Motor & Outdoor Journalist 安藤眞の　　　　　　　　　逆説的よろず考現学

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• 新型プリウス試乗会で記録した超絶燃費！

  みなさん、こんにちは。　今日はトヨタの新型プリウスの公道試乗会に行ってきました。試作車は昨年のうちにちょろっと乗せていただいたのですが、公道を走るのは初めて。で、すごい燃費が出ましたわ(^^;。　会場は、いつもの横浜インターコンチネンタルホテル。なので、コースもいつも通り、すぐに首都高に入って、大黒PAまで走り、そこで折り返して新山下出口で降りて、山下公園の横から赤レンガ倉庫脇を経由して戻る約20.2kmです。　最初に乗ったのは、広報さんが「売れ筋」というＡグレードのツーリングセレクション。215/45R17タイヤ装着車です。出発時の気温は４℃。エンジンは完全冷機状態からのスタートです。エアコンの設定温度は21℃（以下同じ）。走り方は「それなりにエコドライブには気を使うけれど、先行車から離されたり、後続車から車間を詰められたりしない程度にスピードは出す」という感じです。　駐車場から出ると、ホテルのエントランス前で早くもエンジン始動。これは完全冷機状態スタートだったため、エアコンの熱源を取りに行かなければならないので、止むをえません。その後も、首都高に入るぐらいまでは、ほとんどエンジンは回っていたんじゃないでしょうか（良く覚えていない(^^;）。　首都高に入るとエンジンは温まったようで、一定速巡航時には、エンジンを止めてモーターだけで走り始めます。前モデルは60km/hを超えると、ほとんどエンジンはかかりっぱなしになりましたが、今度のモデルは85km/hぐらいでも、電池残量があればモーターで走ります。　で、大黒PAに着いた時の燃費が30.1km/l。ほとんど高速とはいえ、モード燃費の81％なので、まあ優秀な値と言えるでしょう。　大黒PAで折り返すと、ベイブリッジまでは上り坂になりますから、燃費は当然、低下します。橋のピークを過ぎてからは、なるべく回生を稼ぐようにしましたが、新山下出口の一時停止では27.4km/Lまで低下してしまいました。　ここからはずっと下道なので、普通のクルマなら燃費はそのまま低下していくところですが、そこは溜め込んだ電気で走れるプリウスの強み。周囲の流れに合わせて発進しても、新型はほとんどエンジンはかからず（旧型はわりとすぐかかった）、燃費はどんどん伸びていきます。　で、ゴールしたときには、31.0km/Lまで回復しておりました。　でもまぁ、この数値では、それほど驚きませんよね？　驚いたのは、続いて乗ったＡグレードの15インチタイヤ仕様。スタート時の気温が８℃まで上がっていたことと、試乗会が始まっていたので、暖気が済んだ状態からスタートできたという好条件があったとはいえ、大黒PAでの燃費が33.6km/L、ゴールした時の燃費は、大台越えの40.0km/Lまで伸びていました。　続いて4WDのＡグレードにも乗ったのですが、こちらは33.7km/L。 なかなか良い数値ではないでしょうか。　ちなみに、先代モデルの試乗記はこちらに書きましたが、燃費は当時のインサイトと比較したかったため、高速を使わずに市街地ばかりを走っており、今回の数値とは比較にはなりませんすいません。でも先代プリウスと同じシステムを積むレクサスCT200hが、同じコースを走って21.9km/Lだったので、それと比べても、大幅に改善されていることがわかります。　他にも、乗り心地とか加速のフィーリングとかも、いろいろと良くなっているのですが、２月に三栄書房から「新型プリウスのすべて」の続編が出る予定なので、このくらいにしておきます(^^;。  

  Jan 14, 2016

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• 衝突回避軽減ブレーキに、外部警報も付けたらどうか？　という話。

  みんさん、こんにちは。　レーダーやカメラで障害物を認識し、自動的にブレーキをかけてくれる「衝突回避軽減ブレーキ装置」が、すごい勢いで普及していますね。ただし、確実に止まってくれるわけではないので、くれぐれも依存運転はしないようにしてください。　さて、表題の件ですが、簡単に言ってしまうと、「衝突回避軽減ブレーキや誤発信抑止機能が作動すると同時に、警音器（※）を鳴らしたらどうか？」ということですね。※：「クラクション」のほうが馴染みがあるかもしれませんが、あれはKlaxon社の固有名詞です。　現状の同種のシステムは、ドライバーに対する警報は鳴らしても、外部に警報を発するものはありません。となると、アクセルとブレーキの踏み間違いなどでクルマが暴走し始めても、周囲の人は、異常に気づくのが遅れてしまいます。しかし、少しでも早く異常に気づくことができれば、物陰に隠れるとか、受身の姿勢を取るとか、被害を軽減できる確率は高まると思うんですよね。　実はこれ、実体験から来るものなんです。　僕は信号などで停止する際、後続のクルマがちゃんと止まるかどうか、ルームミラーで確認する癖が付いているのですが、ある時、信号の先頭で止まった際に、後ろから近づいてくるトラックのドライバーが、明らかによそ見をしていることに気づきました。間もなくそのドライバーは赤信号に気づき、全力でブレーキをかけたのですが、すでに止まれるか止まれないか微妙という距離。幸いなことに、僕が止まっていた位置から横断歩道までは少し距離があり、横断歩行者もいなかったので、とっさにクルマを前に出しました。後続のトラックが停止した位置は、僕のクルマのわずか50cmぐらい後ろ。２mぐらい前進して回避したので、何もしなければ追突されていたでしょう。　仮に、クルマを前に出す余地が無くても、衝突前に全身に力を入れれば、鞭打ちなどになるリスクは軽減できますし、ブレーキを強く踏んでおけば、玉突き衝突で二次被害が拡大するのを軽減することもできるはずです。　いちいちホーンが鳴ってはうるさいのではないか、と思う人もいるかもしれませんが、この手の装置は、作動しないように運転するのが原則。作動したのが外部からわかれば恥ずかしいので、依存運転の抑止にもなるのではないかと思いますよ(^^)。  

  Jan 8, 2016

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• 続・そろそろ真剣に「AT車の左足ブレーキ」を検討する時期に来てはいないか？

  みなさん、こんにちは。　前回の書き込みに関しまして、当ブログ開設以来、最多のコメントをいただきました。どうもありがとうございます。安全について関心の高い方が多いことを嬉しく思います。　ただし、一部に誤読と事実誤認が見られるので、その点だけ正しておきたいと思います。　私は持論として「ATのブレーキは左足で踏んだ方が安全ではないか？」と思っていますが、「今すぐ全員そうしろ」とは書いておりません。結論として提案しているのは、以下の２点です。1.私が調べた範囲では、学術的にATの左足ブレーキの得失が検証されたことがないようなので、まずそこのところを明らかにするべきではないか。2.「左足ブレーキのほうが安全かも」と思ったドライバーが、安全に練習できる環境を用意したらどうか。それはペーパードライバー講習のような形で可能ではないか。　１番目は、まず左足ブレーキの得失を学術的に明らかにして、今回のような議論に決着をつけることが必要だ、ということです。 　２番目は、「慣れ親しんだ操作を簡単には変えられない」のなら、練習環境を整備して、ドライバーが個人の責任において選択できるようにしておくべきではないか、ということですね。　「MTでクラッチで踏むことに慣れてしまった左足で微妙なブレーキ操作は難しい」旨の指摘もいただきましたが、半クラッチって、すごく繊細なペダルコントロールですよね？　だからこれも（左足ブレーキ実践者の方が指摘している通り）訓練次第でどうにでもなると思います。個人差はありますから、そこは教習というかたちで、教官の見極めとドライバーの責任で決めればいいんです。　ちなみにアメリカでは、ブレーキをどちらの足で踏むかの選択は、ドライバーに委ねられています。その結果、左足でブレーキを踏む人が多いようです。ATのブレーキペダルがMTのそれより横に長いのは、左足でも踏みやすいようにするためなんですよ。「ならば、もっと左につければ」と思って当然ですが、右足でブレーキを踏みたい人もいるわけで(MTと混用している人など）、両者に配慮した結果が、今のレイアウトなんですね。　それから「クルマの構造は”本質”ではない」というご指摘もいただきましたが、その”本質”に対して有効な策が打てないからこそ、次善の策を検討しているわけですね。現在は認知症ドライバー対策として、75歳以上の免許書き換え時に検査を行うに止まっていますが、もちろんこちらの方面でも、有効な対策を考え続けていく必要はあります。　まあ個人的には、AT限定免許を廃止するのと、60歳過ぎたらAT車の運転を禁止するぐらいのことは、やってもいいんじゃないかと思っておりますが(^^;。 　メーカーでも独自に安全運転講習を主催しているところがありますので、行政が動かないのであれば、そういうところを焚きつけて、左足ブレーキの得失を研究してもらう手もあるかもしれませんね。

  Dec 29, 2015

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• そろそろ真剣に「AT車の左足ブレーキ」を検討する時期に来てはいないか？

  みなさん、こんにちは。　またしても高齢者によるブレーキとアクセルの踏み間違い事故が起きてしまいました。にもかかわらず、地方紙でしか報道されなくなってしまったという現状に、何やら恐ろしさを感じます。　近年は、踏み間違いをしても、警報音を鳴らしたり、一時的にアクセルを絞って急加速しないようにする安全装置も開発されていますが、これらは必ず、一定時間（数秒間）アクセルを踏み続ければ、機能が解除されるようになっています。なぜなら、踏切内に閉じ込められてしまった場合、センサーが遮断機を検知していても、ドライバーの判断で脱出できるようにするためなんですね。　一方で、踏み間違いをしたドライバーというのは、自分が踏んでいるアクセルペダルをブレーキだと信じて踏んでいるわけですから、警報音が鳴ったら、止まろうとしてペダルをより深く踏んでしまう可能性のほうが高いわけです。これでは暴走を防止する効果はほとんど期待できないのではないかと思います（ホンダは電気的にアクセルペダルの反力を強めて、体感的に警報を発するシステムを開発していますので、多少はマシかとは思いますが）。 　ですから僕は、以前から「AT車のブレーキは左足で踏むようにするべきだ」と主張してきました。足の役割を分担してしまえば、そもそも踏み間違いは起こしようがありません。そもそもブレーキとアクセルを同じ足で踏むのは、クラッチペダルが付いているMTしかなかった時代の名残であって、２ペダルなのに片足にしか仕事をさせないのは、むしろ不合理であるはずなんですね。　とはいうものの、これまで慣れ親しんできた方法をいきなり変えて公道を走るのは危険です。左足は微妙なペダル操作に慣れていませんから、ほとんどのひとはブレーキを踏みすぎてギクシャクしてしまうのではないかと思います。　そこで思い至ったのが、自動車教習所の「ペーパードライバー講習」です。免許を取った後もしばらく運転しなかったため、公道を走るのが不安な人に対して実施する講習ですね。料金は内容によって、数千円から５万円ぐらいまであるようですが、これと同様な考え方で、「左足ブレーキ講習」を実施すればいいんです。どれくらいで習得できるのかについては個人差もあるでしょうけれど、そこは「国から認可された資格を持っている」というドライバーの責任において判断するべきでは無いかと思います。　実はこの件については、2003年の第126通常国会で質問されたことがあるんです。しかし、答弁は「さまざまな有識者に聞いてみた」というだけで、賛否のはっきりしないあやふやなものでした（リンク先の一番下の方です）。おそらく、きちんとした検討が行われたことが無いのでしょう。ならば今こそ、一定数のモニターを使った実験をして、左足ブレーキへ移行するのにどれくらいかかるのか、実際の安全性はどうなのかということを、真剣に考えるべき時期に来ているのでは無いかと思います。 

  Dec 25, 2015

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• 自動運転自動車実現のための、小さそうで大きなハードル。

  みなさん、こんにちは。　今年は東京モーターショーの開催年です。欧州メーカーの出展もだいぶ戻ってくるようで、リーマンショック以前の賑わいが戻ってきそうですね。　さて、今年の技術展示の目玉になりそうなのが、自動運転です。技術的にはほぼ完成されていると言っても過言ではありませんが、事故が起きた時の法的責任など、きちんと決めなければならない課題がまだまだたくさんあり、本当に実現するのかどうかは、ちょっと不透明なところがあります。　何より実用上、問題になりそうなのが、「いったい何km/hで走らせるの？」ということです。　タテマエの上では、制限速度を超えて走らせるわけには行きませんが、首都高でも郊外の空いた道でも、制限速度を守って走っているクルマなんかほとんどありません。そこに、制限速度きっちりで走るクルマが紛れ込んだら、渋滞が発生するのは必至でしょう。追い越し禁止エリアでうしろに付いてしまったドライバーはイライラするでしょうし、我慢できずに追い越して、捕まってしまうドライバーもいるかも知れません。（何より、乗っている本人がいちばんイライラしたりして(^^;）　それじゃ、先行車と同じ速度で走るように追従すれば、というアイデアが出てくるはずですが、自車が先頭とか、自分しか走っていない時には、やはり制限速度で走らざるを得ないという妙なことになてっしまいます。　となれば、制限速度をきっちり守っても問題ない車両＝路線バスや高速道路内の大型トラック（90km/hでリミッターが作動する車種）は自動運転化できても、一般の自家用車にまで展開するのは無理なのではないか？　という疑問が出てきます(^^;。　どなたか、良い解決策を思いつく方はいらっしゃいませんか？ 

  Oct 16, 2015

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• VWの排ガス不正事件は、他社には波及しないのか!?（その２）

  みなさん、こんにちは。　今回は、排ガス浄化装置と燃費の関係についてのお話ですが、このへんは「ガソリン車は大丈夫なのか？」という話とも関係してきますので、まずそのへんからお話ししましょう。　ガソリン車の排ガス浄化装置は「三元触媒」といって、CO、HC、NOxの３つを同時に浄化し、CO2とH2Oにすることができます。COとHCは、ガソリンの不完全燃焼によって生じ、NOxは空気が高温に晒されることで、本来は結合しない大気中の窒素(N)と酸素(O)が化合してできてしまいます。　これらを三元触媒でもれなくCO2とH2Oにするには、理論空燃比で燃やす必要があります。理論空燃比とは、ガソリンを燃やした時に、ガソリンが全部燃えてしまい、なおかつ酸素がひとつも余らない重量比で、ガソリン１に対して空気が約14.7の比率と言われています。　ガソリンは炭化水素燃料ですから、炭素と水素を主成分にしています。でも、なんとかブタンとかヘプタンとかペンタンとか、複数の化合物から出来ていますので、ひとつの化学式では表せません。めんどくさいので「HC」 としますが、これがH2OとCO2になるには、３個の酸素が必要で、こうなる比率が「理論空燃比」だと思ってください。　で、ガソリンエンジンの場合、理論空燃比で燃やしている限り、三元触媒があれば浄化率は95〜98％ぐらいになります。パワーを出すには、もうちょっと濃い12.5〜13ぐらいの空燃比が良いのですが、そうするとCOやHCが出てしまいます。急加速の際に、これぐらいの空燃費を短時間、使用しているクルマはかつてはけっこうあったようですが、安易に使用すると実用燃費が悪くなりますから、各メーカーとも、なるべくやらない方向に向かっているようです。それ以外に空燃比を濃くしているのは、エンジン始動時とエンジンが冷えている間のアイドリング時ですが、これもコールドスタートエミッション（冷間時排ガス）の計測が始まったJC08モード適用以降、減らす方向に向かっています。　では薄いほうは、というと、かつては「リーンバーン」という低燃費技術があったように、薄くした分だけ吸気損失が減り、燃費は稼げます。しかし、燃焼が不安定にならないようにするためには、せいぜい17ぐらいまでしか薄くできず、あまり取り分は大きくありません。しかも酸素が余るので、三元触媒ではNOxの浄化ができなくなります。最近は排ガスを再吸入させるEGR(Exhausut Gas Recirclation)で吸気損失を削減する技術が確立していますから、不正をしてまで燃費を取りにいく「うまみ」がほとんどないんですね。　というわけで、ガソリンエンジンの場合、「お目こぼし」の範囲で濃くする程度はやっていても、法に抵触するという意味での「不正」は行われていないと思います。直噴ガソリンの場合、PM2.5が出てるんじゃないかという疑いはありますが、少なくとも法規を逸脱した「不正」は、やっていないのではないかと思います。　それではディーゼルエンジンの排ガス対策はというと（PM対策のフィルターは除きます）、リーンNOxトラップ触媒、尿素SCRシステム、低圧縮比化の３つが存在しています。　ガソリンエンジンは基本的に理論空燃比燃焼ですが、ディーゼルエンジンは基本的にリーンバーンです。これは着火方式の違いによるものですが、説明するのはめんどくさいので(^^;;、そういうものだと思ってください。リーンバーンの場合、排ガス中に酸素がたっぷり入っていますから、三元触媒を使っても、浄化できるのはCOとHCだけで、NOxのNとOは離れてくれない（というか、一度離れても、近くにあるOがすぐくっついてしまう）んですね。　そこでNOxを触媒にトラップしてしまおうというのが、リーンNOx触媒です。しかし、トラップ量は無限ではありませんから、いずれいっぱいになって効き目がなくなってしまいます。そうなったら、意図的に軽油の噴射量を増やして、排ガス中に余剰のCOとHCを作り、NOxからOを引っ剥がしてCOやHCにくっつけ、トラップしたNOxを吐き出すということが行われます。　すなわち、触媒に溜まったNOxを空するために、軽油を余分に噴射する必要が生じるわけで、これが燃費を悪化させてしまうんですね。しかもNOxトラップ触媒には貴金属を使いますから、コストを抑えるためには、なるべく小さくしたい。小さくするとトラップ能力が落ちますから、そもそも生成されるNOxを減らさなければならない。そのために行われるのが、燃料の噴射時期の遅角です。　効率良くパワーを取り出すためには、軽油を燃やし始める理想的なタイミングがあります。自転車のペダルを踏むのに、力を入れやすいタイミングがあることを想像すれば、イメージできるのではないでしょうか。　ところが理想的なタイミングで燃やすと、圧力と温度が高くなり、温度が高いほど生成しやすいNOxの量が増えます。だからタイミングを遅くして、あまり圧力と温度が上がらないようにするわけですが、すると、ペダルが下がってから自転車を強く漕ぐのと同じで、効率が悪くなる＝燃費が悪化してしまうんですね。　ということで、排ガス測定モードだけクリヤして、安いコストで実用燃費を高めようと思えば、二重プログラムで排ガス浄化装置を失効させればいい、と、悪魔がささやいたのだと思います。　では尿素SCRは、というと、尿素水を排ガス中に噴射して、加水分解で生成したアンモニア(NH3)を使ってNOxを浄化しますから、軽油を余剰噴射する必要はないし、リーンNOx触媒よりも浄化効率が高いので、噴射時期の遅角も大きくせずにすみ、燃費の悪化を抑えることができます。その代わり、20Lレベルの尿素水タンクや、尿素噴射装置を積む必要があるので、コストも搭載場所も必要になるのですが、なにしろ燃費が悪化しないので、中型乗用車から大型トラックなどは、尿素SCRが主流になっているんですね。　このシステムの場合、不正をしても、燃費はほとんど良くなりません。尿素の消費量が、多少、抑えられる程度でしょう。だからこのシステムを搭載しているクルマは、不正をしている可能性はほとんどないと考えて良いと思います。VWはパサートには尿素SCRを使用しているにも関わらず、不正プログラムを使用していたようですが、これはSCRの出来が悪くて効率が低く、EGRや点火遅角を多めに使わないと規制値をクリヤできなかったか、十分の容量を持った尿素タンクの置き場所が確保できずに、補充サイクルを伸ばそうとしたかのどちらか（両方かも）だったのではないかと想像します。　もう一つの手段である「低圧縮比化」ですが、これはマツダが採用している方式です。圧縮比を下げると燃焼開始温度が下がり、燃焼温度そのものも低下するから、NOxの生成が抑えられるわけですね。圧縮比というのは機械的に決まってしまい、プログラムで動かせるものではありませんから、その点では「不正は行いようがない」と言えるのではないかと思います。　ただし、圧縮比を下げただけではNOx規制値をパスすることはできず、EGRや点火遅角も併用しています。EGRを入れる量や燃料噴射時期については、コンピューターで自在にコントロールできますから、システムとしては「不正をする余地はある」と言えますが、マツダがやっているかどうかは、個人では確認できないので言及しません（NOx後処理方式ではないので、不正はしていなくても、負荷が高まれば尿素SCR式より多めのNOxが出ちゃってる可能性はあります）。　というわけで、各メーカーの「不正なプログラムは使用していない」というのは、おおむね信じて良いのではないかと思います（規制値より多くの汚染物質が出ているかどうかはまた別の話です） 。　プログラムの不正を行わせないようにするために、今後は実走行でも排ガスを計測することが検討されているようですが、あわせて、現在は企業秘密として開示されていない制御プログラムそのものを、関係省庁に提出することを義務付けるようにすれば、より不正の抑止力になるのではないでしょうか。

