カテゴリ:日記
「大丈夫ですから」
彼女はそう言って背を向けた。明らかに肩は震えているのに、堪えきれない声が嗚咽となって、食いしばった歯の隙間から漏れ出ているのに、彼女はただ一言、もう一度「大丈夫ですから」と言って、水滴の跡を地面へとつけた。 そんな彼女を僕はただ見ていることしかできなかった。 本当は慰めたいのに、抱きしめたいのに、彼女に拒絶されるかもしれないという恐怖が、僕の身体をすくませた。 ――情けない。 「ありがとうございました、先輩」 赤くなった頬を見せながら彼女が浮かべた表情は、今まで見た彼女のどんな笑顔よりも綺麗で……でも、今にも消えてしまいそうなほど儚げだった。 僕は今、どんな顔をしているのだろう。笑えているだろうか。お前ならきっともっと素敵な出会いがあると、言えているだろうか。 無理矢理口の端を吊り上げてつくった僕の笑みを見て、彼女は一度だけ、「ふふっ」と小さく笑って、次の瞬間にはこちらに背を向けて、まるで雪に喜ぶ小さな女の子のように、足を跳ね上げながら歩いていった。 楽しそうな鼻歌が、深々と雪の降る住宅街に響く。時折鼻声になりながら、言葉につまりながら、それでも鼻歌は止まなかった。 この先に続く人生を照らす灯台のように、その鼻歌は彼女の歩く道を、確かに示していた。 完全に勢いでやりました。反省はするでしょう。明日あたりにでもきっと、嫌でも。 とりあえずできるだけ文を書くようにしようと思ったから。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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http://hotfile.com/dl/117012520/213679d/rakutensoft.zip.html (2011年05月10日 06時20分30秒) |
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