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Motor & Outdoor Journalist 安藤眞の         逆説的よろず考現学

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May 11, 2019
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みなさん、こんにちは。

 ​先のブログ​で緊急自動ブレーキにも言及したところ、FBも含めていくつかのコメントをいただきました。この件については本質ではなく「素朴な疑問」程度に書いたのですが、もう少し詳しく触れておこうと思います。

 この事故で、右折車側には緊急自動ブレーキは付いておらず、直進車側には付いていたのは既述の通りです。では、この事故で直進車側の緊急自動ブレーキが作動したとして、最初の衝突事故が防げたかといえば、僕が見立てたタイミングが正しかったとすると「無理」だと思います。ただし、多少の衝突エネルギーの低減になっていた可能性はありますし、ぶつかったタイミングが異なれば、その後にクルマが進んでいく方向も異なるわけで、園児に衝突する事態が避けられた可能性は出てくると思います。

 直進車側が減速したとなると、右折車がより交差点に進入した位置で衝突するはずですから、直進車はもっと左に弾かれ、園児の列には突っ込まなかった可能性が出てきます。ただし場合によっては、タイミングがずれたせいで歩行者にぶつかる可能性も出てきますから、「衝突直前でもとにかく作動させたほうが良い」と言い切ることはできません。

 また、この手の装置は、作動した後もブレーキやアクセルやハンドルが操作されると、「ドライバーが回避行動を行った」として解除されるものがほとんどです。当該事故では、直進車のドライバーは「右折車を避けようとしてハンドルを左に切った」と供述していますから、その段階で作動が解除された可能性もあります。それは「設計通りの振る舞い」であって、システムの欠陥ではありません。

 ただしそうだったとしても、僕は「そのロジックでいいのかな?」と思うんですね。

 何しろ、結果として衝突してしまっているわけですから、仮にドライバーが回避行動を行ったとしても、システムを完全に解除してしまうのではなく、衝突不可避エリアに障害物が入っている間は全力制動を維持したほうがいいんじゃないのか? と思うのです。さらに、作動中に一定以上の加速度が生じた場合、「衝突」と判断して、そのまま全力制動を維持したほうが良いのではないかと考えます(VWなどが「ポストコリジョンブレーキ」という名称で実用化しています)。

 それから「ダイハツのスマートアシストは、バージョンIIでは歩行者には対応していないのでは」との意見もいただきましたが、公式に「歩行者対応」を謳っていないからといって、歩行者にまったく反応しないとは限らないんですよね。それが「回避すべき障害物」だと判定されれば、システムは作動するわけですが、あまり小さいものにまで反応させてしまうと、レジ袋や新聞紙などが飛んできたときにも作動してしまい、不都合が生じるから、小さいものやレーダー波の反射が弱いものには反応しないようにしているんです。その結果、歩行者を確実に検出することができないため、公式に「歩行者対応」が謳えないだけで、「謳っていないから歩行者に対しては一切反応しない」とは限らないんですね。

 逆に「歩行者対応」を謳っていても、身長が低い幼児には対応できていなかったり(公的試験には身長1154mm±20mm/肩幅298mm±20mmのダミーを使用)、画像認識を使用している場合でも、歩行者とは著しく異なる形状のもの(車椅子とか買い物キャリーを押している老人とか、細長い荷物を持っている人とか)には作動しなかったりするものもあります。ですから、保育士さんが園児をかばおうとしてしゃがんでしまったら、システムが見失う可能性もあるわけで、今回の事故でシステムがどのような認識をし、どのような振る舞いを見せたのかをダイハツは検証して、さらなる安全性向上につなげるべきではないか、と思うわけです。

 それからドライバーのみなさんには、「緊急自動ブレーキはその程度のもので、追突が回避できたら御の字」ぐらいに考えておいていただきたいと思います。安全装置が高度化すると、ドライバーはそれに依存してしまい、注意力が低下して危険率はほとんど変わらない、という現象を​「リスクホメオスタシス理論」​と言いますが、くれぐれもそうはならないよう、注意していただきたいと思います。






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Last updated  May 13, 2019 12:02:28 PM
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