昆山市は上海と蘇州の間にある江蘇省の中規模工業都市。
20年ほど昔は田畑くらいしかなかったらしいのですが、地の利と
土地の安さを売りに台湾企業を始めとして日本企業や韓国企業(LGもある)、
欧米企業の投資誘致に成功し大変貌を遂げました。
戸籍人口約65万人。半分が地元の、半分が他地方から仕事を求めて
やってきて移り住んだ人達。しかし流動人口を入れると100万人は超える、
と言われています。
街そのものは新興都市らしく小奇麗にまとまっています。
仕事の関係で頻繁に訪れたけれども。
中途半端な規模の新しいモノばかりで。
歴史や文化のニオイもなく、私にはイマイチ魅力が感じられず。。
観光地としては郊外に「周庄」という水郷があって、
何度も接待でお客さんと行きましたが。
国家に観光地指定されているとの事で入場料が高く(05年当時100元、今は分かりません)
しかし知名度はあるので休日は観光客だらけ、また、すぐに吹っ掛けて
来るので、何をするにしても口角泡を飛ばす値段交渉が必要で。
ガイド役の私は毎回クタクタでした
いい所と言えば上海ほど人が多くない事くらいか…
静かだし、生活するには落ち着いた場所かもしれないです。
*以上、個人的感想です。
そんな昆山があまり好きではなかった私が、一つだけ「いいな」と思っていたもの。
それがカニ。
所謂上海ガニは実は、昆山市巴城鎮にある陽澄湖で捕れるカニの事で。
(最近ではすっかりブランド化しているので他所で養殖させたものを少し
陽澄湖に放り込んで出荷するのも多いのだそう)
昆山市の秋の投資誘致会には、この上海ガニを大いに振舞うらしい^^;;
私も江蘇に勤務していたので、毎年このカニを陽澄湖まで食しに行く事が恒例になっており。
でも、そんなに大好物でもなく。ミソ以外は食べにくいし。
初鰹とかマツタケみたいな感じで季節を味わう食べ物、であったと言えるでしょうか。
さてさて前置きが長くなりましたが。
お昼の12:30頃
私は、台湾人数人と日本人オジサン友達とで、陽澄湖のほとりにあるレストランにいました。
外のテーブルで湖を眺めながらの食事でしたが、ちょっと寒かった…
沢山のお料理の後で、
いよいよてんこ盛りのカニ登場!!
これこれ~♪
ノルマは一人4匹。
「まだ早いから小振りだけどね」とホスト側の台湾人。
十分多いわ…(汗)
既に、お料理沢山出てるのに。
ミソ食べるので精一杯かも(汗)
台湾人、脚食べるの上手ね~
私が殻を全部除いて食べるのを尻目に、彼らは脚の端を
少しかみつぶしてから「シュッ」と吸って食べてる。
「~~~う~~~!!!」
カニ脚と格闘し始めたその時に、
携帯電話が鳴った ♪♪
おっ、食休み、食休み…
「ちょっと失礼」と目配せして席を立った。
湖を前に、電話を取る。
「ウエ~イ?(もしもし~?)」
「ウエイ!(もしもし!)pang蟹好吃ロ馬?(蟹、美味しい?)^^」
「お~金小姐!好吃~極了♪(お~いし~よ♪)^^」
「那太好了!(そりゃ良かった!)^^」
「(真顔に戻って)…什麼事?(何の用?)」
「竹山が…」
またかい…(ーー;;
「竹山さんが、何?(不機嫌)」
「まだケンカしてるのよ!朝からず~っと、御飯も食べずに…」
「ふ~ん…(--)」
「竹山はまだパジャマのままだし、奥さんは目を真っ赤にしてずっと何か言ってるし…」
「ふ~ん…(--)竹山さんも怒鳴ってるの?」
「竹山は…何も言ってない。…ずっと黙ってる」
…やっぱりね…
「アコ小姐、来てくれないかな~(懇願)」
「…あのさ~、朝も言ったんだけどぉ、竹山さんは私が誘ったの断ったんだよ?
両親にも会おうとしなかったしさ~…何で私が行かなならんの?」
「…私で出来るなら何とかしたいけど、でも言葉が分からないから…」
「それにさ!あの奥さん、すごい嫉妬深いの。
私、一回、竹山さんの愛人と疑われたんだから。」
「ええ~!?本当なの??」
「本当よ、夜中に電話かかってきて色々怒鳴られてさ。だから私も怖いのよね」
「そうなんだ…そう言えば私も睨まれたよ、すごい目つきで。だから今、旦那を
彼らの所に行かせてるんだけど」
「…!?…王さんが??」
「うん…」
「…そんなのほっときーな!あんた達も仕事あるでしょう?しょ~もない。
夫婦ケンカなんか他人がどうこう出来ないんだから」
「でも私、竹山が気の毒でさ~…折角奥さん来てるのに何でこんな事に…」
ああ~もう!運転手夫婦もお人よしと言うか何と言うか…
「…奥さん、紙持ってたけど…」
「…紙?」
「なんか、白い大きい紙。ペン持って竹山にサインしろ、みたいな?」
え…!?
「離婚…とか漢字で書いてあったけど」
え…!?
「あれ、離婚届けかな…?」
ええ~~~!!??(汗)
「…金小姐。…そこまできてたらさ、我々にどうこう出来る問題じゃないと思うよ。
もう、ほっとこうよ。竹山さんも私が行っても却って困るよ…」
「でも…」
「何?」
「私が『アコ小姐、呼ぼうか?』って聞いたら、竹山、頷いたよ」
「はぁ!?」
「だから竹山も来て欲しいと思ってると思うんだけど…」
何だとぉ…
「…じゃあさ…
竹山さんから私に『来て下さい』って電話するように言っといてよ
…私、まだカニ食べないといけないから。ごめんね、じゃあね」
ピッ! (電話切る音)
…なんか余計、頭に来たわ…
困った時だけ、私かよ…
人の事なんやと思ってるんやろ…
しかも自分で言わんと金小姐に言わせてからに…!
ホンマにアッタマ来るオッサンやな~!!!
気分を落ち着けようと
目の前の湖の風景を眺めた。
のどかやわ…
周りにはカニを楽しむ人々…
平和やな…
それに引き換え、竹山さんは
修羅場の真っ最中やな。
気の毒な…
でも、
天罰じゃ
人の気持ちを考えんから、こんな事になるねん(--)
…さ!
カニに、も~どろ♪ ^▽^
席に戻った私に、オジサン友達が「大丈夫なの?」
「大丈夫です!^^こっちこそ、すみません。通訳ほっぽって」
再びカニ脚と格闘しながら…
でも、
段々気になってきた…
やっぱり行った方がいいのかな…(考)…
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この話は【四】単身駐在上司の奥さんの続きです。宜しければ、どうぞ。別窓です。