  Oct 7, 2015

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• VWの排ガス不正事件は、他社には波及しないのか!?（その１）

  みなさん、こんにちは。　表題の件、該当者種が日本に正規輸入されていなかったせいか、VWの経営やドイツ経済に与える影響のほうに話が行ってしまって、技術的な問題については、沈静化してしまった感じですね。　この件が明らかになってすぐに、マツダやBMW、ベンツなどから「当社は不正なソフトは使用していない」との発表がありましたが、果たして本当でしょうか？　あるいはVWは、ガソリン車では不正をしていないのでしょうか？　という話をするには、まず「不正」とは何かを、きちんと定義付けする必要があります。　排ガス試験は、あらかじめ定められたパターンに沿った走りかたをして排出ガス量を測定し、規定値に収まっているかどうかを調べます。単位は「g/km」。すなわち「1km走行あたり、どれだけ出るか」であり、濃度(ppm)ではないことを覚えておいてください。　試験は実際に道路を走るのではなく、シャシーダイナモというローラー台の上で行われます。なぜそうするのかといえば、風や気温など条件の統一が容易なことと、測定器をクルマに積まなくていいからというのが大きな理由です。後者は、今やクルマに簡単に積める大きさの機器ができていますが、そうでなかった時代のやりかたが、そのまま継続されていると考えていいでしょう。　走るパターンや、有害物質の分類の仕方は、日米欧でやや異なりますが、日本の場合、乗用車はJC08モード（トラックはJE05)と呼ばれるパターンで走り、CO、HC、NOx、PMの排出量を計測します。このときの排出量を、試験で走る仮装走行距離で割り、g/kmの数値が規定内なら合格となります（測定方法については、こちらが参考になります）。　で、このテストのパターンで有害物質の排出量が規定値内に収まっていれば、パターンを外れた際に排出量が増えても、日本では「合法」ということになっています。それは、単位が「g/km」だからで、例えばテストパターンより強い加速をした場合や、スピードは同じでも上り坂だったりした場合は、ギヤが低くなってエンジン回転数が高まり、排ガスの量そのものが増えますから、排ガス浄化装置がきちんと働いていて有害物質の濃度が変わっていなくても、「g/km」で算出すると増えちゃうからなんですね。　アメリカは、テストパターン外の走行にも網をかけていますが、「排ガス浄化装置を保護するため」で、なおかつ「通常の走行時によくある条件以外」では、排ガス浄化装置を失効させることは例外的に認められています（触媒保護のためのガソリン冷却はセーフ）。　で、このあたりを拡大解釈したプログラムを作り、東京都にバレてダメ出しを食らったのがいすゞです。JE05モードの走行パターンを見ればわかりますが、頻繁に加減速を繰り返しており、一定速で走行している時間がほとんどありません。だから、「一低速走行が長く続いたら、排ガス浄化装置の機能を落とせ」というプログラムを作っちゃったのでしょう。　でも40km/hで定速走行するというのは、どう考えても「通常の走行時によくある条件」ですから、ダメ出しを食らうのも当然ですね。「通常の走行時によくある条件」というのもなんとも曖昧ですが、少なくとも、排ガス測定モードの中にある負荷率（アクセルの踏み込み量と踏み込み速度）と同じなら、持続時間にかかわらず、排ガス浄化装置の挙動は同じでなければならない（違えばアウト）と考えて良いのではないかと思います。　では、なぜそんな不正に手を染めてしまうのかといえば、一番起きな理由は「燃費が良くなるから」なんですね。どうしてそうなるのかという話については、また次回。  

  Oct 7, 2015

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• VWの排ガス不正事件は「寝た子を起こした」か!?（の続き）

  （続き）　特に軽自動車は、660ccという排気量の上限があるため、ターボ装着車が多いし、排気量が小さいから通常走行時でもターボが稼働することが多く、ガソリン冷却の機会も多いから、非常に問題が大きい。一般に、小さくて排気量の少ない軽自動車は環境にやさしいと思われているが、ことターボ車に関しては、実態は正反対なのである。　しかしもし、ガソリン冷却が禁止されてしまえば、ターボの使用は絶望的となり、商品力が大幅に低下してしまう。　ならば、排気量規制は撤廃してしまい、代わりに馬力の上限を決めれば良いのである。たとえば上限を55馬力として、排気量は何CCでもOKとすれば、１リッターぐらいのエンジンの使用が可能になり、低速トルクがたっぷりあって使いやすく、排ガスも「真の三つ星」に値するほどきれいな理想的コンパクトカーができあがるはずで、それをやらないのは、政府の怠慢と業界との慣れあいと、無知な自動車メディアに大きな責任がある。　軽自動車で、もうひとつ問題なのは、貨物車（４ナンバー）の排ガス規制が甘いことである。特に、平成10年規制が実施される以前は、小型ディーゼルトラック以上のCO・HCと、ほとんど同等量のNOxの排出が認められていた。そして、その規制以前のクルマは、今でも現役でたくさん走っているのである。　しかも、現在（平成14年規制）でこそ、NOxに関してはディーゼル乗用車よりも少ないが、COは小型ディーゼルトラックの５倍、HCはほぼ同等の排出が認められている。　なぜかといえば、貴金属を使用する触媒は高価であり、究極のエコノミーカーである軽４ナンバーに乗用車並の排ガス規制を適用してしまうと、触媒のボリュームを上げなければならず、コストが上昇してしまうからだ。技術的には乗用車のものを水平展開すれば住むのだが、環境よりも経済が優先されているのである。　もうひとつの問題は、AT車の増加である。AT車はMT車に比べ、一般に燃費が悪い。同じ距離を走るのに、多くの燃料を消費するということは、それだけ排出ガスの量が多くなることを意味する。筆者がエンジニアをしていたときにも、認証担当者が「AT車の排ガスがどうしても既定値に入らない」と頭を抱えていたのを目撃している。　AT専用免許ができて以来、MT車は減少の一途をたどっているが、本来ならMT車に優遇税制を設けて普及促進を図っても良いくらいなのである。　このように、現在の排ガス規制には、非常に大きな穴がある。平成17年からは、ほとんどすべての車種で規制が強化される予定（ということは、やはりディーゼルだけが悪者ではなかったことの証明だ）であるが、10・15モードの見直しは行われる予定はない。　燃料電池車の開発に補助金を出すより先に、政府にはやらねばならないことがあるはずなのだが、経済に結びつかないものは、いつも後回しである。(芸文社 Car In and Out 2004年２月号初出）

  Sep 29, 2015

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• VWの排ガス不正事件は「寝た子を起こした」か!?

  みなさん、こんにちは。  　表記の件、大変なことになってしまいましたね。日本では該当者種は正規販売されていないとはいえ、イメージダウンは必至でしょう。 　実走行か検査かを見分けるのは、実は非常に簡単なんです。検査は試験台の上で行いますので、車速センサーと加速度センサーの信号を見比べれば、一発でわかっちゃうんですね（ 車速が上がっているのに加速度が出ていないのなら台上）。 　本件について「他社も似たり寄ったり」とする記事も見受けられます。確かに、測定モードを外れると有害物質の排出量が増えてしまうというクルマは少なくありませんが、排ガス中の有害物質の規制単位は「g/km」なので、浄化装置が正常に機能していたとしても、負荷率が上がれば排出量が増えるのは避けられないんです。そういうケースと、確信的にプログラムを二重化していたというのをごちゃまぜに論じないようにしていただきたいと思います。 　その 「測定モードを外れると有害物質の排出量が増えてしまう」ということについて、単に負荷率増大によるやむを得ない増加以外の問題点を、過去に記事にしたことがあったので、以下に貼っておきます（当時は話題にもなりませんでしたけど）。 　ちなみに現在の排ガス測定モードは「JC08」に変わっていますし、各メーカーとも、ガソリン冷却を減らす努力もしていますので、記事掲載当時（2004年２月号掲載なので、2003年までの状況を基にしています）よりマシにはなっていると思います。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 　2003年11月には首都圏のディーゼル車規制が強化され、ガソリン車でも「三つ星」を付けた「超ー低排出ガス」認定車が増えてきた。これで、自動車に起因する大気汚染は解決に向かうに違いない　……というのは、実は多いに早計で、日本の自動車の排ガス規制には大きな問題がある。ディーゼルの規制強化はまだしも、三つ星のクルマがどれだけ増えたところで、空気はほとんどきれいにならないカラクリがあるのだ。　まず、写真１と２を見ていただきたい。指にススが付いていないほうが「一つ星」のクルマで、真っ黒いススが付いている２つが「三つ星」のクルマである。排気管の内側を比べても一目瞭然。三つ星車のほうが真っ黒で、汚い排ガスを出していることがわかる。　では、なぜこういうことが起こるのだろうか？　最大の原因は、排ガス測定モードである「10・15モード」にある。排ガス中の有害物質の排出量は、10・15モードで定められた走行パターンを走ったときにのみ、規制値以下に収まっていれば良いとされているのだが、この走行パターンが、現実の走行と大幅に食い違っているのである。　グラフと表をご覧いただきたい。これが「10・15モード」の走行パターンで、都市部の一般道走行を想定した「10モード」と、都市高速の走行を想定した「15モード」によって構成され、10モードを３回、繰り返した後、15モードを１回、走り、排ガス中の有害成分を計測するのである。　少し細かくみてみよう。10モードの最高速度をみると、40km/hである。一方、都市部を実際に走ってみると、最高速度は50km/h以上になることは珍しくない。まず、最高速度の設定がおかしいことがわかる。　次に、どんな加速をしているかをみてみよう。２番目のモードでは、停止から20km/hまで加速するのに７秒かかっている。６番目のモードでは、停止から40km/hまで加速するのに14秒だから、加速度は同じである。　このときの加速度は、本誌'03年12月号にも書いた通り、０・79ｍ／s^2で、50m走に換算すると11.22秒と、小学校低学年のかけっこ並みの遅さなのである。　あるいは、実際に「停止から20km/hまで加速するのに７秒」というのを、自分のクルマで試してみて欲しい。頭の中で想像するだけでも構わない。ごく普通に発進しても、３秒もあれば20km/hには達してしまうはずで、10モードの加速がどれだけ緩慢なものであるかがわかるはずである。　クルマの排ガスは、加速中に最も多く排出されるし、汚染度も高くなる。しかし、こんなにのんびりとした加速中の排ガスさえ既定値以内なら、それ以上に加速したときにどんな汚い排ガスを出していようと「排ガス規制適合車」になるし、三つ星だってもらえてしまうのだ。　実は10モードは、昭和30年代に甲州街道の牛込柳町から杉並までを走って決められたものであり、それが見直されることなく使われている。ここに大きな問題があるのである。　昭和30年代といえば、現在に比べてクルマの加速性能ははるかに低かったはずで、しかも計測はMT車で行われているはずだから、それほど無造作な加速もできなかったはずである。だからこそ「小学校低学年のかけっこ並」の加速でも、不自然ではなかったのである。　ところが現在は、クルマの加速性能は著しく向上しているし、ATの変速ショックも小さくなっているから、みな無造作に加速する。実際に甲州街道の該当区間を走ってみればわかるが、40km/hに達するまで14秒もかけて加速しているクルマなど皆無であるし、最高速度だって60km/hぐらいはすぐに出てしまう。　15モードにも、大きな問題がある。２モード目の「停止から50km/hまでの加速」というのは、都市高速の料金所からの合流を想定してのことだろうが、この加速度は０・77m/s^2と、一般道のそれより遅いのである。そんな馬鹿なことがあるだろうか。　しかも、10・15モードの排ガス測定では、「走る」と言っても「シャーシダイナモ」というローラー台の上であり、想定される勾配はゼロだ。もちろん、エアコンもかけていない。　坂道を登るということは、重力加速度に抗しているのと同じ意味で、条件としては「加速」と変わらないから、上り坂になれば排ガス量は増える。エアコンのコンプレッサーを回すのはエンジンで、そのために余分なエネルギーを使うから排ガス量は増える。　一方、実際の道路で勾配が無いところだけ選んで走るのは不可能だし、今や多くの人が、一年中エアコンをかけっぱなしである。　このように、最高速度や加速度の設定のみならず、走行条件の設定も、10・15モードは現実と大きく乖離しており、これを実態に合わせないかぎり、規制値だけ取り上げて「世界一厳しい」と言ったところで、大気汚染の改善は見込めないのである。　さて、もう一度、写真をご覧いただきたい。３枚ともガソリン車の排気管である。　ディーゼルの規制が敷かれたときに、「ガソリン車からはスス（PM)は出ない」という報道が盛んになされていたが、では、この指先についているのは一体何なのであろうか？　これがススであることは、誰の目にも明らかであろう。ガソリン車でも、ススを出して走っているのである。　なぜこういうことになってしまうのか。それには、ガソリン車の排ガス対策がどんな方法で行われているのかを知る必要がある。　一般にガソリン車は、排ガスの浄化には「三元触媒」という装置に頼っている。　物が燃えるには空気（酸素）が必要であることは、誰でも知っていることだと思う。ガソリンが燃えるためにも、もちろん酸素が必要だ。　そして、ガソリンが燃えたときに、酸素分子がひとつも余らず、かといって不足することなく完全に燃焼できる空気とガソリンの割合（重量比）を「理論空燃比」と言い、ガソリン１に対して、必要な空気は14・７とされている。　この比率で空気とガソリンを良く混ぜて燃やしてやれば完全燃焼し、不完全燃焼によって発生するCO（一酸化炭素）やHC（炭化水素）は発生しない……かといえば、実はそうではない。エンジン内の燃焼は、千分の１秒単位で終了してしまうため、理論通りの均質な燃焼はできず、必ず燃え残りのCOやHCが出てしまうのだ。　また、空気中に78％も含まれている窒素は、常温では酸素とは結びつかないが、高温になると酸素と結合してNOx（窒素酸化物）となる。すなわち「酸素が余らない空気とガソリンの比率」の中から酸素を奪ってしまうため、燃焼に使うための酸素が不足してしまい、これもCOとHCを発生させる原因となっているのである。　三元触媒の働きは、そのようにしてできてしまったCO・HC・NOxを、触媒作用によって無害化することにある。具体的には、本来、結合してはいけないNOxを窒素と酸素に分離させ、結合するべきCOやHCに与えることによって、COをCO2に、HCをH2OとCO2に変え、「結果としての完全燃焼」を実現させるのである。　現在、三元触媒の浄化効率は95％以上と言われているが、それは触媒の温度が300℃以上に上がってからのことで、それ以下では温度が低くなるほど、浄化効率は低下する。つまり、エンジン始動直後は、三元触媒は働いていないのである。　そこで、触媒が少しでも早く温まるように、最近ではなるべく排気ポートの近くに触媒を設置するような設計がなされているが、実はこれは、高出力車やターボ車にとって、あまり都合の良いことではない。　少ない排ガスでもすぐに温まるということは、排ガスが多くなる高回転・高負荷運転時には温度が高くなりすぎて、触媒が溶けてしまうのである。　そこで何が行われるのかというと、「ガソリン冷却」という手法だ。ガソリンに限らず液体はみな、蒸発するときに気化熱を奪い、周囲の温度を下げる。この性質を利用して、燃焼温度を下げて触媒を守るため、燃え残りが出るのを承知でガソリンの噴射量を増量するのである。　ガソリン冷却が行われているときの空燃比は、ノンターボでも11〜12、ターボエンジンならば９〜10という、メチャメチャに濃いガソリンが噴射される。その結果、燃え残ったガソリンは大量のHCになるばかりでなく、ススにさえなって排気管の内側にこびりつく。　その証拠が冒頭の写真であり、３枚の写真のうち、もっとも指が黒く汚れているのが、三つ星認定を受けている軽のターボ車の写真なのである。　国産車であれば、ターボ付きのクルマはほぼ例外なくガソリン冷却を行っていると考えて良いし、ノンターボのクルマでも、リッター当たりの出力が１００馬力を越えるようなエンジンは、まず間違いなくガソリン冷却を行っている。　ガソリン冷却が行われるのは、ある程度以上の加速時や高速走行時に限られるから、加速が極めて緩やかな10・15モード走行ならば、規制をパスすることができる。いくら「超ー低排ガス車」のステッカーが貼ってあっても、実態はCO・HC・黒煙出しまくりの「超ー排ガス車」なのである。　しかも困ったことに、最近は特別な高出力車でなくても、３つ星を取ってしまったばっかりに、高負荷運転時にはガソリン冷却しなければならなくなっているケースさえ出てきている。これでは一体、何のための「低排ガス車」指定制度なのかわからないではないか。　このようなことを防ぐためには、排ガス規制の方法を10・15モードに頼るのではなく、「理論空燃比以上に濃い空燃比での燃焼を禁止する」という一文を、大気汚染防止法に盛り込むべきなのである。（続く） 

