私は車が消えてからも、おじさんがおばさんを連れ去ったと思いこんで、急いでおばさんを助けに行こうとしていたのだ。

あまりにも役者として上級クラスだ。
あまりに演技がうまいじゃないか、おばさん!!!

最後の瞬間に石とすり替えたのは、あの、「無知の」「何もしらない」「気の毒な」、私が必死で助けようとしていた農民のオバサンではないか。
その無知で何も知らないはずのおばさんに、最初から最後まで騙されていたのだ。


しばらく私は放心状態だった。

あまりにショックだった。
あまりにひどい犯罪だった。
あまりに疲れた。

私はあまりに、「無知で」「何も分かっていない」「気の毒な」大バカものであった。

さっき起きたことを思い返す。
確かにあれは金を入れた包みだった。
いつ入れかわったのか、思いつかない。

盗られたのは総額670ソル。
大したことにはならずに済んだ。が、
手品みたいに消えた黄金と私の大事なおカネ。

「最高級のマジック」を見せてもらったにしては、ちょっと高すぎた。



金塊マジックの体験談は
おわり


次回、いろいろ検証してみます。

細かく記録したのは、今回の犯罪の目的や方向性を改めて考え今後の対策を考えていくためです。
恥をしのんで公開しました。
このての犯罪は地元では繰り返されているもので、聞いたことがあるかどうかだけでも、騙されることを防げるので、ばかばかしくても、できるだけ人に話をして、同じ被害を防ぎたいと思います。





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最終更新日  2008.03.23 08:14:51
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