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あい・らぶ・いんそん

再会7

再会7

イヌクは帰っていく二人の背中をじっと見つめていた。

スジョンの首筋やイブニングドレスをまとった素肌と、穏やかな笑顔を恋しく・・ただ恋しく思うイヌクだった。

そこにサムがやってきた。
「お元気ですか」
サムはイヌクがニューヨークに来て以来、便利に使っている情報屋だった。
「やぁ、遅くにすまないな」

「何か急なご用でも?」

「あぁ・・」

イヌクはジェミンとスジョンの事を調べるように依頼した。


スジョンがシャワーを浴びている間、ジェミンはイヌクの視線を思い出
していた。鋭く・・しかし懐かしさと愛しさをもって、スジョンを見て
いたイヌクの顔が脳裏に焼き付いていた。

グラスに注いだスコッチを飲みながら、ジェミンは苦悩の色を隠せなかった。

(あいつが何故ニューヨークに?)

ジェミンの脳裏に浮かんだのは、あの日のイヌクの言葉だった。

「もう二度と俺の前に現れるな・・」

(あいつが言った言葉なのに、何故、今頃俺達の前に現れた?)

ジェミンは心の中に渦巻き始めている不安をうち消すように、一気にグ
ラスを空けた。

「あぁ・・気持ちが良かったぁ」

バスローブを身にまとい、洗い髪をタオルで包みながら、スジョンがシャ
ワーからあがってきた。

「あなたも疲れたでしょ」

少し元気がないように見えるジェミンを気遣った。

「おまえも飲むか?」

ジェミンはスジョンにも、氷を入れたグラスにスコッチを注いだ。

スジョンは乾杯するようにジェミンを促して、グラスを合わせた。

『こっちに来いよ』

ジェミンは目で合図をし、向かい合わせに座ったスジョンを隣に座
らせ、ジェミンはスジョンの肩を抱いた。

そして洗い髪を包んでいるタオルをとり、スジョンの濡れている髪を
なでた。

「あぁ・・可愛い人だ」

ジェミンがおどけるように言うと、スジョンは吹き出しそうになりな
がら

「あなた・・・やっぱり今日は可笑しいわ。なにかあったの?本当
は私に秘密があるのね」

と言った。

「そんなものはないよ」

わざとオーバーに言ってみせた。

「あぁ・・・わかった。やっぱり同じ会社の女子社員と・・・何か
あったのね」

スジョンも負けずにわざと言った。

「おいおい・・あるわけないだろう・・・そんなもの」

さすがにジェミンはムキになって言った。

「嘘・・白状しなさい・・・だって、本当におかしいわ」

と真顔になったスジョンが言うと、ジェミンは嬉しそうに笑い出した。

「なぁに?何が可笑しいの」

少しすねたスジョンを、抱きしめてジェミンは言った。

「いいや・・おまえがやきもちを妬いてくれたのが、嬉しかっただけだよ」

スジョンは照れ笑いをして、ジェミンの肩にもたれかかった。


幸せな時間だった。

ジェミンは、こんな他愛のない会話ができる平凡な時間が、永遠に続いて
欲しいと心から願っていた。

二度とスジョンが傷つくことのないように・・・そればかりを祈っていた。

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