2095635 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

Motor & Outdoor Journalist 安藤眞の         逆説的よろず考現学

Motor & Outdoor Journalist 安藤眞の         逆説的よろず考現学

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

安藤 眞

安藤 眞

Favorite Blog

あんどうりす の … りす(*^ ^*)さん

Comments

安藤 眞@ Re[1]:誰も書かない高速道路ETC「もうひとつの問題点」(10/15) Meawさんへ  ご指摘をありがとうござい…
Meaw@ Re:誰も書かない高速道路ETC「もうひとつの問題点」(10/15) 10年以上前の記事ですが、ここで書かれて…
スポンサー降りてやろうか?@ Re:東名高速「あおり運転死傷事故」で、悪いのはあおり運転だけなのか?(12/07) 安藤様が大型免許を取得して、大型トラッ…
通りすがりの名無し@ Re:改めて書いておきたい「道路交通法第38条」の話。(09/30) 困ってしまうのは、歩行者側に「弱者優先…
優(ゆう)@ Re:クルマの運転免許試験にも「急制動」が必要ではないか、という話。(05/17) 死亡事故ワーストな県在住ですけど、10年…

Freepage List

Jun 12, 2019
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類

みなさん、こんにちは。

 前回の記事に「この施策が「成長戦略」の位置付けにあるあたりから、真の狙いが透けて見える」と書きました。率直に言うと、「安全装置の付いたクルマを高齢者に買わせて少しでも景気を改善したい」というのが、真の狙いなのではないかと僕は見ています。

 実は過去にも、これと同じような政策が行われているんです。
 「AT車限定免許」がそれです。

 かつて普通自動車の運転免許は1種類しかなく、ATとかMTの区別はありませんでした。それが変わったのが91年11月で、このとき新たにAT車限定の免許が設定されました。

 勧告を出したのは総務省で、理由は「AT車の事故が急増しているから、AT車の操作に習熟するための専用免許が必要」というものでした。

 ところが、当時('89年のデータ)のAT車の普及率と事故率を調べてみたところ、乗用車に占めるAT車の登録割合が51.1%だったのに対し、AT車の事故率は42.7%と、普及率を下回っていたことがわかりました。すなわちAT車の事故が急増したのは、操作に習熟していなかったからではなく、単に台数が増えただけ(むしろ台数の増加率より少ない)だったんです。

 しかも、AT限定免許の教習課程は、従来の教習課程からクラッチ操作の習得時間分である3時間を減らしただけで、「ATの操作に習熟するためのカリキュラム」が追加されたものではありませんでした。要するに真の目的は「これまでクラッチ操作ができずに免許を諦めていた人にも免許を取らせ、もっとクルマが売れるようにする」ということだったんですね。

 一方で、交通事故件数の推移を見てみると、'89年までは右肩上がりに増加してきたのが、'90年にいったん減少に転じ、それ以降はまた上昇を続けています。特に'98年から'01年にかけて上昇カーブが急激になり、以降は前年維持から減少トレンドへと変遷していきます。

 AT限定免許新設は'91年11月ですから、これによる事故削減効果は、まったくなかったと言うことです。むしろAT限定免許取得者が一定数を超えたであろう'98年から上昇率が高まっているあたりを見ると、逆効果であった可能性さえうかがうことができます(AT限定免許ができてから数年間は、若い人は馬鹿にして選択しなかった)。

 この話は'00年に上梓した自著にも書いたのですが、その際、総務省に「この施策の効果はいかほどあったのか」と問い合わせたところ、「そういう調査はしていない」という回答をいただきました。すなわち「事故防止効果があったかどうかは最初からどうでも良かった」ということです。

 MT車の運転操作には、クルマを運転する際の基本となる「認知」「判断」「操作」が詰まっています。ですからMT車が運転できない人は、この点で適格性を欠いている可能性があります。批判をおそれずに言えば、AT車しか運転できない人は「本来なら運転すべきではない人」なのかも知れません。

 今回の「75歳以上限定免許」も、同様なことが言えないでしょうか?

 緊急対応用の機械でカバーすることを前提にするほど運転技能が低下した人は、本来なら運転を止めるべきであって、機械でカバーしてまで運転を続けさせるというのは、アプローチの仕方として間違っているのではないでしょうか
。もし、安全装置が作動しなかったことが原因で事故が発生したとしたら(現在の安全装置は基本的に「補助装置」ですから、100%作動を保証しているものはひとつもありません)、それにお墨付きを与えた行政も、何らかの形で責任を取るべきではないでしょうか。

 制度の新設には法改正が必要となるはずですから、条文には「事故が発生した場合の行政の責任」も明記しておくべきだと思います。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  Jul 11, 2019 03:15:48 PM
コメント(1) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.