  Sep 29, 2015

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• クルマが走り抜けられる水深の限界は、どれくらい？

  みなさん、こんにちは。　台風１８号に起因する豪雨で、北関東から東北の広い地域で水害が発生してしまいました。災害に遭われた皆様には、お見舞いを申し上げます。　さて、今回の水害を受けて、表題のような質問をいただきました。以前にも書いたような気がするのですが、改めて書いておこうと思います。　ざっくりした目安ですが、走り抜けられる水深は、普通の乗用車（都市型ＳＵＶ含む）でタイヤの半分、オフロード用四輪駆動車（都市型ＳＵＶ除く） でタイヤの３分の２だと思ってください。それより深いと、車体が浮き上がって駆動力がかからなくなったり、電気系が水没してエンジンが止まったり、エンジンの吸気口から水を吸い込んでエンジンが止まったりということが起こります。クルマが止まった後も水位が増え続ければ、脱出が困難になるか、そのまま流されるかで重大な事故につながる恐れがあります。　アンダーパスのような場所を通過しなければならないような場合でも、できるだけ静かに進入し、波を立てないように静かに走り抜けてください。波を立てると、エンジンの吸気口から水を吸い込みやすくなるというのが理由です。特に最近のクルマは、燃費や出力を向上させるため、なるべく冷たい空気が吸い込めるように、吸気口がクルマの前に向かって開いている傾向があります。勢い良く水たまりに進入すると、フロントグリルが水を持ち上げて、吸気口を水没させてしまうリスクが増えてしまうんですね。　ある程度、水深があるところに入ってしまったとしても、慌てる必要はありません。落ち着いてバックするか、水深を確かめながら静かに前進すれば、ほとんどの場合、大丈夫です（もちろんタイヤの半分より深そうだったら、諦めてバックするのが賢明です）。急いで通過しようとして強くアクセルを踏むと、エンジンが空気を吸う力が強くなります。その上、波を立ててしまいますから、自分からリスクを大きくしてしまうようなものです。排気管が水没したとしても、アイドリングしている限りは排気圧がありますから、エンジンまで水没しないレベルならエンジンが止まることはまずありません。　ネットで「排気管が水没した段階でエンジンが止まるから、アクセルは戻すな」という情報が広まっていますが、水深１mでも水圧は１気圧です（間違えました。0.1気圧です(^^;）。タイヤ半分で、だいたい30cmぐらいですから、排気管の高さが20cmあれば、水没するのは10cm。水圧は0.1気圧にしかなりません（これは0.01気圧に訂正します）。この程度では、アイドリングの排気圧があれば、エンジンは止まりません。　信じられないかたは、アイドリング状態で排気管を手で塞いでみてください。大人が思い切り押さえても、エンジンを止めるのは無理だということがわかります。（試すなら、やけどにはくれぐれも注意して、マフラーが熱かったらやめてください。試すのはアイドリング状態だけにして、アクセル踏むのも危険です）　あ、いや、やっぱこれは危ないのでおすすめしません(^^;。むしろ、ホースを口にくわえて反対側を10〜20cm水に沈め、どれくらいの力で息が吐けるかを試したほうが、水圧を実感するには適当かつ安全でしょう。うまい具合にホースがあればいいですけどね(^^;。 　ちなみに、JAFの実験画像がありましたので、紹介しておきます。どちらも吸気口から水を吸い込んでしまったのが原因ですね。SUVでも、車速が乗用車の３倍になれば、同じように止まってしまうのがお分かり頂けると思います。 

  Sep 11, 2015

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• 自転車運転者講習制度で、もっとも注意すべきは”信号無視”!?

  みなさん、こんにちは。　表記の件、６月１日から施行された同制度で、停止線を超えていたために”信号無視”を取られた例があるそうで、それについて解説したいと思います（これは僕も盲点でした）。　道路交通法第７条には、「道路を通行する歩行者又は車両等は、信号機の表示する信号又は警察官等の手信号等（前条第一項後段の場合においては、当該手信号等）に従わなければならない。」とあります。これだけ読めば、「赤信号のときには交差点を通過してはならない」ということは容易に理解できますが、問題はその下位にある”道路交通法施行令”です。　この第２条に「信号の意味等」というのがあり、「赤色の灯火」の２番目に「車両等は、停止位置を越えて進行してはならないこと。」とあります。さらに、枠内の一番下にある備考欄を見ると、停止位置の定義が書いてあります。それによると、停止線がある場合は停止線、横断歩道がある場合はその手前、何もない場合は交差点の最前端、とされています。すなわち停止線を踏み越えただけでも、「信号を無視して進行した」ということになってしまうのです（黄色信号の間に踏み越えた場合には、”黄色の灯火”の「ただし」以降の規定が適用される場合もあります）。　というわけで、文言に厳密であれば違反を取られても仕方ないのですが、現実的な危険度を考えれば、自転車専用の解釈があっても良いのではないかと思います。　自転車の場合、左折巻き込みの防衛手段として、ドライバーの視界に入る位置まで前に出ることはありますし（二輪と四輪の停止線を分けている交差点すらありますから）、特に左折専用レーンがあるような場合、前に出ておかないと、危険な場合すらあります。　横断歩道に侵入して歩行者の妨害をするのは「アウト」で構いませんが、自転車の安全性を無視して杓子定規に運用したのでは、警察も反感を買うばかりでしょう。 　もし自転車の停止線オーバーをそこまで取り締まるのであれば、公平性を欠かないレベルでクルマやバイクも取り締まらなければならないはずです。特にクルマの停止線オーバーの場合、交差する道路を通行する大型車の旋回軌跡を考慮した位置に引かれている場合もあり、これを越えてしまうと大型車が曲がれなくなるようなケースもありますから、限られたマンパワーを有効に使うなら、クルマを取り締まるほうが優先されるべきだと思います。

  Jun 5, 2015

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• 続・６月１日から導入される自転車運転者講習制度の基礎知識。

  みなさん、こんにちは。　表記の件、デタラメが書いてあるサイトが「1.2万いいね」というのを見て驚きました。具体名を挙げるのは避けますが、該当14項目には、無灯火（52条）や並進（19条）、二人乗り（55条と57条)は入っていませんから、間違えないようにしてくださいね。　ただし、だからと言って、これらをやってもいいということではありません。むしろ逆です。14項目は「講習制度の対象」となっただけで、むしろそれ以外の違反については「従来通り＝いきなり刑事罰を課せられても文句は言え無い」わけです。これまでは「さすがに”いきなり刑事罰”では重すぎるから」としてお目こぼしされていたものの中から、危険度の高い項目を抜き出して、取り締まりやすくしたというのが、今回の改正の本旨なのです。　ということで、日頃から自転車を利用している方は、この機会にこの辺をご覧になっておくことをお勧めいたします。法的根拠と本来の罰則規定を知りたい場合、こういうサイトがありますので、ご覧になっておくことをお勧めします。　くれぐれも、普段、あまり自転車に乗ってもいないような人が書いたいい加減なサイトの情報を鵜呑みにしないでくださいね。 

  May 29, 2015

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• ６月１日から導入される自転車運転者講習制度の基礎知識。

  みなさん、こんにちは。　またすっかり放置してしまって、申し訳ありません(^^;。 　表記の件を解説している風のサイトを覗いてみたら、「厳しすぎる」という意見が少なくないので、きちんと整理しておきたいと思います。　まず、今回の措置では、違反者に対して有料講習を課す制度が加わっただけで、自転車に対する禁止事項が増えたのではありません。だから「厳しすぎる」という感想は当たらないわけですね（ちなみに対象となるのは、14歳以上で上限なしです）。 　該当する違反行為は14種類、挙げられていますが、どれも以前からあるものばかりです。せっかくですから、この機会に逐一解説してみましょう（カッコ内は道路交通法の該当条文）。 1.信号無視（第７条）　解説不要ですね。守らないと、轢かれちゃいますよ。（いやむしろ重要でした） 2.通行禁止違反（第８条第１項）　自転車の場合、主に一方通行の逆行ですね。でも現実的には、一方通行は「軽車両を除く」としているところがほとんどですから、守るのは困難ではないと思います。3.歩行者用道路における車両の義務違反（第９条）　自転車は車両ですから、原則的に車道の左側を通行する規則になっていますが、「歩道通行可」の標識がある歩道や、幼児／児童（13歳未満の子ども）と高齢者（70歳以上）、それ以外でも、車道を走ると危険と判断される場合は（誰が判断するのか？という問題はありますが）、歩道を通行することができます（６３条の四）。しかしその際も、徐行しなければならないことになっています。　ここで問題になるのは、「徐行って何km/h?」ということです。運転免許試験の際に言われるのは「直ちに停止できる速度」であり、明確な数値があるわけではありません。ただし、ほとんどの実用自転車には速度計はついていませんし、取り締まるほうも計測器を使うわけではありませんから、歩行者の流れに対して見るからに速い速度を出していない限り、取締りの対象にはなりにくいんじゃないかと思います。歩行者より遅いというのはナンセンスですから、歩行速度の1.5倍ぐらいを上限と見積もれば、6〜8km/hぐらいな感じでしょうか（あくまで当てずっぽうです）。 4.通行区分違反（第１７条１／４／６項）　これは主に、右側通行を取り締まるためのものですね（第４項）。右側を走れば、ルールを守って進行してくる自転車と正面衝突しちゃいますから、これも自分の安全のために守るべき項目です。　僕は自転車で走行中、右側通行してきた自転車とぶつかったことがありますが、直前で右に避けたら車道に投げ出され、轢かれる寸前で路肩まで転がってかわしたことがあります(^^;。僕を轢きそうになったトラックドライバーの引きつった顔が、今でも思い出されます(^^;。5.路側帯通行時の歩行者の通行妨害（第１７条の２第２項）　自転車は車両ですから、車道通行が原則ですが、路側帯を走ることも認められています。ただしその際、歩行者がいたら歩行者が優先されます。弱者優先の原則に則れば、当たり前のことですね。 6.遮断踏切立入（第３３条第２項）　説明不要ですね。轢かれちゃいますよ。7.交差点安全進行義務違反等（第３６条）　信号のない交差点における優先車両に関する規定です。幅の異なる道路が交差している場合、幅の広い道路の通行車両が優先されます。幅が同じ場合は、左から進行してくる車両が優先。運転免許を持っている人なら知っているはずですが、中学生以下には教える機会を設けないといけないでしょうね。8.交差点優先車妨害等（第３７条）　自分が右折しようとしている場合、対抗してくる直進車／左折車が優先という規則です。これも免許を持っている人なら常識ですね（「交差点での右折車妨害等」というタイトルをつけているサイトがありましたが、間違いです）。 9.環状交差点安全進行義務違反等（第３７条の２）　環状交差点とは、信号機をなくす代わりにロータリーのようにして、いつでも左折できるようにした交差点です。まだ日本では少ないですね。これは「交差点内を走っている車両が優先される」という規定で、等幅道路でも左方優先が適用されません。 10.指定場所一時不停止等（第４３条）　一時停止違反です。守らないと、轢かれちゃいますよ。 11.歩道通行時の通行方法違反（第６３条の４第２項）　自転車が歩道を通行できる場合については”3”に書きましたが、その場合は車道に近い側を徐行しなければなりません。区画線が引いてあり、自転車の通るべき部分が指定されている場合でも、そこは自転車が優先される通行帯ではなく、自転車の通行エリアを制限するためのものです。むしろ「そこからはみ出したら違反を取られても文句は言えない」と考えたほうがいいでしょう。歩道はあくまで「歩行者のもの」であり、自転車通行指定エリアに歩行者が歩いていても、ベルを鳴らして蹴散らすような真似をしてはいけません。　そもそも歩道の通行が許されるのは「車道を走るのが怖い」という人のための特別措置なんですから、その自転車が歩行者を脅かすような運転をしたのでは本末転倒。弱者にどんどんしわ寄せが行ってしまいます。道路交通法の基本は”弱者優先”。これだけはしっかり覚えておいてください。 12.制動装置不良自転車運転（第６３条の９第１項）　主にノーブレーキピストを取り締まるのが目的だと思われますが、道路交通法施行規則第９条の３を満たさ無いもの（10km/hの速度から３m以内に停止できるもの）も該当すると考えるべきでしょう。自転車メーカーは幼児車でも幼児の握力でちゃんと止まれるブレーキを付けてくださいね。自転車屋さんは、納車の際に、オーナーがブレーキで思い通りの場所で止まれるようにちゃんと整備してください。オーナーはブレーキの効きが悪いと思ったら、自転車屋さんに整備してもらってください。 13.酒酔い運転（第６５条第１項） 　これまでは自転車の場合、酒気帯び運転に罰則規定はありませんでした（でも条文上は”違反”です）。しかし今回の制度の施行で、講習受講の違反対象に該当するようになりました。自転車で出かけて飲んでしまったら、面倒でも置いて／押して帰りましょう。 14.安全運転義務違反（第７０条）　これも曖昧な定義ですが、主にスマホ運転や傘さし運転を取り締まるのが目的だと思われます。スマホ運転をしたからといって、直ちにこれに該当するわけではないようですが、都道府県条例で禁止している場合も少なくありませんし、「当たり屋」の標的にされる可能性もあります。「違反であるかないか」ではなく、自身が前方不注意にならないためにも、スマホは停止して使ったほうがいいでしょう。  　さて、こうして見てみると、守れないほど厳しいものは無く、むしろ自身の安全のために、守ったほうが良いものばかりだということがわかると思います。ただし、講習が義務付けられるのが「３年以内に２回以上、摘発された場合」というのは、免停（６点＝軽微な違反なら３回）に比べるとバランスを欠くという感じはします。上記14の項目も、飲酒以外は２点〜１点の違反ですし、自転車には免許試験がないことを考えると、「１年以内に３回」ぐらいでも良かったんじゃないかな。　僕も40年来のスポーツ自転車愛好家ですから、「インフラが整っていないのに云々〜」と言いたい気持ちもわかりますが、こういうのは一気に変わるものではありません。「それはそれ、これはこれ」で対応していくしか無いんじゃないかと思います。 ５月27日追記　たくさんのアクセスをありがとうございます。「誰が子どもに交通ルールを教えるのか」については、こちらに僕の考え方がまとめてありますので、合わせてお読みいただければ幸いです。 

