2005/08/04(木)02:39
「バッテリー」とDAVID SMITHの死
帰ってくると現実になる@友人の死
あさのあつこの「バッテリー」を3冊、帰りの飛行機の
中で読んだ。
野球ではないけれど、テニスのコーチと選手もバッテリー
みたいに離せない関係。
昨日の夜、どうしてもDAVIDのことを誰かに伝えたくて
テニスとは全然関係ない、日本の友達に宛てたメール。
>Subject: Re: 少年少女の魂
> Sさん
>
> ロスの自宅にひとりでいます。
>
> みんなテニスの試合で、サクラメントまで行ってる
んです。
>
> だから実質2週間会えなくて寂しい。(メソメソ)
(ちょっとポーズ)
>
> まあ、たまには待つ身になりなさい、ということで
しょう。物分りのよい私。
>
> で、思いっきり時差ぼけで、夜中なのに、目がラン
ランです。(笑)
>
> 帰る飛行機の中で、あさのあつこの「バッテリー」と
いう本を読みました。 野球少年の話なんだけど、面白
かった。
>
> で、読みながら、私が日本にいる間に突然亡くなったう
ちの娘のヒッティングパートナーのお父さんのことを思
い出してました。
>
> お酒も手伝ってか、何故かトイレに立った時、悲しさが
こみ上げてきて、声を出して泣いてました、しばらく。
>
> 私にとっては、彼らの存在そのものがエンターテイメント
であり、生きたストーリーだったんですよね。
> でも、エンターテイメントには虚構もあるけど、これは
本物。死はそれを実感させる。
>
> 気の強い娘サマンサ。うちの子よりも一才半だか下なんだ
けど、全国でもトップクラスのプレイヤー。
>
> 他のプレイヤーをみんな敵に回してしまうような勝負に対
する執着心、自分のミスに対する悔しさを隠さないその娘を、
さらに挑発するようにいつもコートの外から眺める父親。
>
> うちの子との練習の時には、まるでネットの向こうの相手と
コートの外の父親と、ふたつの戦いをしているようだったサ
マンサ。
>
> その黒人の父親と一緒に試合を見にくる母親は、ヨーロッパ
系のスラリとした知的な女性で、感情的な娘とは対照的な穏
やかな人。
>
> DAVID SMITH。亡くなった私達の友人は、口は悪くてもこの
家族をとても愛していて、その思いが、彼がこの世に肉体を
持たなくなった今でも残っていて、私が自分の涙を感じる度
に、悲しんでいる彼の家族、サマンサや、弟のテブン、奥さ
んのサンディーに思いが飛ぶ。
>
> 彼の死を伝えるダンナのメール。
>
> (前略)Now for the shocking news: Samantha Smith's
> dad died from a sudden heart attack last week.Stacy's
> dad just told us today and we were very shocked and
> saddened. Kirby
>
> Stacy というのもヒッティングパートナーで、こっちの
> お父さんは亡くなったDAVIDとは違い、全然怒ったり
> しないお父さんコーチ。
>
> お父さんと娘達の物語が、周りにたくさんあるんです。
> あー、それなのに!
>
> 私は、あのサマンサが再びコートに立ってもっともっと強く
なって帰ってくることを夢想してしまう。
>
>
> 自分の娘が同じ立場になっても、もしかしたら、同じ気持ち
にはならないかもしれないのに、そのサマンサには、何という
か、ドラマを作ってしまうかもしれないという、種火みたいな
のを見てしまう。
>
>何で彼の死が、こんなにも自分を突き動かすのか、私は、正直な
ところ、よくわからない。
> 「バッテリー」の著者あさのあつこが、主人公の少年達の年代
の変化の激しさに惹かれると書いていた。
(中略)
>DAVIDは、コートの中の娘を挑発しながら、よく笑った。
>サマンサは、時々、怒りながら、辛らつなジョークを投げた。
>
>好きだったなあ、あの情景が。
>
> 実は、読書をしたのは、ホントに久しぶりでした。
> 堅苦しいのとか、論理的なのが、最近ダメですね。
>
> 物語、作りたいですね。
>
> うん、そうだなあ。やっぱり物語。
>
> 家族がいないので、今日は空港からタクシー。
>
>アジア系の運転手のその車には、クラシックが流れていました。
>
> 「空港からのタクシーでクラシックを聴くなんて初めてだよ。」
>
> と話しかける代わりに、彼の物語を想像してみました。
>
> 心地よさそうに音楽を聴く彼の横顔は、幸せそうです。
>
> 彼には娘がいて、その子が音楽をやってるんだと思いました。
娘の奏でる音楽に耳を傾けているような幸せそうな顔。
>
> 長い夜です。
>
> 幸せをかき集めて、布団にして寝たい気分です。
>
> ではおやすみなさい。
>
> ひろみ@ロス