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2018.01.22
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​藍よりも青く「3・16」研さんのために​

​​広布史〈下〉 創価学会は宗教界の王者である

 1958年(昭和33年)3月15日夜、東京の出発地は、広宣流布の記念式典に参加する青年であふれた。
 翌16日午前3時過ぎ、列車で向かった第1陣の青年たちが静岡の会場に到着。バスで東京を出発した友も、続々と集ってきた。
 白い息を吐(は)きながら駆(か)け付けてきた青年たちに、戸田先生は心尽(こころづ)くしの食べ物を準備していた。
 豚汁(とんじる)である。
 青年たちは事前に、“椀(おわん)と箸(はし)を持参(じさん)せよ”と徹底されていた。その意味が初めて分かった瞬間だった。
 戸田先生は、豚汁で使用した3頭の豚の皮を残しておくよう指示した。恩師の逝去後、その豚皮で、池田先生はペンケースを作り、代表の青年に贈った。
 そこには、“師の心を忘れるな”との思いが込められていた。
 戸田先生が青年を思い、豚汁を用意した一方で、池田先生は、歩くことさえままならない戸田先生の体を気遣(きづかい)い、恩師が乗るための「車駕(しゃが)」を準備した。
 車駕には肘掛け椅子、手すりが備え付けられた。製作費は、すべて池田先生が工面した。
 15日、池田先生は車駕が完成したことを戸田先生に報告。しばらく車駕を見ていた戸田先生から突然、厳しい言葉が発せられた。
 「大きすぎる。これでは戦闘の役にはたたぬ!」
 心配して駆け寄ってきた車駕の製作担当者たちに、池田先生は語った。
 ――戸田先生は、こうした一つ一つの事柄を通して、私たちを真剣に訓練してくださっているんだよ。ありがたいことじゃないか。今のお叱(しか)りの言葉も、先生のご慈愛(じあい)なんだ。
 不二の弟子は、最後の最後まで青年たちを育てようとしている師の心を、誰よりも深く理解していた。​​


◆◇◆ 


 陽光が誓いの青年たちを照(て)らし始めた。
 16日午前8時、6,000人の青年が大講堂横の広場に集まった。この日、来訪を予定していた、時の首相を迎える準備も始まった。
 ところが、状況は急変した。首相から電話が入り、外交上の問題が起こったという理由で、欠席を伝えてきた。
 戸田先生は電話口で怒りを露(あら)わにした。「6,000人の青年が、前々から準備をして、待っているんですぞ。青年を騙(だま)すことになるではないか!」
 首相が非礼を詫(わび)びると、戸田先生は叫んだ。
 「私に詫びよと言っているのではない。詫びるのは、青年たちにだ!」
 受話器を置いた戸田先生は、池田先生をはじめ、青年部のリーダーを呼び、首相の家族らが代理として来ることを伝え、語った。
 「誰が来なくとも、青年と大儀式をやろうではないか!」
 首相の「外交上の理由」は口実であった。事実は、「一国の総理が一宗教団体の会合などに出るとは、けしからん」と横やりを入れた人物がいたからである。
 戸田先生は愛する青年のために、自ら死力を尽くして励ますことを決意した。


◆◇◆ 


 式典の式次第は変更を余儀(よぎ)なくされたが、青年たちは迅速(じんそく)に対応していった。
 式典の準備が進められる中、戸田先生の乗る車駕を担ぐメンバーは、車駕を安定させて移動する練習を繰り返していた。式典の会場周辺は、段差のある箇所もあり、車駕を水平に保つには、全員の呼吸を合わせることが求められた。
 正午前、首相の家族らが到着し、音楽隊が演奏を開始。そのころ、戸田先生は池田先生に体を支えられながら、式典の会場へ移動を始めた。玄関前には車駕が置かれていた。
 恩師は再び叱責(しっせき)した。「大きすぎて、実戦には向かぬ。戦いにならんぞ!」
 この時、池田先生が一歩前に進み出た。「よく分かりました。申し訳ございません。しかし、この車駕は、弟子が真心で作ったものです。どうか、お乗りください」
 弟子の一言に、恩師は、にっこりうなずいた。
 戸田先生は車駕の肘掛け椅子に座り、悠然と青年を見守った。戸田先生の姿に、「軍(いくさ)には大将軍(だいしょうぐん)を魂(たましい)とす」(御書1219ページ)の一節を思い返す友もいた。車駕は、青年たちの中を進んでいった。
 式典後、戸田先生は語った。「体が良くなったら、あの車駕に乗って全国を回りたいな」