  May 26, 2015

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• アルト・ターボRSに乗ってきた。

  みなさん、こんにちは。　昨日は箱根で行われていたアルト・ターボRSの試乗会に行ってきました(^^)。軽くて小さくてパワーのあるクルマは、やはり楽しいですね。　トランスミッションはAGS(いわゆるAMT)だけですが、変速ショックも少なく、非常に良くできています。シフトダウン時なんか、良くできすぎていて回転合わせが上手すぎ、条件によっては期待したエンジンブレーキが得られない（中速域で４→３速とか）ことさえありました(^^;。　さすがにシングルクラッチなので、変速時の失速感はDCTや通常のATより明確にありますが、「そういうもの」と思って乗れば、違和感はありません。むしろ、癖を掴んでアクセルオフでシフトアップを誘うなど、ドライバー側に工夫の余地があるのが楽しいですね。　ただし燃費運転しようとしても、なかなか５速には入りません。ＣＶＴ仕様なら2000rpm以上に上げないようなシーンでも、2000rpmちょっとは回ってしまいます。「エコモード」が付いていれば、気分によって使い分けられて良かったんじゃないでしょうか。アイドルストップはキャンセルスイッチが付いていますから、これをオンにしておくと「エコモード」に入るとかね。　それから、急な登坂路をノロノロと登ると、２速か１速か迷う場面が見受けられました。これも「そういうもの」だと考え、マニュアルモードでギヤを固定して走るのが良いと思います。　マニュアル変速用にシフトパドルが付いていますが、走ったのが長尾峠だったので、ハンドルと一緒に回っちゃうのは苦労しました(^^;。奥が巻き込んだコーナーで、旋回中にもう１段落としてタックイン気味に向きを変えようと思っても、パドルがどこか行っちゃってる。そういうときはシフトレバーで操作すればいいんでしょうけれど、それじゃ何のためにパドルをつけているのかわからないし。いっそ、いすゞNAVI5みたいに、H型ゲートでパドルなしでも面白かったかも。　それから、3→2速変速時に、レブリミットを理由に変速を拒否されることがあったのが残念でした。ドライバー側としては、シフトラグを見越して早めにパドルを操作し、変速が完了する際にはレブリミット的にも問題無い速度まで減速できるつもりで操作しているのに、操作した瞬間でエンジン回転を判断しているのか、警告音が鳴ってシフトダウンが行われないことがあるんですね。　これを克服するには、減速Gとかブレーキ圧までパラメーターに加えてフィードフォワード制御をする必要があると思いますが、できたら改良して欲しいポイントではあります。　もうひとつ気になったのが、操舵応答性のリニア感不足。旋回中に切り増しした際の応答が、切り始めより明確に鈍く、アンダーステアが強めに感じられてしまうんです。でも前輪は、ちゃんとグリップしてる。　原因は独特のVGR（バリアブルギヤレシオステアリング）です。一般にVGRは、センター付近をスローに、切り込んでいくに従ってギヤレシオが速くなるように設定します。これは、直進時のナーバス感を抑えながら、切り込んだ際の操作量を減らすのが目的です。　ところが、舵角が大きくなるほどハンドル操作力は重くなり、電動パワステのモーターを大きくしなければならなくなります。アルトはこれを嫌ったのと、キャスター角を大きめにして直進安定性を向上させ、操舵応答が落ちた分をギヤレシオでカバーするため、従来とは逆に、センターを速く、両端を遅くしたバリアブルギヤレシオを採用したんです。　だから、初期応答のイメージで切り増しすると、期待したほど曲がってくれず、前輪が流れているような錯覚に陥り、「グイグイ曲がっていく」という楽しさが感じられないんですね。　まあ、安定方向なので安全で良いのですが、スポーツモデルに期待されるエキサイトメントという点では、ちょっと肩透かしをくらった感じです。プジョー106ほどではないにせよ、「いつでもテールを振り出す準備はできてるぜ」的な緊張感がある方が、個人的には好みです（個人的にはね(^^;）。　とまあ、いろいろと注文をつけましたが、これは期待が大きかったことの裏返しと取っていただければよろしいかと思います。まだ最初のモデルで、メーカーさんも「これからいろいろな展開を考えている」とのことなので、暖かく見守っていきたいと思います。 

  Mar 20, 2015

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• マツダCX-3に乗ってきた。

  みなさん、こんにちは(^^)。　今週は三浦半島の観音崎でCX-3の報道試乗会が行われており、僕は初日の昨日、行ってきました。　エンジンはディーゼルターボしかなく、価格も237万6千円からと、ヴェゼルのHV並みの設定ですが、マツダさんとしては「エコカーとして”ハイブリッド専用車”が認知されているんだから、同じ位置付けで”スーパークリーンディーゼル専用車”があってもおかしくないでしょ？」ということだそうです。　それじゃ燃費もHV並みなの？　というところに興味が集まると思いますが、今回、試乗した範囲では、走行条件によっては「Yes」と言って良い感じでした。　試乗ルートは、観音崎京急ホテルを起点に、国道16号を北上し、横浜横須賀道路の衣笠ICから高速を使って戻るというコースで、下道６割、高速４割という感じでしょうか。試乗したモデルは、XDの2WD(6AT)と、XDツーリングLパッケージ4WD(6AT)、同モデルの6MTの３種類です。　燃費は2WD車の6ATが21.6km/L、4WDの6AT（i-Eloop付き）が19.5km/Lという数値でした。いずれも衣笠ICまでは17〜18km/Lで、高速に入るとじわじわ伸びてくるという感じで、下道ばかりではHVにはかないませんが、高速が多くなれば差が縮まるという、理屈通りの結果となりました。　ちなみに6MT車は試乗車の台数が少なく、割り当てられた時間が30分しかなかったので、下道しか走れませんでしたが、そこそこ渋滞もあるコースで21.8km/Lも走ってくれました(^^)。　もうひとつの注目点は、ディーゼルのノック音を消すというナチュラル・サウンド・スムーザー（NSS)の効果はどの程度あるのか、ということです。が、これはなかなか評価の難しいところです(^^;。　効果があるのかないのかと言われれば、はっきり「あります」。しかも「すごく」。NSSの付いていないクルマと乗り比べてみれば、一般ユーザーでも十分効果がわかるレベルです。　しかし「ガソリン車と区別がつかない」かといえば、答えはNO。カリカリ音は消えているものの、ディーゼルっぽいゴロゴロ振動は消えていないので、ガソリン車ほど静かでも快適でもありません。むしろカリカリ音が消えた分、ゴロゴロ振動が目立つようになってしまうため、人によっては「ガソリン車並みにならないなら、わざわざ付けなくてもいいか」と思う人もいるのではないでしょうか。　それから、今回の試乗車でNSSの付いていないAT車はXDの2WDしかなく、NSS付きとはタイヤサイズも違ったので、何が原因か特定しにくいのですが、NSSのい付いている4WDのXDツーリングLパッケージ車のほうが、ゴロゴロ振動が大きいように感じました。2WD車とはシフトスケジュールが違うみたいで、市街地走行ではなかなか４速に上げてくれず、ちょうどゴロゴロ音の目立つ2,000rpmあたりを使う頻度が高いというのも、ひとつの要因ではないかと思います。　素のXDは215/60R16インチタイヤ（ツーリングは215/50R18)で、後輪の空気圧も20kPa低い設定のため、乗り心地の当たりも優しく、バランスの良さを感じました。XDツーリングでもCX-5ほど硬い感じはないのですが、ロードノイズの籠りやらも勘案すると、XDのほうが快適性の面でははっきり優っています。　というわけで、試乗した３種類の中からごく普通の人へのお勧めを選べと言われたら、XDの2WDです。デミオに比べて車重が重くなっているので、過給圧が上がり始めた際のトルク上昇の唐突感が少しマイルドになっており、ドライバビリティの点でもデミオより良くなっています。　自分で買うなら、今回は試乗できなかった素のXDの4WD6MTに、ハイビームコントロールをオプションで付けるという感じでしょう。MTなら市街地走行時でもゴロゴロ音の回転域を自分で外すことができますのでね。

  Mar 10, 2015

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• 標識認識機能で、逆走防止はできないだろうか？　というお話。

  みなさん、こんにちは。　高速道路のETCを義務化しようという動きがあるようですね。よもや農家の軽トラにまでというわけにはいかないでしょうから、車種とかナンバー（営業）限定になると思いますけど。　ETCに関しては、試験導入当時から問題点をずっと指摘してきたので、今回もひとこと言いたいのですが、その件についてはもう少し調べてからにしたいと思っております。　 ということで、表題の件。最近、よく話題になっている高速道路逆走車を、どうしたら防げるだろうかというお話です。　スバルからアイサイトが発売されて以来、運転支援システムが急速に発達しています。特に、前方の状況をカメラで認識する方法は、車線逸脱警報や歩行者識別、オートマチックハイビームや、道路標識の読み取り機能などへの拡張性が高く、今後の普及拡大が期待されています。　ならば、これを使って逆走防止ができるのではないか、と考えました。　すでに道路標識の読み取りはできるのですから、高速の出口やサービスエリアの導入路に特定の標識を設けておき、これをカメラで読み取ったら、警報を鳴らすようにすればいいのです。これなら既存の技術で対応できます。　こうした装置を作り、たとえば65歳以上になったら、申告すれば無料で付けてもらえるようにする（費用は行政負担）。ドライブレコーダー機能も付けておけば、事故が起きた時の状況を検証するのも楽になります。現在のドライブレコーダーの市場価格からして、おそらく原価は5,000円以下でできるでしょう。　メーカー純正で付ける運転支援装置に、こうした機能を組み込むことも可能です。メーカーで作れば、逆走標識検知時には警報だけでなく、エンジン出力を絞ったり、ブレーキをかけたりということもできるはずです。ハードウェアはありますから、ソフト開発だけで済み、コストアップもほとんどないでしょう。　ということで、ETCの義務付けとか言っているなら、こっちを優先すべきではないのか、というお話でした。あ、ETCの双方向通信を使って逆走防止機能を組み込むのであれば、あながち反対はいたしませんが(^^;。 

  Feb 3, 2015

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• 続・燃料電池自動車にMIRAIはあるか!?

  みなさん、こんにちは。「続」という割には、だいぶ間が空いてしまいましたね(^^;。　ということで、今回は効率の話です。MIRAIを取材した際、何人かに「総合効率はどれくらいなんですか？」って質問したのですが、みなさん口を濁すんですよね。逃げ口上は「我々ができるのはクルマまでで、水素をどう作るかによっても異なりますので」。　答えを知っていて質問する僕も、相当意地が悪いのですが(^^;、燃料電池自動車の効率って、決して高くないんですよ。　水素を工業副製に頼っている間は、廃棄物の利用ですからエコだと言えますが、需要が増えれば、天然ガス改質に移行するしかありません。この製造効率の目標は、70％とされています。しかし、できた水素を運ぶためには圧縮する必要があり、このエネルギーが馬鹿になりません。資源エネルギー庁の資料によれば、水素スタンドで充填する段階での効率は2015年で52％、2030年の目標が54.7％に過ぎないんです。　では、車載用のPEM型燃料電池の効率はというと、45〜50％ぐらいなんですね。高い方の50％を取るとしても、常に最大効率点で運転できるわけではありませんから、大甘の９掛けとして45％。総合効率は掛け算ですから、水素製造に2030年目標値を使っても、24.6％にしかならないんです。　では、ガソリン／軽油の製造効率はどれくらいかというと、原油から分留する場合は、どちらも85％ぐらいです。現在、量産されているガソリンエンジンの最高効率は38％を超えています。スズキの会長が、「それは”最高”効率だろ？　うちのエンジンはJC08モードの平均効率で33〜34％だ」と豪語していましたから、計算にはこの数字を使いましょう。ただし実走行ではJC08モードの７掛けぐらいになりますので、33×0.7=23.1％ですね。これに燃料製造効率の0.85をかければ、19.6％になります。　さらにスズキは、「2020年代には平均効率40％を目指している」と言っておりますが、この数字を使えば、総合効率は23.8％となり、燃料電池車と0.8％しか差がなくなってしまうんですね。しかもスズキですから軽自動車で作るはずで、価格は100万円以下になると考えられます。　しかもこれは、エンジンだけの効率です。モーターと組み合わせてハイブリッド化すれば、回生したエネルギーを走行に回すことで、10％ぐらい稼げます。となれば、現状でも22.4％、将来的には27.2％と、燃料電池車の2030年目標値を上回ってしまうんですね。　もっと言えば、すでに最大効率が40％を超えているディーゼルエンジンを使ってハイブリッド車を作れば、総合効率の点では、今の技術でも上回ることができるんです。　でも、誰もこのこのことは口にしようとしません(^^;。　それじゃ何のために水素エネルギーをやっているのかといえば、端的に言って「電池の代わり」なんです。自然エネルギーで発電した電気を貯める手段として、水を電気分解して水素に変えて貯蔵し、必要な時にそれで発電しよう、というのが大きな目的なんですね。　というわけで、本来ならば燃料電池車は、生活基盤エネルギーが水素に変わった時点で（変わるのか？）登場すべき技術であり、現状では順番がアベコベなんです。そんなものに１台あたり200万円もの補助金を出すのは、税金の無駄づかい以外の何物でもありません。さらに、月販計画台数の約半数を官公庁が税金で買っているそうなので、二重の意味で税金の無駄遣いになっているわけですね。　予約受注はすでに1000台ぐらいになっているそうですが、おそらくほとんどの人は、実車を見ることなく買っているものだと思われます。納車されたら、後席足元の狭さが堪えきれずに手放す人が続出するんじゃないかと、今から危惧しておりますですよ(^^;。 

  Dec 16, 2014

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  燃料電池自動車にMIRAIはあるか!?

  みなさん、こんにちは。　トヨタの燃料電池車(FCV)「MIRAI」が正式に発表になりましたね。実は僕は、三栄書房「トヨタMIRAIのすべて」執筆のため、10月には取材をさせていただいていたのですが、発表前なので情報は一切出せずにいました。　今日19日に正式に発表になりましたので、標記の件について、簡単に書いてみたいと思います（詳しくは日刊自動車新聞社”整備戦略”に執筆予定です）。 　僕はそもそも、燃料電池をクルマに使うことにはずっと懐疑的だったのですが、実車が世の中に出てきて、なおさらその感を強くしました。象徴的なのは、価格と車重です。　MIRAIの価格は、723万６千円。車重は1,850kgあります。　一方で、日産の電気自動車(EV)リーフは、最上級グレードでも約368万円。車重は1,460kgです。　FCVが主張するEVに対しての優位性は、航続距離の長さと充填時間の短さです。MIRAIの航続距離は700km、リーフは228km。MIRAIの水素充填時間は約５分、リーフは80％まで充電するのに約30分かかります。　ここで考えていただきたいのは、「リーフにMIRAIと同じ価格と車重が許されたら、どうなるのか？」ということです。重量差は390kgありますね。そして、リーフのバッテリーユニットの重量は、約294kgです。もしリーフにあと390kg分のバッテリーを積むことができれば、航続距離は単純計算で約2.3倍になりますから、513km走れることになります（80％充電でも約410km)。これなら実用上、困ることはありませんよね？　ならば価格は……、いくらリチウムイオン電池が高いと言っても、MIRAIとリーフの価格差は355万６千円もありますから、その差が埋まるほどにはならないでしょう。　それでも充填時間が……と考えても、航続距離が513kmもあるなら、その間に食事もするでしょうから、急速充電時間の30分はどこかで確保できるはずで、実用上の不都合は無いはずです。だいたい、１日に500kmも走る人はそうそういないでしょうから、夜間に普通充電しても、十分対応できるはずです。　むしろ、水素は補給場所が限られていますが、電気なら急速充電器の普及率は高いし、普通充電なら家庭用エアコンに200Vが引いてありますから、自宅に設備を作るのも難しくありません。となれば、充電時間の長さは、もはやビハインドとは言えなくなってしまいますね。　水素ステーションを設置するには、１箇所５億円（ガソリンスタンドの５倍）ほどかかります。建設費用は国が補助するにしても、最初の５年や10年は利益があげられないでしょうから、民間が参入するには無理があります。　FCVの車両価格は、これから下がってくるでしょうけれど、そもそも水素タンクがカーボンコンポジットだとか、大分減らせたとはいえ白金触媒が必須だとか、コストダウンできない要素が少なくありません。となると、EVに対して競争力を持つのは、これから先も難しいのではないかと考えられるわけですね。　しかも、水素を天然ガスから製造している間は、総合効率ではディーゼルハイブリッドとほとんど変わりませんし、自然エネルギーを使って発電し、水を電気分解して作るくらいないら、最初から充電してEVで使ったほうが効率はよいわけで、この点でもFCVの存在意義が問われることになるわけです。　MIRAIを取材してみて、低温性能の克服とかコストダウンの工夫とか、素晴らしいアイデアに感心する部分も多かったのですが、それ以前の根本的な部分で、やっぱり燃料電池車の未来は、あまり明るくないんじゃないのかなぁと思うのでありました。【楽天ブックスならいつでも送料無料】トヨタMIRAIのすべてモーターファン別冊　ニューモデル　502【後払いOK】【2500円以上送料無料】トヨタ　MIRAIのすべて 

  Nov 19, 2014

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  「コンパクトカーのすべて2015」発売になりました。

