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せめて明るい空を見たいと切なく願った。
唇に触れ、髪に指をくぐらせ、 そうしてドラちゃんは、 プラットフォームの白線より一歩さがる。 ドラちゃんの頭上、濃紺の空に、 わたしは輝く月を見る、夜明けが近い。 車内に持ち込んだ巨大なスーツケースを気にしてみたり 切符に記された座席番号をたしかめてみたりして、 痛みを紛らわせようと努力してみて虚しい。 それはたかだか特急電車で6時間の距離なのだし、 2年なんて1000日にすら値しない。 言い聞かせ言い聞かせしながら 座席番号64にたどりつき、 空くらいせめて明るくなってくれるのを待ち、 ただただ車窓に目あてつづけた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Oct 10, 2006 05:39:45 AM
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