AMOKの庵

2014/03/19(水)11:14

【コラム】STAP細胞~捏造のメカニズムについて 後編

psudo-economics(351)

一万文字を越えたので分けました。 ●何故、バカンティ博士は論文撤回に同意しないのか? ”論文には画像や表現に不自然な点が指摘され、共著者の一人、若山照彦・山梨大教授が「信用できなくなった」と撤回を呼び掛けた。バカンティ氏は「仲間からの圧力でこのような大事な論文が撤回されるとすれば大変残念だ」と話した。(共同)” いくつか理由が推測できます。 ひとつはすでに次のステップのプロジェクトが動いているからでしょう。実際、論文が発表されたときはすでに人の細胞でやっているという噂がありました。 ただ上手くいくかどうかはまだ分からない段階なんでしょう。その意味で、バカンティ博士も確信が持てないのだと思います。 ここで、彼女が全部捏造でしたと告白すれば、バカンティ博士も納得するでしょうが、人間関係的にそれも無理なのでしょう。 実はバカンティ博士は四兄弟だそうです。四人とも科学者になっており、成功しているそうです。 ということは、再生医療につながるこれらの研究に寄付しようという金持ちも結構いるはずです。 どんな世界も基本人間関係なので、論文を撤回さえしなければ、口八丁手八丁でいくらでも丸め込めることは出来ます。 もう一つの理由は、以前から書いていますが、 サイエンスはゲームなんです。 いかにみんながびっくりするような仮説をたてて、納得させるかのゲームです。 どんなに真実を追究して、しっかり実験していても、テクニックの限界があるため、解釈を間違えるのはよくあるし、実際、ほとんどの論文が15年以上前の論文を引用していないことから、新しい概念による塗り替えやよりミクロな世界へ進んでいるわけです。 で、結果的にトップジャーナルでも半分は間違っていたということになります。 STAPの話はそれはそれで魅力的だったから、これだけ話題になったわけです。同じ方法論でなくとも、似たようなアプローチはあり得るわけで、概念としての価値は十分あるわけです。 それをわざわざ消す必要も無いだろうという判断です。それよりも、サイレントな捏造論文がもっとあるわけで、一部のジャーナルが取り組んでいるようにオープンなコメント欄をサイトに設けるなどの建設的な処置の方が有効でしょう。

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