  みなさん、こんにちは。　三栄書房から、「コンパクトカーのすべて2015」が発売になりました。デミオディーゼルとＡＱＵＡ＆フィットHV＆フォルクスワーゲンポロの燃費対決なども掲載されていますので、ぜひご購入を(^^)。　僕も個別車種解説を何台か担当したのですが、その１台がヴェゼル。文末にリコールのことに触れ、「もう大丈夫なはず……ですよねホンダさん。」て書いた途端にまたリコールが出ちゃいました(^^;。　で、昨日はそのホンダが次期レジェンドに搭載する安全技術の発表会が神宮外苑であったので行ってきたのですが、ついでだからと、なるしま神宮店（自転車屋さん）に部品を買いに行ったら、モータージャーナリストの草分け・津々見友彦さんとバッタリ会っちゃいました(^^;。津々見さんも自転車、お好きなんですよね。加えて、元いすゞのワークスドライバーだったとか、何かと僕とは接点があるのですが、先方はご存じないかもしれません(^^;。　最初の話に戻りますが、デミオの個別車種解説担当は、河村康彦さんでした。デミオのディーゼルは、業界あげて大絶賛の風が吹いていますが、河村さんのディーゼルMTの評価が僕とほぼ同じだったのは「さすがだなぁ」と思いました。あのクルマは、使用環境とドライバースキルを選びます。　もっともディーゼルでも6ATを選ばれるかたが多いと思うので、大きな問題ではないのでしょうが。楽天ブックス楽天ブックス　あ、「デミオのすべて」も絶賛発売中なので、こちらもよろしく(*^^*)。ニューモデル速報 第500弾 デミオのすべて-【電子書籍】【楽天ブックスならいつでも送料無料】新型デミオのすべて 

  Oct 25, 2014

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• 子どもの自転車、親御さんはこのくらいの面倒を見てあげて下さい！

  みなさん、こんにちは。　加茂市の関連で、ついでに日頃から考えていることを書いておきたいと思います。　子どもの自転車について、ブレーキワイヤーの長さ調整をしておくべきだということについてはすでに書きましたが、もう３点、ぜひ気をつけてあげて欲しいことがあります（いや、これ子ども自転車に限ったことではないのですが）。　まず、タイヤの空気圧。タイヤの空気は、パンクしていなくても自然に抜けてしまいます。空気圧が減ってくると、走りが重くなるだけでなく、歩道などの段差で底付きしてパンクしてしまうリスクが大きくなります。ひと月に１回ぐらいは空気圧を確認し、タイヤの横に書いてある指定空気圧を満たすまで、入れ直してあげて下さい。英式バルブだと、空気を入れるのが大変ですが、虫をこういうのに替えると、画期的に楽になります。　ふたつめは、チェーンの注油です。チェーンを真っ赤に錆びさせたまま走っている人を良く見かけますが、これも走りが重くなる原因です。チェーンに注す油は、ホームセンターで100円ぐらいで買えますから、チェーンが乾いてきたら注油して、錆びないようにして下さい。注油したあとは、余分な油をぼろ布で拭き取ることも忘れずに。　みっつめはサドルの高さです。前回のブログにも書きましたが、サドルの高さは、ペダルを基準に合わせたほうが、漕ぐのが圧倒的に楽になります。サドルにまたがり、ペダルにかかとを載せて、ヒザが自然に伸びる高さが基準です。乗り降りする時には、お尻をサドルの前に落としてフレームをまたぎます。　これをやるだけでも、自転車ってすごく快適になります。逆に、これをやらないと、電動アシストにしたところで「やっぱり自転車って疲れるしパンクする」になりかねません。自分の使う道具なんですから、ぜひ最低限のメンテは自分でやるようにして下さいね。 

  Oct 5, 2014

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• 続・新潟県加茂市長「小中学生はなるべく自転車乗らないで」通達で、一番悪いのは誰か？

  みなさん、こんにちは。　昨日の関連で、もう１本、書いておきます。ストライダーについてです。 　ストライダーは確かに、自転車に「乗れるようになるための」練習ツールとして有効だと思います。が、自身の経験を通じて、３っつの疑問が生じています。 　まず、ひとつ目は、「そんなに早く自転車に乗れるようにする必用があるのかどうか」ということ。ストライダーの輸入元のサイトを見ますと、 ブレーキを付けていない理由として、「２〜３歳の幼児では、ブレーキで止める握力がない」「手でブレーキをかけて止めるという動作が難しい」と書かれています。これが正しければ、ストライダーでバランスが取れるようになったとしても、すぐに自転車に移行するのは危険であるということになります。 　いずれも個人差がありますし、僕個人としては、握力や能力の問題より、物理的に「手が小さすぎてブレーキレバーに指が届かない」というほうが大きいのではないかと思いますが、いずれにしても、手でブレーキを確実にかけられるようになるまでは、自転車には移行しないほうが良い、ということになると思います。 　ペダルを逆に回してブレーキをかける「コースターブレーキ」というのもありますが（うちの１台目と２台目はこれでした）、知的な観点から言っても、交通安全を理解できるレベルになるまでは、子どもに過剰な機動力を与えるべきではない（与えたなら安全に関して責任を持つ）というのが重要ではないかと思います。 　もうひとつは、「足でブレーキをかけることに慣れてしまっていいのかどうか」ということです。やってみればすぐに分かりますが、靴底の摩擦でかけられるブレーキなんて、たかが知れています。ペダル付きの自転車でこれをやれば、ペダルに足を巻き込んで、捻挫や骨折、転倒の恐れも出て来ます。ストライダーから自転車に移行する際、足で止める習慣をやめさせないと、新たな危険が生じることになってしまいます（このへんも親御さんの責任でしょう）。 　さらに、サドルの高さの問題もあります。足ブレーキに慣れてしまうと、両足がべったり地面に着くサドル高でないと、怖くて乗れなくなるという可能性がありますが、これではペダルを踏むには低すぎて、すぐに脚が疲れてしまいます（場合によってはヒザの故障につながります）。そうなると、子どもに「自転車はすぐに疲れる乗り物」という意識が生まれてしまい、将来的にも自転車を軽んじてしまうようになるのではないでしょうか。   　ちょっと考え過ぎかも知れませんが、我が子のことならば、このくらい注意深くても良いのではないかと思います。

  Oct 5, 2014

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• 新潟県加茂市長「小中学生はなるべく自転車乗らないで」通達で、一番悪いのは誰か？

  みなさん、こんにちは。　新潟県加茂市の市長が、小中学生に向けて「自転車にはなるべく乗らないで」という通達を出したことについて、かなり波紋が広がっているようですね。中学時代に自転車ツーリングを始め、今でもロードバイクやMTBを愛好している僕にとっても、気になるニュースです。　この措置が本末転倒であるという点については、すでに多くの方が指摘しているとおりで、僕もおおむね同意見ですが、そもそもことの発端となった事故は、どちらに責任があったのでしょうか。もしクルマ側の「歩行者等妨害違反」とか「交差点安全進行義務違反」とかスマホ運転だったりしたら、逆恨みも甚だしいというほかはないでしょう。自転車側の過失割合が大きかったとしても、安全な乗りかたの指導を徹底するのが筋であり、「乗るな」というのは責任逃れ以外の何ものでもありません（かつてオートバイで「３ない運動」というのがありましたが、後に違憲判決が出ていますね）。　さて、では、子どもに安全な自転車の乗りかたを教える責任は、誰にあるのでしょうか。　まず、小中学校は市町村の管轄ですから、小中学生への交通安全指導への責任は、市町村に一定の割合があるのではないかと考えられます。　しかし、僕は交通安全教育の第一責任は、家庭にあると思うんですね。　多くの場合、自転車の乗りかたを教えるのは、両親とか兄弟になるはずですが、そのときに「乗れるようにした責任」が生じるはずで、交通安全教育も、同時に行わなければならないはずです。　我が家の場合、息子は５歳で補助輪が外れましたが、まず「交差点では一時停止して安全確認」「見通しが悪い場所では音を聞け」「小学生までは歩道を走って良い。ただし歩行者最優先」ということを徹底して教えました。 ４年生になるまでは、自転車で走る時には必ず付き添い、どんな場所が危険かを教え、教えたことがきちんと守られていることを確認してから、ひとりで出かけることを許可しました。当然、ヘルメットは被らせています。　そこまでやるのは難しいかも知れませんが、ともあれ、家庭でできる限りの交通安全教育は、しておく責任があるのではないかと思います。　もうひとつ問題に思うのは、自転車そのものです。子どもの自転車はすぐに小さくなってしまうという意識が働くせいか、安く作ることが優先され、まともに利くブレーキが付いていないものがほとんどです（特に前ブレーキ）。しかもそれに輪をかけて、ブレーキの整備が行われていない。ワイヤーの長さを適切に調整し、錆びないように注油するだけでも、レバーの引きが軽くなって良く利くようになります（うちの近所の子どもの自転車は、みんな僕がブレーキを整備し直しました）。　しかも、そんな自転車ばかりなので、そもそも「ブレーキを使って思いどおりのところに止まる」ということができない子どもが多いように思います。自転車に乗る練習を始めたら、ぜひ最初に「ブレーキを使って思いどおりに止まる」ということを教えてあげて下さい。　最近はストライダー（ペダルもブレーキもない足蹴り自転車）で自転車の練習をさせる人も増えているようですが、一方で、目を離した隙に下り坂で止まれなくなり、転倒して怪我をするという事故も増えています。ストライダーでバランスが取れるようになったら、なるべく早く、良質なブレーキの付いた自転車に移行させ、「ブレーキを使って止まる」ということを教えてあげたほうが良いと思います。　自転車メーカーも、子ども車だからといって、安もののブレーキを付けてごまかさず、前だけでもＶ ブレーキなどのような、子どもの握力でもきちんと止まれる利きの良いブレーキを付けてあげて下さい。　そうやって、大人が多方面から子どもを守ってやらないと、子どもの自転車事故は減らないでしょうし、最初に危険を教えておかないと、大人になっても交通ルールを守らない危険な運転をするようになってしまうのではないかと思います。　あ、もちろん、ドライバーに「交通弱者再優先」を徹底してもらうことが、大前提ですからね。 

  Oct 4, 2014

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• マツダの新型デミオ、元シャシー設計技術者から見た「誰も書かない凄いところ」。

  みなさん、こんにちは。　 ディーゼルエンジンかガソリンエンジンか、ということばかりが話題になっている新型デミオですが、元シャシー設計技術者の僕の目には、「もうひとつの凄さ」が感じられました。それは旋回中にブレーキをかけたときの、安定性とコントロール性の高さです。　旋回制動といっても、危険回避レベルの急激な操作ではなく、コーナリング中にスピードを微調整する際の”舐めるような”ブレーキや、コーナーの先が巻き込んでいた時に、ブレーキをかけて切り増しをするようなシーンで、非常にコントロール性が高いんですね。　ブレーキペダルのタッチや剛性、利きのリニアリティはもちろん、旋回制動中にギャップを通過した際の姿勢の乱れにくさなど、シャシーそのものの安定性にも、国産車離れしたものがあります（ボディの全体剛性とステアリングのダイレクト感は、新型Poloがやや上な感じですが）。　シャシー性能をどれだけ真摯に作り込んだかが数値として現れているのが、タイヤの扁平率です。XDツーリングが60になる以外は全グレード65扁平タイヤが使われているんです。　近年はコンパクトカーでも、55扁平を使うものが出て来ていますが、主な狙いは「見栄え」です。扁平率を小さくすれば、ホイール径が大きくでき、見た目に格好よくなるからなんですね。　しかし一見、スポーティに見える扁平タイヤですが、自動車工学やタイヤ工学の本を見ると、扁平率の数字が大きいほうが、コーナリングパワーが高い（操舵応答性が良くなる）ことが書いてあります。エアボリュームが稼げますから、乗り心地も犠牲になりません。性能面からいえば、扁平率を小さくするのは、あまり良いことではないんですね。　以前、急速にタイヤの扁平化が進んでいたおりに、某タイヤメーカーの技術者の方に、扁平化の弊害について率直に聞いてみたことがあるのですが、タイヤ技術者から見て、一般ユーザーが乗るクルマで操縦安定性と乗り心地のバランスがもっとも取りやすい扁平率は、65だと言っていました。恐らくデミオは、60〜65扁平のタイヤ性能を使い切ることを目指したシャシー設計を行っているはずで、それが旋回制動時のコントロール性や安定性の高さにつながっているものと思われます。　そう思って競合他車を見たら、コンパクトカーの中では操縦性能で定評の高いスズキ・スイフトが、全グレードに65タイヤを使っていました。やや（かなり？）マニアックな視点ですが、こういう角度からクルマの設計思想を推察するのも面白いですよ(^^)。 

  Sep 22, 2014

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• デミオ・ディーゼルに乗って考えた。マツダはこれをハイブリッド化して、トヨタFCVに勝負を挑め！

  みなさん、こんにちは(^^)／。　前回も書きましたとおり、デミオのディーゼルに乗って来たのですが、やはりターボラグを感じてしまいました。いろいろと対策は打っているのですが、タービン自体が2.2Lツインターボの大ターボと小ターボの中間の大きさということで、それで排気量が３分の２しかないのでは、どうしたってターボラグは消しきれませんよね。　ならば2.2Lのようなシーケンシャルツインターボにすれば、と思っても、コストと搭載性の点で難しいので、現実的な解決策としては、高回転側を泣いても2.2Lの小ターボを付けるぐらいしか手はないのではないかと思いました。　しかしここで思いついたのが、表題の件です。ハイブリッド化すれば、ターボラグの出る領域はモーターでアシストできます。デミオのMT用のディーゼルは、最大トルクが220Nmですが、トヨタの2.5Lハイブリッドシステムのエンジントルクは206Nmと、けっこう近いところにあります。最高出力が異なるので、ギヤ比か発電機を見直す必要があるかも知れませんが、かなりの部分を流用できるのではないかと思います。　もちろん、ディーゼルターボだけで他社のハイブリッド車並の価格設定になっていますから、これをハイブリッド化すれば、40〜50万円のコストアップは必至です。だから「ディーゼルハイブリッドで燃費がいいですよ」という宣伝の仕方では、恐らく売れないと思います。　ところが、最新のディーゼルをハイブリッド化すれば、燃料電池車に匹敵するぐらいのエネルギー効率が狙えるんです。そしてこのユニットを、アテンザに搭載する。アテンザのディーゼルモデルは290万円からの価格設定ですから、ハイブリッド化しても350万円ぐらいから売れるはず。トヨタのFCVが700万円台ということですから、補助金抜きでも半額で買えて、日本中どこでも給油が可能ですから、仮に多少、エネルギー効率で及ばなかったとしても、商品としての優位性は非常に高いのではないかと思います。　問題は、トヨタが2.5L用ハイブリッドユニットを売ってくれるかということになりますが、いっそのこと共同開発して、マツダがディーゼルを提供するということだって考えられるでしょう。　将来、水素エネルギー構想がポシャったときの可能性も考えれば、やっておく価値のある技術ではないかと思います。 

  Sep 18, 2014

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  マツダ・新型デミオに乗って来た。

  みなさん、こんにちは(^^)／。　ディーゼルエンジン搭載で話題の、マツダ・デミオの試乗会に行って参りました。ガソリンエンジンにもディーゼルエンジンにも、新設計のマニュアルトランスミッションを用意しているのは流石です。さらに、試乗会にすべての組み合わせを用意してくれるのも素晴らしいです(*^^*)。　会場は、箱根のホテル花月園。ここを起点に、長尾峠を往復するコース約22.2kmを、すべての組み合わせで走って来ましたが、いやいや、すごく良かった。操縦性能や乗り心地の点で、国産Bセグメント車の中では、頭ひとつ抜け出てしまった感じですね。ドライビングポジションも、すごく自然です。エンジン横置き車の場合、ハンドル基準でシートスライドを合わせると、ペダルが近すぎて右足のスネの筋肉がこりやすいクルマが多いですが、デミオ（というか、最近のマツダ車全般）は、そういうことにはなりません。　注目の燃費データは、下記の通り。長尾峠は「楽しく飛ばせるスピード」で走っています。ガソリンMT＝17.8km/L／ガソリンAT＝16.3km/LディーゼルMT＝20.3km/L／ディーゼルAT＝18.2km/L　ガソリン車とディーゼル車で10％強、MTとATでは10％弱の差がつく結果となりました。　さて、ディーゼル車が非常に注目されていますが、すべての人にお勧めかといえば、答えはNOです。でも「燃料費で初期投資が回収できない」なんていう単純な話ではありません。　目に見える黒煙はすっかりなくなったディーゼルエンジンですが、実際にはエンジンの中では発生していて、DPF(Diesel Particlate Filter)というフィルターで取り除いています。フィルターである以上、だんだん目詰まりしてくるわけですが、これをどうするかというと、燃料を余分に噴射して排気温度を高め、燃やして除去しています。　ある程度、負荷のかかった連続走行があれば、それだけで排気温度が上がりますから、DPF再生のための燃料消費は少なくて済みますが、市街地の短距離運転のような、排気温度があまり上がらない運転を続けていると、DPF再生のための燃料噴射頻度が増えてしまい、期待したほど燃費が伸びない、ということが起きてしまうんです。噴射タイミングも遅いので、エンジンオイルの希釈が進み、オイル交換サイクルも短くなります。　しかも、少なくなったとはいえターボラグがあり（2.2Lより大きい）、過給がかかると急激にトルクが盛り上がりますから、繊細なアクセル操作ができない人は、「乗りにくい」と感じるかも知れません。特にMTとの組み合わせでは、そのへんの特性をきちんと把握して、こまめにシフトダウンできる人でないと、期待はずれに思うかも知れません。　一方で、過給がかかった以降のトルクの太さは非常に魅力的です。しかも、長距離になるほど燃費も良い。というわけで、長距離を走る機会が多い人や、通勤でも10km以上かつ発進／停止の少ない環境で走れる人、クルマの特性を見極めてドライビングループを回せる人にはお勧めできますが、市街地の短距離走行が多い人や、自分の思う通りにクルマが動いてくれないと気に入らない人（クルマなりに走らせる技術がない人）にはお勧めできません。そういう方は、ガソリンの6AT車を買ったほうが幸せになれます（フツーの人には、これがいちばんお勧め。すごくまとまりいいです）。　ディーゼルエンジン搭載車は、価格的に他社のハイブリッド車と同等で、新聞でもこんな比較がされるようになりましたが、上記の理由から、「較べて選ぶ」という感じではありません。市街地の発進／停止が多いなら、ハイブリッドのほうが乗りやすいし、エネルギー回生ができるハイブリッドのほうが、燃費も間違いなくいいはずです。一方で、ロングドライブでの燃費や動力性能なんかはデミオ・ディーゼルのほうが上ですから、ユーザーの使いかたによって、おのずと最適解は決まってしまうでしょう。ていうか、そういう選び方をしないと不幸の始まりです。 　そうそう、いつもの通り、メカ解説は三栄書房「新型デミオのすべて」に書いてありますので、そちらを参照下さい（いつ発売だっけ(^^;？）。 

