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2011.09.25
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「♪魂の人間讃歌 ~ ジャズと人生と仏法を語る」

第13回 アメリカの理想を詠う〈上〉

(上−1からの続き)


ショーター: 心から賛同します。
『灰の中から』 の副題は「米国へのテロ攻撃に応える心の声」でしたね。仏教、キリスト教、イスラム、ユダヤ教、ヒンズー教の各宗教を代表するリーダーをはじめ、世界の精神的指導者70人が寄稿しています。メディアでも大きく取り上げられ、多くのアメリカ人が求めて手にしました。

 池田先生は、そのなかで「たとえ時間がかかったとしても、人間にそなわる善性を信じ、そこに呼びかけ、働きかけていく 『文明間の対話』 という地道な精神的営為を、あらゆるレベルで重層的に進めていくことが肝要ではないだろうか」と呼びかけられています。
 まさに先生が示されている通り、理想の世界を創造するためには、「学習」や「対話」というプロセスが大切です。「急がば回れ」です。それは互いに学び合いなから、マイナスをプラスへと転換し、そして毒から薬を抽出していくプロセスです。

池田: 私は、その翌春、インドネシアを代表するイスラム指導者のアブドゥルラフマン・ワヒド元大統領ともお会いし、新しい対話を開始しました。それは 『平和の哲学 寛容(かんよう)の智慧(ちえ)――イスラムと仏教の語らい』 という対談集として結実しました。今こそ宗教間対話が大事であるという思いが、互いに強くありました。元大統領が音楽をこよなく大切にされていたことも、懐かしく思い出されます。
 文化を愛し、芸術を愛する人間同士の対話は、あらゆる差異を超え、心と心を結んでいく――これも、ワヒド元大統領をはじめ、世界の知性と一致した結論でもあります。

ハンコック: 私たちは、人々、特にアメリカ人を励まし、世界の人々や文化に感謝するよう促さなければなりません。なぜなら、この国は移民の国ですから、世界の他のすべての人々は、祖先をたどれば、私たちの兄弟姉妹であり、彼らの文化の中に私たちの文化の起源があるからです。
 アメリカ人が「開かれた心」を持ち、自分たちの社会の外側にいるかもしれない人々を理解し、その人々と対話し、そして、その人々に感謝するよう、励ましていくことが私たちの仕事です。

池田: 「開かれた心」そして「感謝の心」――キーワードですね。ジャズの巨人コルトレーン氏も、万事において、互いに「理解するよう努める」ことを強調していましたね。「理解があれば、きっと想像もつかないことを成し遂げられる」(前掲書)と。
ともあれ、暴力の連鎖(れんさ)に歯止めをかけるのは、「それでも対話を!」という人間の生命の奥底(おうてい)からの叫びであり、その粘り強い地道な作業です。
対話こそ意志が生み出すものです。非暴力とは真理に基づく運動であり、真の強さの証(あか)しなのです。

ショーター: 先生がおっしゃった、人の善性を信じ、語りかけるためには、自らの生命の境涯を上げなければなりません。そうすれば、対話が始まったときに肯定的な何かが生まれます。
 私は今、社会が「暴力」でなく、「対話」の選択肢へ向かっているような兆しを感じます。その「対話」への願望が「恐れ」から生じていなければ、なおさら良いことです。なぜなら、たとえ「対話」がなされても、そこに「恐れ」や相手を一方的に「判断」することがあれば、相手に耳を傾けていることにはならず、実りある「対話」にはならないからです。

池田: 「対話」というものの本質を鋭く突く言葉です。かのケネディ大統領は、有名な就任演説の中で訴えました。「決して恐怖から交渉してはならない。しかし、決して交渉することを恐れてはならない」(ケネディ著 『ケネディ登場』 高村暢児訳、中央公論新社)。この「交渉」という言葉を「対話」と置き換えれば、そのまま対話の心得ともなります。
 対話は、相手次第ではなく、自分次第なのです。恐れに支配されることなく、勇気をもって自分自身の心を開き、相手と対等な立場で語り合うことです。

ショーター: 敵と思う相手でも、真正面から向き合い、目と目で見つめ合えば、お互いが抱(いだ)いていた偽りの想定の向こうにあるものが見えてきます。同じ人間として接する時、何かが起こるのです。敵愾心(てきがいしん)に代わる新たなものが見えてくるのです。それは、「開かれた心」への道です。

池田: その通りです。先ほどハンコックさんが言われた通り、異なる文化的背景を持って集った人々が建設した多様性豊かな大地がアメリカです。
自由で気取らないアメリカ、明るく朗らかなアメリカ、創造性光るアメリカ――私の胸中に輝くアメリカは、虹のごとく多彩にして鮮やかです。

(2011年9月14日付聖教新聞)







最終更新日  2011.09.25 16:11:26
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