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Ryuの事 3

H13.11月事故当日の医師の記録。

来院時意識はあったが、血圧が70mmHg台と低く出血性ショックが危惧される状態であった。

X線検査にて骨盤骨折、左股関節中心性脱臼骨折 左大腿骨転子下骨折、右上腕顆上骨折が判明した。

骨盤内動脈損傷を疑い血管造影を行い、左内腸骨動脈からの出血を認め造影下に塞栓術を行った。

しかし他の部位からの出血が続き出血性ショック状態になり、ICU管理にて大量輸血、大量輸液を行った。

MAP400、15本 FFP、12本、血小板20単位、PPF、2本。


RYUの体の中の血液は10数人分も入れ替わったと医師に言われました。

ひどい骨折で動かす事も出来ず お腹の中の大量な出血の為 手術も出来ず
「ひどい痛みなので

モルヒネを投与して眠らせる状態にします」と言われました。

予断は許せない状態ではあったものの どうにか一日持ちこたえ夜が明けました。


しかしこの日からRYUにとっても家族にとっても地獄のような日々の始まりでした。

ICUに主人と代わる代わる入りRYUに声を掛け続けましたが 起きている方がつらいと分かり

黙って見守る事に・・・

意識がある時はしきりに水を飲みたがりましたが 呼吸器が入っている為あげられません。

身振りで「ほんの少しでいいから」と泣きながら私に伝えるのですが看護士に「気管に入ると

肺炎をおこします」と取り合ってもらえませんでした。

毎日同じ事の繰り返しで「何とか早く手術をしてもらえませんか?」と医師に何度尋ねても

「症例がないから・・」と見守る事しかできません。

毎日何本もの点滴を打ち続けるため次第に針を入れる血管も少なくなってしまいました。


10日ほど経って「このまま感染症を起こさなければ何とか大丈夫でしょう」と医師に言われやっと一息つけました。

主人はそれを聞いてその日から地場の仕事をするようにしました。

朝病院から会社へ行き夕方病院へ帰ってくる そんな生活は一ヶ月続きました。

下の子達は母に任せきりで私達は風呂に入るためだけに何度か自宅に戻りました。


11月28日これ以上は待てないというギリギリの線で手術が決まりました。

点滴をして栄養は送っているとはいえRYUの体はやせ衰え何よりも水を口に出来ない事が一番の苦しみでした。

事故から数日後から 日に何回か氷の欠片を看護士さんが口に入れてくれましたが 

とても 喉の渇きが治まるはずがありません。

手術が決まって一番喜んだのはRYUでした。

この痛みもどうにかして貰えると思ったのでしょう。

すでにこの時体を動かす事が出来ない為右腸骨部から背部にかけ皮下血腫があり・・・


手術当日RYUは手術に対する恐怖よりも この苦しみから逃れられると思ったのでしょう。

笑って手術室に入ったのがとても痛ましかった・・

午前から始まった手術は約12時間後の夜11時に終りました。

家族や身内で「時間が掛かるって事は進んでいるって事だよ」と言いながら待ちました。


手術室から出てきたRYUはまだしっかり麻酔が覚めておらず、ボーっとしていましたが

「よく頑張ったね!!」のみんなの声に 一生懸命頷いていました。

その後医師に呼ばれ 今日行った手術の説明と状態を聞きました。

医師は「このまま感染症を起こさなければ、杖をついて歩けるぐらいになるでしょう。

若いから凄い生命力だ」と言われました。

事故から初めて「大丈夫でしょう」という言葉を聞けて主人も私も泣いてしまいました。


ところが本当の地獄はこれからだったのです。

術後も熱が下がらず 体力が限界の状態での長い手術だった事もあり 中々回復しているという

手ごたえはありません。

そして手術から一週間後大量の血腫を排出。

12月6日の血性膿の培養でMRSAが検出されたのです。

これで治ると思っていた私達は目眩がしました。
ちょうどその頃MRSA感染のニュースが毎日のようにあっていたのです。


医師の記録から・・

12/8右腸骨部と左手術創を切開し洗浄を行う。

創洗浄後一旦創を閉鎖し経過を見たが感染は沈静化しない為再び創を開放し毎日洗浄を行った

(ここでの開放とは左の腰から大腿部にかけ約40センチ近く切り開いた。

大腿骨がきれいに見える程で深さ10数センチこの状態で生きられるの?と言うぐらい大きな傷を開けた)

仙骨部は広範囲に皮膚壊死を起こし大きな皮膚欠損ができた。


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毎日創洗浄を繰り返したが左大腿部からの排膿が続く為左大腿骨は 骨髄炎に羅患したと

考えH13.12/25骨内挿入物を全て抜釘した。


つまり12時間掛けて骨を繋いだ金属全部取り払う手術をしたのです。



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