  Sep 17, 2014

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  続々々々・丹沢のキャンプ場で、４輪駆動車流され親子３人死亡。

  みなさん、こんにちは。　フォルクスワーゲンから、トゥアレグの取扱説明書のコピーをいただくことができました。悪路走行に関する部分だけで17ページもあり、国産車のそれと較べると、内容は非常に充実したものです。　問題は、ユーザーにこれをどうやって読ませるかということですね。ドライバー全般に言えることですが、教習所で運転を習っているから取扱説明書は読む必用が無いと考えている人が多いように思います。取扱説明書については過去にも書いておりますが、一度は目を通しておくことをお勧めいたします。　最後に、トゥアレグの取説から、徒渉に関するページを貼っておきます。クルマで川を渡るには、このくらいの慎重さが必用だということを、知っておいて下さい。 （本件につきましては、これで完結といたします） 

  Sep 11, 2014

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• デング熱騒動。蚊は本当に飛んで移動するだけか？

  みなさん、こんにちは。　デング熱騒動、ますます感染者が広まっていますね。 　当初は「蚊が飛んで移動できるのはせいぜい100m」などと言っていましたが、僕はこれ、最初から疑っています。蚊は本当に、飛んで移動するだけでしょうか？ 　家の中でも、血を吸った後で、カーテンや壁にとまって休んでいるのを見かけることがありますが、これが人の髪の毛や服だったら、どうなるでしょうか？　その人と一緒に、どこまでも移動できるのではないでしょうか？ 　あるいは、電車に乗っていて、車内で蚊を見かけることもあります。山手線の原宿駅なんか、明治神宮に隣接していますから、駅の雑踏のCO2に吸い寄せられた蚊が、乗客と一緒に電車に乗ってしまうことは、十分に考えられるわけですね。 　また、代々木公園周辺の道路では、タクシーや営業車が窓を開けて休憩しているのを見かけることがあります。こういうクルマの車内に蚊が紛れ込むことだって、十分に考えられるわけです。 　渡航歴も無く代々木公園や明治神宮に行っていない人の感染は、こうした可能性も考えるべきだと思います。

  Sep 11, 2014

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  続々々・丹沢のキャンプ場で、４輪駆動車流され親子３人死亡。

  みなさん、こんにちは。　くどくて済みません(^^;。　表記の事故のクルマは、フォルクスワーゲン（VW）のトゥアレグだったのですが、その後、VWの広報のかたとお話ができましたので、そのあたりを。　トゥアレグの取扱説明書には、悪路や徒渉の走行限界が、かなり詳しく書かれているそうです。それを守っていれば、あのようなことにはならなかったのではないか、ということでした。（まだ現物の確認ができていないので、「聞いた話」の領域で すみません。ちなみにカタログでは、徒渉限界水深は標準車500mm／エアサス車580mmとあります）　そこで、国産SUVは取扱説明書にどのように書いているのかについて調べてみました（ウェブサイトでも読めます）。抜粋した部分を添付しましたので、内容はそれぞれをお読みいただくとして、基本的に「川は渡るな」というスタンスです。さすがに70は徒渉の場合の注意点が書いてありますが、単に「流れが急なところは渡るな」というだけで、具体的な水深等は書いてありません。パジェロは「冠水路で70cm」と書いてありますが、流れについては言及がありません。いずれにしても、ユーザーに十分な情報が伝えられているかといえば、はなはだ心もとないと言わざるを得まないしょう。　上から、日産エクストレイル／トヨタRAV4／ランドクルーザー70／三菱パジェロの順ですが、CMやカタログのイメージ映像と比較すると、ちょっと違和感がありますね。  

  Sep 10, 2014

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  復活したランクル70に、ディーゼルエンジン車が蘇る日は来るか!?

  みなさん、こんにちは。　昨日はランドクルーザー70の試乗会に行ってきました。こういう仕事をしていると、ポルシェやジャガーに乗っても感動しなくなっちゃってますが、久しぶりにエンジンキーを捻る瞬間にワクワクした気持ちになりました(*^^*)。　取材内容については、三栄書房から発売予定の「ランドクルーザー70のすべて」に掲載されますので、お楽しみに。　で、そこに載るかどうかわからない表題の件。興味を持たれている方も少なくないと思います。小鑓チーフエンジニアは「出したい気持ちはある」とおっしゃっていましたが、「出せない理由」を聞くにつけ、現実的には非常に困難だという印象を受けました。 　まず、日本市場に出す場合、ポスト新長期排ガス規制をパスする必用があります。それにはトヨタ手持ちのエンジンでは、尿素SCRシステムを組み合わせなければ不可能です。日本市場のためだけに、そのシステムを開発するとなると、マーケットボリュームが小さすぎ、投資額的に見合いません。　欧州も間もなく、ポスト新長期同等のユーロ６規制が始まりますから、欧州の需要と合わせれば少しは増えますが、欧州で右ハンドルなのは英国だけで、それほど数は期待できません。　ならば世界共通仕様に、といっても、メンテナンス性やコストの点で困難が伴います。世界の僻地で活躍するランクル70にとって、「どこでも修理できる」というのは重要な性能ですが、最新排ガス規制をパスするディーゼルでは構造が複雑になりすぎて、それができなくなってしまいます。　しかもディーゼルで最新排ガス規制をパスするには、ターボチャージャーが必須です。となるとエンジン本体はダウンサイジングすることになりますが、そうなると過給がかかる以前の発進トルクが痩せてしまい、負荷の大きな路面での発進がままならなくなります（ランドローバー・ディフェンダーの2.5Lディーゼルが、まさにそう）。　というわけで、70が気になっているならば、売っているうちにガソリンエンジン車を買ってしまったほうがいいと思います（１年限定発売ですから）。カタログ燃費は6.6km/Lですが、MTですから、実力では７km/Lは走るんじゃないかと思います（理由はこちら）。　価格にしても、10年落ち10万km走行の中古が300万円ぐらいで売られていることを考えれば、10年後にも200万円ぐらいの買い取り価格が期待できるわけで、初期投資の相当額が、手放す時に回収できるのではないでしょうか。 

  Sep 10, 2014

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• 続々・丹沢のキャンプ場で、４輪駆動車流され親子３人死亡。

  しつこいようですが、大事なことですから、さらに続編です。　徐々に事件の詳細が明らかになってきました。恐らく今後は、キャンプ場側の管理責任が厳しく問われることになるでしょう。　しかし、僕はそこに、大きな危惧を抱いています。　今回の事故の第一義的責任は、明らかにキャンプ場側にあります。しかし、そこを追求しすぎるあまり、安全管理を他人にゆだねる風潮を強めることにならないか？　ということです。　アウトドアは基本的に自己責任。いくら法的責任が管理者にあるといっても、それで身内が死んでしまったら、元も子もありません。アウトドアに限らず、クルマの運転や防災対策にも言えることだと思いますが、自身の危機管理は、自分で責任を持つという覚悟が必用だと思います。 

  Aug 3, 2014

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• 続・丹沢のキャンプ場で、４輪駆動車流され親子３人死亡。

  みなさん、こんにちは。　ちょっと違う視点から、もう１本、書いておきたいと思います。　1999年に起きた玄倉川の事故と決定的に違うのは、今回の事故現場が有料のキャンプ場だったということです。すなわち、安全を管理する第一義的な責任は、キャンプ場にあります。川が増水してクルマが渡れなくなることは、当然、予想されることです。もし対岸にキャンプサイトを作るなら、それなりの安全管理責任が生じます。それはきっと、以下のような感じになると思います。1.過去の増水実績より、高い場所にサイトを作る。2.増水したら戻れなくなる旨を、利用者に伝える。3.強い雨が予想される日は、サイトを閉鎖する。　ところがこのニュースによりますと、キャンプ場の売店では、すでに増水して危険になっている段階で、クルマでの避難を勧めているようです。被災者がそれに従って行動したのだとすれば、キャンプ場は責任を問われてしかるべきでしょう（恐らくこれから、そういう話になっていくと思います）。　Yahoo!の”雨雲ズームレーダー”など、気象予測サイトもたくさんありますから、こういうのを活用すれば、ゲリラ豪雨や川の増水も予測可能です。　キャンプ場は”サービス業”ですし、アウトドアは天気との戦いですから、キャンプ場が気象に目を光らせ、利用者に注意を促すのは、当たり前に提供されるべき”サービス”ではないかと思います。 追記：これを書いた後、東京新聞の朝刊を読みましたが、中州そのものが、外から土砂を持ち込んで嵩上げ造成されたものだそうですね。もちろんそんな工事は県が許可するはずも無く、2008年から６回にわたる行政指導を受けていたそうです。 

  Aug 3, 2014

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  ４駆の走破性を過信しないで！　丹沢のキャンプ場で、４輪駆動車流され親子３人死亡。

  みなさん、こんにちは。　表記の件、神奈川県山北町のキャンプ場”ウェルキャンプ西丹沢”で、増水した川を渡ろうとした４輪駆動車が流され、親子３人が死亡するという事故が起きてしまいました。まずは亡くなられたかたのご冥福をお祈りいたします。 　丹沢では1999年にも、玄倉川の河原でキャンプしていた団体が、増水による避難勧告を無視して居座り続け、全員が流されて13人が死亡するという事故が起きています。このとき僕は、山と渓谷社Outdoorの依頼を受けて事故を詳細に取材し、注意を喚起する記事を書いたのですが、また似たような事故が起きてしまったことが残念でなりません。 　玄倉川の事故を取材している際、「４輪駆動車で助けに行くことはできなかったのか」という声を聞きました。玄倉川の現場はコンクリートで護岸しており、そもそもクルマが入れる状況ではなかったのですが、仮に入れていたとしても、それは不可能どころか、むしろ自殺行為です。　僕はかつて、自動車会社で４輪駆動車の悪路走破性に関わる部門で設計の仕事をしていましたが、４駆といえども、徒渉できる水深は、静水でタイヤ直径の３分の２、流れがある場所では半分が限界です。それ以上、深くなると、ボディが浮き上がってタイヤの接地荷重が抜け、その場で動けなくなるか、水圧で流されたり、ひっくり返ったりするのが関の山です。場合によってはクルマがダムになってしまい、川の水位は増えていないのにクルマに当たる水圧が増し、ひっくり返されてしまうことさえあります。　雑誌やネットで、水中走行をしている４輪駆動車の写真を見たことのある人もいるかも知れませんが、多くはオープンボディのドアさえ無い車両で、車内に水が入りまくるから浮かないし、エンジンの吸気口にはシュノーケルを付けているのでエンストしないだけ。”キャメルトロフィー”など競技の映像でボンネットまで水を被るようなシーンがありますが、あれも流れの無い場所で、クルマに押されてせり上がった水がボンネットを越えているだけで、水深がボンネットまであるわけではありません。そもそも市販されているＳＵＶで同じことができるかと言えば、答えはNOです。 　みなさん、くれぐれも４輪駆動車の走破能力を過信しないで下さい。増水した川は、歩いて渡るのも危険です。流れが急な場所では、足腰が頑強な人でも、水深は膝頭までが限界です。それ以上、深くなったら、渡るのは諦めて、安全な場所を確保して下さい。  ８月３日追記：東京新聞によりますと、生き残った父親は「急に水が増えて鉄砲水が来た」と証言しているそうですが、恐らくこれは、クルマが水をせき止めてしまって水位が上がったのを”鉄砲水”と誤認したものと思われます。ボディサイドより上に水が来れば、ごく普通に起きることです。「鉄砲水が来て運が悪かった」のではなく「知識があれば防げた事故」です。  　参考までに、山と渓谷社Outdoor誌1999年11月号の記事の一部を貼っておきます。   

  Aug 2, 2014

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• ガソリン価格の高止まりで、被災地だけでもトリガー条項は発動できないのか?

  みなさん、こんにちは。　先日の東京新聞の投書欄に、「飲酒したら動かせないクルマの開発を望む」的なものが掲載されていました。一般の方や新聞記者の感覚って、未だにこの程度なんですね(-_-;。僕は過去に何度も書いていますが、飲酒運転するのは確信犯で故意犯で、常習者であることがほとんどです。そんなクルマができたとして（もうできてます）、いったいどうやって乗せるのか？　そこを解決しない限り、装置に頼っても効果はありません（ということがわかっているから、どこのメーカーも販売しません）。　それはともかく、表題の件。　民主党政権時代に、「レギュラーガソリンの全国平均価格が３ヶ月連続して160円を超えたら、ガソリン税の暫定税率（25.1円分）を一定期間、免除する」という法律（租税特別措置法第８９条）ができました。たぶん、間もなくこの適用要件を満たすものと思われます。　では、トリガー条項は発動されるのか、といえば、東日本大震災の復興支援と言う名目で、条項そのものが凍結されてしまっており、発動される見込みは無いんですね。　そこで考えていただきたいのは、「それ、全国統一でいいのか？」ということです。被災地の復興支援が目的ならば、被災地だけでも発動したらいんじゃないでしょうか？　被災地は交通の便が良くない場所も少なくありませんから、クルマが生活必需品である人も多いでしょう。まず、そういう人たちの復興支援になります。　さらに「被災地はガソリンが安い」ということになれば、現地で給油する観光客が増え、被災地に落ちるお金が増えます。場合によっては、観光客そのものも増えるかも知れません。　問題があるとすれば、「どこで線を引くのか」ということと、「境界線を挟んで適用されなかったGSの売り上げが落ちるのではないか」という懸念があることですが、そのへんは賢い官僚のみなさんに対策を考えていただくことにして(^^;、地域限定でトリガー条項を発動することを、検討していただきたいと思います。 

  Jul 22, 2014

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• 連続する飲酒運転や脱法ハーブ吸引による自動車事故を防ぐ有効な手だては無いのか!?

  みなさん、こんにちは。　またしばらく放置してしまいましたm(__)m。この間、新型デミオやコペンやベンツCクラスやレクサスNXなんかを取材していたのですが、情報解禁のタイミングとか、有料書籍への影響とかを考えると、新型車情報については、どうも書きにくいんですよね(^^;。　というわけで、違う話題で１本。　飲酒運転の防止については、このブログでも過去に何度か書いてきました（興味のある方は、左の検索機能で”飲酒運転”と入れて”このブログ内”指定で検索すると、過去記事が検索できます）。しかし、アルコール検知に頼った装置では、どうやっても簡単に騙せてしまいますから、一番抑止したい故意犯や常習犯にはほとんど効果が無いだろうというのは、動かし難い事実です。アルコール検知装置では、脱法ハーブは検出できませんしね。　そこで、ちょっと見方を変えてみましょう。飲酒で酔っぱらったり、脱法ハーブでラリッたりしているのに、運転できてしまうことに問題はないのか、ということです。　これができてしまう大きな要因が、ATの存在ではなかと、僕は考えています。MTならば、デリケートなクラッチ操作を行わないと、うまく発進できません。走り出してからも変速操作が必用ですから、酔いの程度によっては、発進はもちろん、走り続けるのもATよりはるかに困難です。　しかもMTならば、発進の際に必ずクラッチを踏みますから、発進時のアクセルとブレーキの踏み間違い事故は、物理的に起こしようがありません。左手は変速操作のために空けておかなければなりませんから、スマホ運転の抑止力にもなるはずです（小樽の事故は、飲酒の上にスマホをいじっていたそうです）。　というわけで、僕は以前の記事で「AT限定免許は即刻廃止。AT車は身体の都合によって３つのペダルが操作できない人向けの福祉機器にするべきだ」と書いたことがあるのですが、そこまで極端にしなくても、MT車の持つ潜在的な安全性能がもっと認知されるような施策があっても良いのではないでしょうか。　例えば、自賠責保険料を減免するとか、自動車関連諸税の暫定税率分を免除するとか、金銭的な優遇策を実施すれば、もう少しMTに目を向ける人が増えるのではないかと思います。　もちろん、これだけで飲酒や脱法ハーブ吸引運転の対策にはほど遠いとは思いますが、決定打が無いだけに、効果のありそうなことを多重にやっていくのは、無駄なことではないと思うのです。MT車はスポーツカーに多い＝乱暴な運転で事故率も高い、という可能性もありますが、ならばアメリカの保険料率のように、モデルのカテゴリーによっては除外するということでカバーできますし。 

  Jul 15, 2014

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• 道路のカーブにクロソイド曲線を使うのは正しいか!?