◆◇◆ 


 午後0時40分、池田先生の司会で式典が始まった。
 来賓のあいさつの後、登壇した戸田先生は烈々と宣言した。
 「創価学会は宗教界の王者である」
 この宣言について、小説『人間革命』第12巻「後継」の章につづられている。
 「その言葉は、戸田が生涯をかけた広宣流布の、勝利の大宣言にほかならなかった。また、彼が青年たちに放った、人生の最後の大師子吼となった」
 式典後、戸田先生は来賓と懇談。首相の家族の一人は、式典に参加した感想を、こう語った。
 「将来に向かって伸びてゆく宗教だと思いました。そういう意味で今までの既成宗教と違った若い力をもっているという感じを受けました」

 午後2時半ごろ、戸田先生は、池田先生が先導する車駕に乗り、青年たちの拍手に包まれ、式典会場を後にした。
 一切を終え、帰途に就く青年たちを、池田先生は音楽隊のメンバーと共に見送った。やがて、音楽隊員も帰る時間となった時、池田先生は音楽隊長に頼んだ。
 「申し訳ないが、もう1曲、演奏してくれないか。2階に戸田先生がおられる」
 音楽隊が演奏した曲は、「星落秋風五丈原(ほしおつ しゅうふう ごじょうげん)」。詩人・土井晩翠(どいばんすい)が、三国志の英傑・諸葛孔明(しょかつこうめい)の晩年の苦衷(くちゅう)を詠(うた)ったものである。
 この時のことを、池田先生は述懐(じゅっかい)している。
 「私は、心で叫んでいた。“先生、お聴きください。青年部は、弟子たちは意気軒高(いきけんこう)です。ご安心ください!”」
 「3・16」を境に、戸田先生の体は急速に衰弱(すいじゃく)していった。しかし、布団に横たわりながらも、体調が良い時には、池田先生を呼び、師弟の語らいを重ねた。
 ある時は、「今日は、なんの本を読んだのか」と問い掛け、何があっても、指導者は読書を忘れてはならないことを語った。
 ある朝には「昨日は、メキシコへ行った夢を見たよ」「君の本当の舞台は世界だ」と。不二の弟子は、恩師の言葉通り、世界中に後継の弟子が躍動する時代を切り開いた。
 また、ある日、宗門の腐敗(ふはい)の兆候(ちょうこう)を感じ取り、池田先生に厳命した。
 「追撃(ついげき)の手を緩(ゆる)めるな!」
 それは、戸田先生の最後の指導となった。


◆◇◆ 


 式典が行われてから1年が過ぎた1959年(昭和34年)3月16日。池田先生は青年部の代表と共に、戸田先生の墓前に向かった。
 広布の一切の願業を果たした戸田先生は、58年4月2日に逝去。“学会は空中分解する”と世間が騒(さわ)ぐ中で、池田先生は学会の実質的な舵取(かじと)りを担い、同志の心に勇気と希望の灯をともし続けていた。

 恩師の墓前で、池田先生は青年たちに語った。
 ――毎年、3月16日を青年部の伝統ある節目にしていこう。
 戸田先生亡き後、「3・16」を、広布後継の誓いの日「3・16」たらしめたのは、池田先生である。
 私たちが今、その意義を知り、自らの成長の節目とすることができるのは、池田先生がいたからである。
 この「3・16」の精神を継承し、永遠ならしめるのは誰か――。
 私たち一人一人である。
 池田先生は述べている。
 「君よ! 創価三代の人生の大道に続きゆく君たちよ! 
 今この時、今いる場所で断固として勝ち進め!
 その執念の勝利また勝利に、忍耐強き一歩また一歩の前進に、『3・16』の師弟の宝冠は、いよいよ輝くことを忘れまい」

「3・16」研さんのための参考資料
 『人間革命』第12巻「後継」、『新・人間革命』第2巻「錬磨」、第4巻「春嵐」、第25巻「福光」、『池田大作全集第42巻』所収「春秋抄」、『随筆 師弟の光』『随筆 栄光の朝』『随筆 幸福の大道』



(2018年1月22日付 聖教新聞)







最終更新日  2018.02.24 22:28:45
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