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2005年10月05日
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   十人十色茶人気質
      明治時代大宗匠連の面影
 いささか気をかえて茶人気質、明治の大宗匠を並べてみる。
 筆頭は星ケ岡茶寮の松田宗貞宗匠、十六の歳に京都表千家家元の代稽古を勤め、茶の中に育った人、茶道全般の達人で、少しもお天狗のない謙遜家。あるとき各流の宗匠ことごとく環視の中で献茶の手前、長盆の乱れ飾という台子の奥儀をすらすらと顔筋一っ動かさず、並みいる宗匠これにはアッと舌を巻いた。
 仙台坂の山本麻渓宗匠、石州怡渓派の耆宿《きしゆく》で随一の学者だけに教授も厳格、随ってお弟子が少なかった。『茶道宝鑑』や『茶家年中行事』など有益な著述もある。晩年は中野武営氏に招かれて湘南へ隠退。
 根岸の胡蝶庵《こちようあん》大久保北隠翁は、千家木部派の古老で本来茶道の家、物優しい親切な老人で、古代裂の鑑定は当時斯界の第一人者。
 品川の三原宗浤先生、前身は海軍少佐で退役後茶人に早替り、千家裏流で軍人らしくない穏やかな宗匠、棚物に趣味をもって古い棚を三十個ほど集めていた。向島芭蕉堂の宗匠中村星知翁、真の寂《さ》び茶人で宗偏流、投入れは特にお得意の腕前。木挽町にいた今井宗元老、割烹家出身で江戸ッ子だけに寂びより派手好み、芝居がかりの茶会を催したり、古稀の祝いに市村座の桟敷を買い切って知人百余名を招待したり、万事がこの寸法。
 芝公園の関不羨翁、不白派の先達で茶道にかけては一歩も譲らず、大抵の宗匠は眼の下、寄合の席など下手なことをいうと真向からがみがみ、それだけにいうことは確かなもの、だが我々素人には大の苦手で、なにかお話をと引き出しにかかっても「少しは茶がわかるかね、わからなければ話しても無駄だ」とまず一本、迂濶には寄り付けなかった。






最終更新日  2005年10月06日 07時29分07秒
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 Re:山本笑月『明治世相百話』「十人十色茶人気質 明治時代大宗匠連の面影」(10/05)   井上清志 さん
「山本 麻渓」で検索したところ初めてヒットしました。はじめまして。多分この麻渓さんがぼくの師匠の師匠の師匠です。まだこのブログはご健在でしょうか?
テストメッセージを送らせてもらいます。
よろしくお願いいたします。k.inoue@aozora-sec.co.jp (2012年06月05日 14時27分46秒)

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