  みなさん、こんにちは(^^)。　先日は三栄書房「ミニバンのすべて」の取材で、ノアのHVとヴォクシーのガソリン車の乗り較べをしてきました。詳細は雑誌でご覧いただくとして（６月３０日ぐらいに発売だったはず）、HVは高速でも市街地でも20km/Lを越える燃費を記録しました。特に市街地では、条件によってはガソリン車の２倍以上ということもありました。年間走行距離が１万kmぐらいで、そのうち８割が市街地であるユーザーならば、５年ぐらいで元が取れるかも知れませんね(^^)。　さて、表題の件。今日は一見、難しそうに見えるテーマですが、できるだけわかりやすいように説明しましょう。　道路のカーブの多くは、単純な円弧ではなく、「クロソイド」という曲線が使用されています。クロソイド曲線については、こちらのサイトがわかりやすいのでご参照いただくとして、簡単に言ってしまうと、「カーブが純粋な円弧だと、カーブに入った瞬間、時間差ゼロでカーブに沿う角度までハンドルを切らなければならないから、その手前に、ハンドルを等速で徐々に切った時にクルマが描く軌跡と同じカーブ（クロソイド曲線）を入れる」ということですね。 　なるほどこれは合理的に思えます。事実、日本では国道17号線の三国トンネルが開通した際、当初は単純な円弧を使用していたため事故が多発し、日本で初めてクロソイド曲線を導入して改修されたという実績があります。　その後、あちこちの道路でクロソイド曲線が使用されるようになったのですが、これ、実は闇雲に使えば良いと言うものではないんですね。なぜなら、クロソイド曲線は「走行速度が一定」ということを前提にしているからです。　では、実際のドライバーの心理はどうでしょうか？　まずカーブを見たら、入り口の曲率と自身の経験則から、曲がり切れそうな速度を推定してブレーキをかけます。このときにカーブの入り口がクロソイド曲線＝その先にある最大曲率より大きかったら、どうなるでしょうか？　ドライバーは旋回可能な速度を高く見積もりすぎて、曲がり始めてから「おっとっと」となるのではないでしょうか？　たぶん読者の皆さんの中にも、こうした経験をされた方が少なくないと思いますが、クロソイド曲線は、状況によっては判断を誤らせる可能性を秘めているということです。特に、最大曲率点が見通せない「大きな」あるいは「深い」カーブは要注意です。 　いちばん走りにくいのが、ドライバーが「もう加速体制に入りたい」と思うような場面で、まだ曲率が増す方向のクロソイド曲線が使われているケースです。例えば、高速道路の導入路。ドライバーの心理としては、料金所を通過すれば「これから高速道路だ」という心理が働き、加速体制に入ります。ところがここにクロソイド曲線が使用されていると、心理とは逆に減速（または一定速走行）しないと曲がりきれなくなってしまうんですね。　典型的な危険箇所が、中央道相模湖IC上り線入り口です。ここがクロソイドかどうかは確認していませんが、実際に走行すると、料金所通過後に緩く曲がり始め、本線に合流する直前に最大曲率に達するため、せっかく加速体制に入っているのに減速せざるを得なくなり、本線が見えてからしっかり加速しないと、合流までに80km/hに達しません。旋回中だけでなく、合流時にも危険が伴います。　立地条件その他から、こうなったのもやむを得ないかも知れませんし、道路が設計された当時よりもクルマの走行速度が高まっており、場所によってはドライバーの誤認識を生むような場所がほかにも出て来ている可能性もあります。ドライバーの皆さん、クルマの性能が上がったからといって、くれぐれも油断せぬよう、カーブの手前ではしっかり減速することを心がけましょう。高速の合流では、本線走行車両と同じ速度まで、しっかり加速して下さいね（高速道路の導入路は、改修して欲しいですけどね）。  　そうそう。カーナビの地図を活用すると、次のカーブがどの程度の曲率なのかが事前にわかりますよ(*^^*)。

  Jun 4, 2014

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• 中古車買い取り比較サイト利用時の注意点。

  みなさん、こんにちは。すっかりご無沙汰してしまいました(^^;。　さて、表題の件。ルノー・カングーに新エンジンが搭載されたこともあり、ようやく買い替えの具体的検討に入りました。といっても、とりあえず「言いなり」で見積書を作ってもらっただけなのですが(^^;。 　しかも今回はクルマで行ったにもかかわらず、先方任せにしていたら、下取りとか査定の話にもならず。そこで、次回、行くときの参考にしようと思い、”買い取り価格一括比較サイト”というのを初めて利用してみました。 　そしたら。 　いやー、凄いですね、電話が。最初に連絡して来た業者なんて、クルマの状態を入力してenterキー押した５秒後ですよ(^^;。その後も、３社ほどから電話がかかってきたのですが（合計４社）、「査定に出向く」と言ったのは、そのうちの２社のみ。１社は口頭で、もう１社は電話の後にメールで「だいたいこれくらい」という連絡が来ました。 　そこで、とりあえず見てもらうことにしたのですが、正直言って「止めときゃ良かった」です(^^;。だって「査定」なのに、明確な金額を出してくれないんだもの。　いや正確に言えば、「引き渡しの期日が確定できないと、正確な金額が出せない」ということなんで、こちらも準備不足といえばそうなんですが、その元になったサイトを見ると、「ディーラーで交渉する前に複数の買い取り会社で見積もりを取ったほうがいい」 というように書いてあるんですよ。だから気軽に利用したのに、そりゃないでしょ(^^;。金額が出ないんじゃ、ほかの買い取り会社との比較もできないし。　というわけで、単に売却するならともかく、乗り換えのケースでは、次のクルマの納車予定がはっきりするまで、買い取り業者の利用は保留にするか、利用するなら「手放す時期は明確にできない」ということを、最初に伝えるべきだと思います。　これは中古車市場が流動的であることに起因するものだと思うのですが、利用する際には注意したほうが良いポイントですね。 　ていうか、納車日が確定してるってことは、もうディーラーに下取りさせる契約が成立しているはずで、新車購入に限って言えば、このシステムそのものが成立していないのではないかという疑問があったりするわけですが(^^;。  　それはともかく、複数の業者に査定を依頼する場合、１社あたり１時間ぐらいは取られますし、次の業者が来る前に結論を出すように迫ってくることが少なくないようです。面倒だと思う人は、「査定に行く」と言った業者を同じ時間に集め、タイムリミットを区切って「名詞の裏に金額を書いて、せーので出して、一番高いところに決めます」ってやるのも、ひとつの方法ではないかと思います。無理に競合させちゃうと、営業マンが自腹で上乗せする場合もあるようですし、そんな仕事をさせるのは忍びないですから。  　とか書いちゃうと、また仕事が減るのかしら(^^;。

  May 17, 2014

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• ホンダ・ヴェゼルに乗って来た。

  みなさん、こんにちは。　三栄書房「SUVのすべて」14年版の巻頭企画で、ヴェゼルのガソリン車とハイブリッド車の燃費比較をやることになり、少し長距離を比較試乗してきました。細かい話は本に書きますので、そちらを参照いただきたいのですが（４月25日頃発売されるはず）、ガソリン車の燃費が思いのほか優秀ですね。高速ではハイブリッドの５％落ち、市街地では20％落ちぐらいで走ります。　動力性能的にも、普通のガソリンエンジン車で十分。ハイブリッドはモーターアシストがかかると２L並みのパフォーマンスを見せますが、そこに魅力を見出せない人は、35万円の追加投資は高いのではないかと思います（手放すときの値落ちはＨＶのほうが少ないと思いますが）。　ではこのクルマ、お勧めできるのか、と問われれば、「いつも自分の走っているコースをじっくり試乗してから決めて下さい」という以外に無いです。というのも、乗り心地がすごく硬いんですね。ダンパーには独ザックス製の微振幅感応バルブ付きを使っているので、ザラザラビリビリ感はないし、減速を促すゼブラ塗装なんかも滑らかにこなすのですが、いかんせん基本となる減衰力が高すぎます。工事の補修跡や路面のうねりを越える時なんか、けっこう不快な突き上げが感じられます。その分、操縦性能は良く、それが特徴であると言えばそうなんですけど、SUVの鷹揚感を期待すると裏切られます。ロードノイズも盛大に籠りますから、上級セダンを経験している熟年ダウンサイザーには、あまり向かないのではないかと思います。　もう少し正直に言えば、「いくら操安性重視といっても、量産モデルでこの乗り心地は酷いんじゃない」という感じ(^^;。「タイプRかよっ！」って突っ込みたくなります。これならVWゴルフGTIのほうが、乗り心地いいですわ。　とはいうものの、乗り心地の感じかたには個人差があるので、「この操縦性なら、この乗り心地は許せる」というかたもいるかと思うので、「いつものコースでじっくり乗ってみて」としか言いようがないんですね。　HVのモーター制御も、ちょっと粗い感じがします。１モーターなので仕方ないのかもしれませんが、定常走行中でもエンジン負荷をかけて発電したり、電気が溜まったらモーターで走ったりするので、常に微妙な加減速が感じられるんです。これはアクセル操作をしているドライバーでないと感じられないレベルですし、アクセル操作が粗い人ならわからない人もいるかも知れませんが、敏感な人には気持ちよくないので、このへんも試乗してよく確認していただきたいと思います。　普通のガソリン車も、キャパシタで減速エネルギー回生をするので、長い下り坂なんかではエンジンブレーキの強さが微妙に増減を繰り返します。このあたりも僕は少し違和感を覚えてしまいましたので、試乗時にはちょっと気にして乗ってみて下さい。

  Mar 29, 2014

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• 新型ヴォクシー／ノアに乗って来た。

  みなさん、こんにちは。すっかりご無沙汰しちゃいました(^^;。表題の件、今日はお台場の試乗会にお招きいただいたので、行って参りました。試乗そのものは、１月に東富士のテストコースでさせていただいているのですが、閉鎖されて幅も広いテストコースと、雑多な交通があって幅も狭い一般道では、けっこう印象が変わることがあるんですよね。最初に乗ったのが、ヴォクシーのHV仕様。お台場のMEGA WEBを起点に、混雑するフジテレビ前を通り、５％勾配のあるレインボーブリッジの一般道（通称ビンボーブリッジ）を渡り、芝浦の市街地を回って、ほぼ来た道を戻る約13kmのルートです。乗り味は非常に上質になりましたね。従来のヴォクシー／ノアは、乗り心地や騒音にけっこう荒っぽいところがあって、某誌にも書きましたけど「アルファロメオがミニバンを作ったら、こんなふうになりそう」といった感じでしたが、ボディ剛性がしっかりしたこともあり、がしゃがしゃどしゃどしゃした安っぽさが無くなりました。ハイブリッド特有のインバーターのノイズ（高周波のキーン音）が少し気になりましたが、欠点と言えばそのくらいでしょうか。動力性能の印象は、この1.8Lハイブリッドユニットに共通する感じです。加速応答はある程度意図的に鈍くしてあり、エコドライブは非常にやりやすいですね。ならば遅いのか、と言えば、数値的には決してそんなことは無いのですが、エンジン回転数がいきなり効率最良点まで吹け上がるので、音的には「無理して頑張ってる感」が感じられ、「ひょっとして非力？」と思えてしまいます。まあ燃費計を見ながら走っていると、飛ばしたい気持ちには、そもそもならないんですけどね。そしてその燃費は、びっくりの25.1km/l！　一般道でエアコン使用しているにも関わらず、モード燃費（23.8km/l）を軽く上回っちゃいました。コースは決して流れの良い道ばかりではなかったのですが、それでこの数値は驚きですね。ガソリン車との価格差は45万円ありますので、それを回収するには10万kmぐらい走る必用がありますが、年間１万５千kmぐらい走る人なら７年かからずペイできますね。「電池の廃棄があるからエコじゃない」なんていう人もいますが、トヨタは廃車から電池を回収して再生し、家庭用電源に転用する事業なんかも展開していますので、この批判は的外れだと思います。もちろん、より小さなクルマに乗ったほうがエコですが、ミニバンが必用なライフスタイルであるなら、そういうわけにも行きません。走行距離が長くない人でも、エコロジーのために乗るのは十分「あり」だと思います。２番目に乗ったのが、ノアのガソリン車。これもまったく同じコースを走りました。まず乗り心地は、HVよりも、少しゴツゴツ感が目立ちます。タイヤは同じなので、HVは電池が重たい分、バネ上のフラット感が出ているのでしょう。加速性能は、ガソリン車のほうがキビキビ感があります。発進加速なんかはむしろ「こんなに速くなくていいよ」と思うくらいで、すぐ「ecoモード」に入れちゃいました。こっちのフィーリングは、HVにかなり近く、加速応答はマイルドになり、その分だけエコドライブもしやすくなります。ノーマルモードは従来車同様に元気いっぱいですし、エンジン回転尾高まりも、HVのような乖離感はないので、走りを楽しみたい人ならガソリン車を選んだほうがいいんじゃないでしょうか。燃費も意外なほど良く、16.2km/l。こちらもモード燃費の16.0km/lを上回りました。最後にヴォクシーのZSにも乗りました。16インチタイヤを装着しているのですが、ロードノイズこそ大きくなりはするものの、ゴツゴツ感はむしろ15インチ車より少ない感じです。15インチは減衰力が遅れて立ち上がってゴツっと来るのか、16インチのほうが微少振幅からダンパーがちゃんと動いている感じがしましたね。コイツの燃費は13.9km/lと、けっこう差がつきました。が、走り出してすぐに表示された燃費計の数値が、ノアのガソリン車より明らかに低く、その後の上下はほとんど変わらなかったという感じ。開発者の方に伺ったら、「今はガソリン車でも充放電の制御をしているので、たまたま電圧が低いところからスタートして、いきなりエンジン充電モードに入ったのではないか」とのことでした。HVみたいですね(^^;。まあそんなわけで、そこいらへんのバラツキを考えると、ガソリン車の燃費は15km/lあたりじゃないのかなと思います。同エンジンの旧モデルで一般道を試乗したときも、だいたいそのくらいの数値が出ていましたので。動力性能や操安・乗り心地以外の点では、日産セレナを良く研究した跡が伺え、視界の良さや室内の広さなんかの負けている部分を、全て改善したという感じですね。セレナも秋にはHVが出てくるようですけど、ちょっとこれは「セレナ危うし！」という感じになってきました(^^;。

  Mar 14, 2014

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• スズキ・ハスラーの4WD性能をテストした。

  みなさん、こんにちは(^^)。　三栄書房「軽自動車のすべて'14」で、ハスラーの4WD性能について書いて欲しいという依頼が来たのですが、試乗会でオンロードを乗っただけなので、広報車を借りて来てテストしてみました。グレードはXターボ(CVTしかない)で、装着タイヤは夏タイヤのままです。　幸い、造成中でクルマがほとんど通らない工業団地の道路に、先日の雪がたっぷり残っているところがあったので、走行試験をしてきました。オールシーズンタイヤでもないホントの夏タイヤなのに、平坦なら問題なく走ってしまいますね(^^)。　そこで、坂道を使って、新機能の”グリップコントロール”を試してみました。メーカーの説明によれば、「スリップしたタイヤにブレーキをかけて、グリップしているタイヤに駆動力を回す」という装置です。なぜそうなるのかは、ディファレンシャルギヤの動きを理解しておく必要があるのですが、簡単に言うと、「クルマのタイヤは空転したところに全部トルクが逃げてしまうので、それを押さえるのが目的」という装置ですね。　さすがに夏タイヤでは、グリップコントロールがあってもなくても発進はできませんでしたが（というより、そういうところを選んで挙動を観察したんですが）、ブレーキと電子制御スロットルの動きが変わるのは、はっきり実感できました。　グリップコントロールがオフだと、ホイールスピンが起きてから一瞬遅れて、ブレーキが強めかつ断続的に作動します。かまわずアクセルを踏み込むと、エンジントルクを絞る制御が入り、回転数が上がらなくなります。　一方で、グリップコントロールをオンにすると、ブレーキ介入のタイミングは早くなりますが、介入量は少なめのようで、オフ時のような「ガッ、ガッ」という断続音は聞こえません。そのままアクセルを踏み続けると、エンジン回転数は下がらず、ブレーキ介入も「しているのかどうかわからない」というレベルになります。　少し緩めの坂で再テストすると、オフではエンジントルクを絞りすぎて発進できないケースでも、オンにすると雪をかきながら微妙に進み始め、グリップが回復して発進できることもありました。特に、片輪だけ雪に載せてスプリットμ路にした状態では、ほとんど滑らずに発進することができました。　というわけで、それなりの効果は確認できたわけですが、基本がビスカスカップリング式の4WDですから、前輪の空転を止めにいったら、後輪にトルクを伝達しなくなっちゃうわけで、むしろ通常のトラクションコントロールに較べ、ブレーキ介入が穏やかで、トルクも絞らない（要するに「何もしない」方向）から、後輪へのトルク伝達が増えて発進可能になっているのではないかという印象が無きにしもあらずでしたね(^^;。　それから、前２輪を明確にスリップさせているのに、後輪は止まったまま発進できないことがありました。これは、ビスカスによるトルク伝達量が、夏タイヤ＋雪路のグリップ力にすら達していないということが考えられます。そのまま回し続けてもハンプしなかったし、このへんのトルク伝達に対する考えかたがどうなっているのか、メーカーの技術者に聞いてみることにします。 　さて、クルマを返却しにいく道中、ついでに燃費計測をいたしました。数値は車載燃費計のもので、出発時にリセットし、到着までそのまま回しています。　気温３℃の冷始動から、８km位離れたホームセンター前あたりで12〜13km/L。近場の買い物や送迎ばかりの走行だと、恐らくこの程度ではないかと思います。　そのまま3kmぐらい走って、幹線道路に出る手前あたりで14km/L前後。少し距離が伸びると、デイリーユースでもこのくらいは走りそうです。　そこから幹線道路を10km程度走り、高速の入り口で17km/L前後。郊外を通勤する方で、片道20kmぐらいなら、このくらいの燃費になるのではないでしょうか。　さらに高速道路に乗り、90〜100km/h巡航で、追い越しの際に110km/h程度まで上げる運転で新宿のスズキ東京支社まで＋約40kmしたところ、総合燃費は20.1km/Lと、非常に優秀な値となりました。高速道路だけなら、20km/L越えるのは難しく無さそうです（越えられないとしたら、運転技術を疑うべきかと）。 

