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カテゴリ:ジャズと人生と仏法を語る(全15回・完)
「♪魂の人間讃歌 ジャズと人生と仏法を語る」
第14回 地球と人間の律動(下) ハンコック: 音楽は、人々を結びつける極めて有効な方法です。この、人々を結束させるチームの一員でありたいと思っています。最近では、人々の間を引き 裂く状況があまりにも多く、そこから紛争が起こり、多くの人々が犠牲になっています。人々を結束させる方法を見つけることが、ますます重要になっていると 思います。その一つの方法が音楽だと信じています。 池田: そうです。一緒に音楽を演奏し、一緒に音楽を味わう。それは、明るく賑やかな友情の前進であり、平和の行進です。 ジャズでは、よく互いに目配せし合ったり、驚いたような笑顔を交わしたりと、本当に楽しそうに演奏していますね。皆さんが折々の会合で披露してくださった記念演奏などで、特に感じてきました。 ショーター: いつも温かく見守っていただき、ありがとうございます。 大事なのは演奏者として、より陽気に、より笑顔でいることです。沈んだ重い心も、快活な心へ転換していくのです。 そういえばハービーと一緒に、各国首脳の前で演奏したこともあったね。 ハンコック: ああ、覚えているよ。さまざまな国の大統領や代表の種々の会議があり、最終日に、その演奏会がありました。私たちは、パフォーマンスのゲストに呼ばれたのです。 ウェインと私と何人かの演奏家は、始まる前に題目を唱えました。舞台に上がり、演奏を始めると、すべてがうまくまとまりました。すべてがしっくりいきました。 私は、演奏が始まる前の聴衆の様子を覚えています。異なる国のリーダーたちは、双方見合いながら、お互いに距離をおいていました。しかし、演奏が始まる と、少しずつ、前の方へ移動してくるのが分かりました。組んでいた腕を開いて、笑顔になっていました。私たちは即興で演奏していたので、皆、演奏を楽し み、私たちとの旅の一時を楽しみ、良い時間を過ごしていました。演奏が終わると、総立ちで、拍手喝采となりました。 池田: 劇的な光景ですね。即興の名演奏に触れた心からの感動が、巧まずして人々に差異や隔たりを忘れさせ、「人間」という共通の大地に立たせていった──。まさしく平和を創造する音楽の力を象徴しています。 20年ほど前、ロサンゼルスを訪問した折、アメリカの多様性を讃えて、一詩(「新生の天地に地涌の太陽」)を贈りました。 自らのルーツを索(もと)めて 社会は千々に分裂し 隣人と隣人が 袂(たもと)を分かちゆかんとするならば さらに深く 我が生命の奥深く 自身のルーツを徹して索(もと)めよ 人間の“根源のルーツ”を索(もと)めよ そのとき 君は見いだすにちがいない 我らが己心の奥底に 厳として広がりゆくは 「地涌」の大地──と! その大地こそ 人間の根源的実在の故郷 国境もなく 人種・性別もない ただ「人間」としてのみの 真実の証の世界だ “根源のルーツ”をたどれば すべては同胞(はらから)! それに気づくを「地涌(じゆ)」という! いかなる差異も超えて、人間根源の大地に根ざした生命の連帯を広げゆくのが、創価の文化運動なのです。 (2011年10月29日付 聖教新聞)
最終更新日
2011.10.30 14:20:50
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