2007/09/09(日)20:55
【八】酒と車と上司と女
病室に駆け込むと、黒い制服を着た男性が二人振り向いた。
大川さんと竹山さんは緊張した表情…
「すみません、お待たせしました。」と竹山さんに言い、
黒い制服の男性に「私、通訳の者です。どうぞ」
「え~、我々は○○派出所の警官でして…
この度は事故に遭われたという事で誠にお気の毒でした。」
「外国のお客様の事故という事で我々も特に重視しておりまして、
逃走犯逮捕に全力を尽くしますので、どうか御理解下さい。」
双方会釈。
あ~挨拶か~・・・
外賓 wai4bin1…外国客。
中国は基本的に外国人を特別扱いする。昔の外国人料金や
税制措置など経済的区別する場合も多いが、何かあれば、
対一般中国人とは扱いが異なり、対応が丁寧な場合がある。
故に、ワザワザ挨拶にやってきたのも納得だった。
一通り挨拶が済み、警官が「え~と…」と書類を取り出したその時、
「ちょっと、この人ら、誰や?」と、大川さんが訝(いぶか)しげな顔をした。
見ると。
知らない色の黒いオッチャン3人と、モップを杖にしたオバチャンが2人、
シレ~ッと輪の中に入っている(!)
野次馬!!(慌)
「関係ない人は、ゴメン。入ってこないで(汗)」と慌てて追い出して
(5人は表情も変えずに出て行った)
ドアをピッチリ閉めた。
・・・個室で良かった。
大部屋だったら、どれだけの野次馬に囲まれていた事か・・・(汗)
気を取り直して再開。
警官が「目撃者の証言によると…」と事故当時の状況を説明する。
夜11:00頃、大川さんは日本人向けバー「すみれ(私が適当に命名)」に来店。
既に相当酔っていたが、ウイスキーの水割りを3杯ほど更に飲んだ。
その後「帰る」と席を立つ。
「TAXI呼ぶから待ってて」とママは声を掛けたが、大川さんは、そのまま外へ。
心配になったママは、店の出口で大川さんが道路を渡るのを見送っていた。
左手から車が走ってくるのに気付いて声をかけて注意したが、
大川さんはそのまま道を渡り、車にはねられた。
車はそのまま逃走、ママは救急車を呼ぶように店の者に指示し、
大川さんに駆け寄っていった・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
大川さんは下を向いていた。
竹山さんは神妙な顔で聞いている。
「犯人・・・走了?(犯人・・・去った?)」突然、竹山さんが中国語で発言。
警官が「おや?中国語お上手ですね?」とペラペラ~と後に続く。
あれ?竹山さん、会話してくれるの?
と黙っていたら、たちまち会話不能になって、やはり私に振ってこられた(--;
竹山さんは、よくこういう事をする。
ややこしい話の時にこそ、いきなり中国語で話し始めたりする。
一体、何がしたいのだろう。
中途半端に会話に割り込んで来られる事は、
通訳にとって(私だけ?)かなりわずらわしい。
リズムが狂って、集中力が途切れてしまうのだ。
買い物会話じゃないんだから、意味のない事は止めてよ・・・(ーー;;
イライラを抑えて本題に戻る。
「犯人は、どういう人なんですか?」と聞いたら、
「ちょっとお待ち下さい」と警官の一人が廊下に出て
「おい!来い!」と誰かに声を掛けた。
え・・・?(驚)
40歳過ぎくらいの男性が二人、花束を持っておずおずと入って来た。
この人達・・・・・・
・・・・・・ダレ?(汗)
つづく。
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