  Feb 14, 2014

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  JC08モード燃費が35.0km/Lになったアルトエコに乗って来た。

  みなさん、こんにちは(^^)。本日２本目です。　昨日はスズキの試乗会で、舞浜まで行ってきました。舞浜といえばネズミーランドなのですが、一度も入ったことはありません(^^;。　さて、表題の件。メインはハスラーだったのですが、「マイナーチェンジしたアルトエコも持って来たんですけど、乗ってみますか？」と聞かれたので、せっかくだから乗ってきました。　平均燃費計を見ながら走り出したのですが、伸びかたがハスラーとはまったく違います。走り出して1kmぐらいのところでハスラーは14km/Lぐらいを表示していたのですが、アルトエコは16.5km/L。その後も走るほどに燃費は伸びていきます。　ディズニーリゾートの外周から舞浜の住宅街に入り、また外周に戻って来たあたりで、30km/Lを越えました。ここまでは、アクセルワークに注意をしたとはいえ、加速は流れに合わせてやっていましたし、極端なエコドライブはしていません。　50〜60km/hで巡航していると、燃費は30km/Lを越えてからもじわじわと伸びていきます。ここで「いったいどこまで伸びるんだろ？」とスイッチが入り、後続がいないときは赤信号の停止にはなるべく時間をかけ、信号でもなるべく止まらずに済むようスピードコントロールするエコドライブに移行。32km/Lを表示したところで「さすがにこれ以上は伸びないだろ」と思って写真を撮ったら、試乗終了時には32.3km/Lまで伸びておりました(^^;。　「何を変えたんですか？」と聞いたら「CVTとエンジンの制御だけです」とのこと。それだけでまだこれだけの上げ代があったとは、正直ビックリでした。走行環境が良くなければ、ここまでの燃費は出ないと思いますけれど、市街地でも25km/Lぐらいの燃費を出すのは可能ないんじゃないかという印象を持ちました。　足はいじっていないということだったのですが、乗り心地も良くなったような気がします。最初に乗ったときは、280kPa入っているタイヤの空気圧が、ジョイント部や荒れた路面で悪さをしていましたが、今回はそれがマイルドになった印象。ハスラーの後で乗ったからかも知れませんが、ゼブラ塗装のシェイクも、アルトエコのほうが少なかったですね。　いやはや、凄い時代になりました。  

  Jan 18, 2014

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• スズキ・ハスラーに乗って来た。

  みなさん、こんにちは(^^)。　昨日はスズキの試乗会にお招きいただいたので、行って参りました。会場は恒例のホテルオークラ東京ベイ。JR舞浜駅から２kmちょっとのところにあります。ディズニーリゾートエクスプレスに乗れば５分ぐらいなのですが、僕はどうもあの乗り物が苦手なので、20分ぐらいかけて歩いていきました(^^;。　さて、表題の件。ベースはワゴンＲなので、加速性能などはワゴンＲとほとんど変わらないのですが、もともとワゴンＲがけっこういいだけに、ハスラーもほとんど不満を感じることはありませんでした。　最初に乗ったのは、自然吸気FFのCVT車。市街地では交通の流れに乗った加速なら、ことさらエンジン回転数が上がること無く付いていけます。少し強めの加速をしようとすれば、エンジン回転数が跳ね上がって、エンジン騒音はそれなりに聞こえてきますが、これはどんな軽自動車でも同じです。　自然吸気モデルにはMTがあるので、MTで乗れば、意図的に変速するのでこのへんは気にならなくなると思います。 　乗り心地や直進安定性の良さなどはワゴンＲゆずりですが、タイヤの太さと大きさで、性能差が付いている感じです。ワゴンＲは155/65R14、ハスラーは165/60R15と、ハスラーのほうがひとまわり大きいタイヤが付いているんですね。　タイヤが大きくなれば転がりは良くなる理屈どおり、良路での滑らかさはワゴンRを上回ります。直進時のハンドルの座り、操舵応答や旋回時の安定性なんかも、ワゴンＲより上ですね。　一方で、乗り心地面では少々劣るところがありました。サイズが大きくなれば重くなる理屈ですが、バネ下が重くなれば抑えが効きにくくなるのが道理。速度を抑制させるための路面のゼブラ塗装では、バネ上のシェイクは、ワゴンRより大きめに出ました。段差部でのショックも、少し大きく感じられました。これはバネ下の重さに加え、タイヤの空気圧を250kPaも入れているあたりに起因しているようです。恐らくエコカー減税（CVT車は免税）を取りにいくため、空気圧を上げて転がり抵抗を落としにいっているのが理由なので、210kPaぐらいまで落として乗れば、気にならなくなるんじゃないかと思います。　実走行燃費は21.1km/L。ディズニーランド周辺の空いたフラットな道路が75％、渋滞する舞浜の住宅街が25％ぐらいの割合で、走行時間は約40分。外気温７℃の冷間スタートで、エアコンの温度設定は22℃でのデータです。　続いて乗ったのが、ターボ４WDのCVT車。いや最新の軽ターボは本当に凄いです。低回転からブーストがかかり、ターボラグもほとんど感じられません。少し深めにアクセルを踏み込んでも、エンジン回転数を高めずにブースト圧で加速していくので、排気量の大きなエンジンのよう。欧州のダウンサイジングターボにも、引けを取らないフィーリングです。　やたらと回転を上げにいかないので、いわゆるラバーバンドフィール（アクセルとエンジンの間にゴムバンドがあるような応答遅れ）も無いし、MT派の僕でも「これならCVT車でもいいかなぁ」と思えるレベルです。　乗り心地や操縦性能はほとんど同じだったので、足のチューニングは重量差を合わせた程度だと思います。4WDはビスカス方式なので、走破性は知れていますが、今回はブレーキLSD制御が付いたので、オフロード（路外）で使わない限り、困ることは無いと思います。これ、ぜひFFにも付けて欲しいです。ESCが付いているなら、制御だけでできるはずだし。　燃費はNAとほぼ同じ条件で（渋滞度合いはターボのほうが厳しかった）、19.1km/L。これだけ走れば上等じゃないでしょうか。　NAとターボとどちらがお勧めかというのは、非常に難しいところですね。加速時の静粛性や余裕の点では、ターボ車に乗ってしまうとこちらが欲しくなりますが、乗り較べなければNAでもほとんど不満は無いんじゃないかと思います。走行環境によっても要求が違うと思いますので、このあたりは自分で試乗して判断して下さい。　さて、MT車が最廉価グレードだけでなく、中堅グレードにも採用されたのは喜ばしいですし、MT車もCVT車と同価格にするのが流行の昨今、ちゃんと84,000円安いのも好ましい……と思って装備を見たら、「そりゃ無いんじゃない？」というのが何とも残念。MT車には、エネチャージ（リチウムイオン電池を使った減速エネルギー回生装置）もレーダーブレーキサポート（市街地での追突防止／抑制装置）もESCもヒルホールドコントロール（坂道発進時のブレーキ保持装置）もキーレススタートシステムもリヤヒーターダクトも付いていないんです（泣）。　価格差はレーダーブレーキサポートとESCで埋まっちゃうぐらいでしょうから、残りの装備差分だけ割高ということになってしまうではありませんか(-_-;。エネチャージも個人差によって効果が出にくくなる場合があるから付けないのだと思いますけど、少なくともその分だけ割安感を感じられる価格設定にはして欲しかったですねぇ。CVTとMTのコスト差も加味すれば20万円安ぐらい、13万円安くすれば100万円を切りますから、そうなれば非常に魅力的だったんじゃないでしょうか（ジムニーは装備同一でMTが10,8150円安いです）。　レーダーブレーキサポートはともかく、ESCがあればブレーキLSDやヒルホールドもできるようになるんですから、MTでも坂道発進の不安はなくなるし、2WDでも走破性が高まるわけで、これは全車標準装備にして欲しかったなぁ。今年10月以降の新型車からは義務付けになりますが、軽の継続生産車は18年まで猶予期間がありますので、滑り込みで義務化を逃れたという感じがしてしまいます。　というわけで、割高感が我慢できるならMTでもいいですけど、ダメならCVT。CVTでいいならターボとの相性が良いので、GターボのCVTが「合理的な選択」ということになるでしょうか。 

  Jan 18, 2014

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• ドライビングキャップのすすめ。

  みなさん、こんにちは。　西日の厳しい季節に入り、クルマのサンバイザーが活躍する頻度が増えてきていると思いますが、方角が変わったり、日陰に入ったりしてまぶしさが無くなると、けっこう邪魔に感じるものですよね。位置によっては、信号も見えなくなっちゃうし。　でも、その度に出し入れするのも、またメンドクサイもの。そこで活用していただきたいのが、ドライビングキャップです。専用のものでなくて、つば付きのベースボールキャップなら何でもいいです。これを目深に被るだけで、クルマのサンバイザー以上の効果がありますし、視線を上げるだけで見たいところが見えますから、サンバイザーをいちいち仕舞う必要もありません。光線の角度が変わっても、顔の角度を少し変えるだけで対応できます。　サングラスの代用にもそこそこなりますので、メガネが苦手な人、トンネルの多い地域にお住まいの人なんかも、ぜひ試してみることをお勧めいたします。 

  Dec 7, 2013

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• 新型アクセラに乗って来た。

  みなさん、こんにちは。　今日はマツダの試乗会が横浜であり、新型アクセラに乗ってきました。遅れて発売されるディーゼルの試乗車は無く、1.5Lと2Lのガソリン車、それにハイブリッド仕様が用意されていました。1.5Lには6MTの試乗車もあったので、合計４車種、試乗して参りました。　まず、1.5LのMT車。これ、すごくいいです。クラッチフィールが良く、発進トルクが豊かなので、ほとんど気を遣わずに発進できます。最近のMTは、クラッチペダルの踏力を軽くするため、アシストスプリングを使用しているものが多いのですが、スプリング力が反転した瞬間に軽くなってスコンと踏んでしまい、微妙な操作がやりにくいものが少なくありません。しかしアクセラは、踏力が多少、重いものの、フィーリングが一定なので、クラッチがつながるポイントでの微調整がやりやすいんですね。　エンジントルクも1.5Lとは思えないほどで、黙って乗せたら「1.6Lぐらい？　1.8Lほどじゃないけど、1.5Lってことないでしょ？」って言ってしまいそう。発進したらすぐ２速に入れられますし、市街地走行なら2000rpm以下で走ってしまいます。ちょっと加速するような場面でも、3,000rpmまで回せば十分です。　操縦性、乗り心地なども、フォルクスワーゲン・ゴルフと比較しても遜色ないですね。あちらの1.2Lターボも良くできていますが、脚の動きはアクセラのほうがいいんじゃないでしょうか（ゴルフの1.4並み）。　燃費もなかなか良好で、パシフィコ横浜から高速で大黒パーキングまでの10kmが19.2km/L、そこから折り返し、新山下で降りて一般道を帰ってきて、20km走行で17.2km/Lを記録しました（6ATは18.3km/Lと16.3km/L）。　そうそう、MT車には、坂道発進時にズリ下がりを防ぐヒル・ローンチ・アシスト装置が付いていますから、坂道発進が苦手な人でも大丈夫。アクセラを買うなら、この機会にMTに復帰することをお勧めします。MTなら発進時のペダル踏み間違い事故を起こしませんよ〜。 　静粛性の点では、「ちょっとロードノイズが大きいかな」という感じ。2,000rpm以下ではエンジン音が聞こえないので、シフトアップのタイミングを図るのに、タコメーターに頼ることが多かったです（シフトアップインジケーターも付いてますが）。　2Lのガソリンエンジン車は、ちょっと残念な感じでした。タイヤが215/45R18サイズなのですが、これがちょっと硬すぎる感じで、ロードノイズは大きいし、ジョイント段差で尖ったショックは来るし。操舵応答性は確かに良くなっているんですけど、轍にも敏感になってるし、ダイレクトになった分、中立付近のパワステのアシスト感も目立っちゃってました。標準装備でなく、オプションで良かったんじゃないでしょうかね（オプションでも16インチは選べません）。　というわけで、「エンジン排気量に余裕があるから」というだけで2Lを買うのは、およしになったほうが良いと思います。このグレードをお勧めできるのは、峠道を走るためだけにでもドライブに出かけるような層ではないかと思います。　1.5Lと同じコースを走った燃費は、大黒PAまでが17.7km/L、トータルで16.9km/Lと、なかなか優秀でした。1.5Lとの差が小さいのと、高速のみからトータルでの落ち込みが小さいのは、キャパシタにエネルギーを回生するi-ELOOPの効果が出ているのではないかと思います（その分、エンジンブレーキが強めです）。　それだけに、標準装着タイヤを1.5Lと同じ205/60R16にしておいたら良かったんじゃないかと思いますねぇ。そのほうが絶対に万人向きです。　さて、注目のハイブリッド仕様はどうだったでしょうか。ご存知の通り、トヨタのハイブリッドシステムを、ライセンス契約で供与されたものですね。　で、いきなり結論。プリウスを買おうと思っているかた、ぜひ乗り較べてみて下さい。今、プリウスに乗っているかた、ぜひ試乗しにいって下さい。絶対にこっちが欲しくなりますから。　もともとプリウスは、走りに関しては、あまり誉められたものではありませんでしたが、操縦性や乗り心地の差が歴然と違います。　それから、ハイブリッドシステムの制御も、アクセラのほうが自然……というか、従来エンジン車の感覚からのズレが少ないです。プリウスは、少し強い加速をしようとすると、いきなりエンジン回転数が跳ね上がりますが、アクセラは排気量が0.2L大きいため、回転数の高まりが抑えられており、車速の伸びとエンジン回転数の相関が、プリウスほど離れていないんですね。　効率ベストを狙うと、多分プリウスの制御が正解なんでしょうけれど、フィーリングベストならアクセラのほうが正解です。僕はこれまで、ハイブリッド車はあまり人には勧めていなかったのですが、これなら勧める気になりました(*^^*)。　それじゃプリウスより燃費が悪いのは仕方ない……のかといえば、決してそんなことはなく、大黒PAまで23.9km/L、トータルでは24.9km/L走ってくれました。市街地ではなるべくEV走行から外れないようにしましたが、高速では追い越し加速のフィーリングを試したりもしましたから、燃費運転べったりではなくて、この数値です。　ちなみに、プリウスと同じシステムを使うレクサスCT200hでも、まったく同じコースを走ったことがありますが、往復の燃費は21.9km/Lでした（このときのほうが気温は低かったですが）。　燃費で上回っただけでなく、プリウスの”宇宙人ぽさ（CT200hの項参照）”も、ほとんどありません。これで操安・乗り心地まで良く、価格もほとんど変わらないんですから、アクセラHVのほうが圧倒的に「買い」ですわ。ガソリン2Lともそう値段が変わらないので、ガソリン2Lを買うなら、いっそHVにしてしまったほうがいいかもしれません。 

  Dec 6, 2013

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• 続々・マツダCX-5衝突軽減ブレーキ試乗事故は、なぜ起こったか。

  みなさん、こんにちは。　表記の件、東京モーターショーのプレスデーで、マツダとコンチネンタルを取材してきましたので、しつこくもう１本、書いておきます。　マツダの表向きのコメントは、「警察が調査中なので、結果が出るまでは何も言えない」、コンチネンタルのほうでは「マツダさんがハンドリングしているので、私どもからは何も申し上げられない」ということでした。さすがにガードは固いですね。　しかしこの程度は想定された範囲であって、それで「はいそうですか」と引き下がってしまっては、ジャーナリスト失格です。そこで「一般論としては」だとか、「私はこう見ているがどうか」とか、「警察はドライバーのミスとの見方を強めているらしいがどうか」とか、手を替え品を替え聞いてみるわけですね。　そうした会話の中から引き出された話を総合すると、やはり「想定外の環境下で、不適切な操作を行ったため、機能が解除されたのではないか」と感じているように、僕には受け取れました（念のため言っておきますが、誰かがそのように話したわけではありません）。　そして、それが一般ユーザーの試乗会であったという状況に鑑みれば、当初から書いている通り、開催者側の会場設定の不備と、説明員の説明不足というところに、責任は帰するのではないかと思います。 

  Nov 21, 2013

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• アクセル／ブレーキ踏み間違い事故がまた２件

  みなさん、こんにちは。　表記の件、また事故が起こってしまいました。１件は、駐車場からバックで出ようとしたお年寄りが６歳の子どもをはねる事故、もう１件は、警察官が壁際にクルマを停めようとして、誘導していた上司をはねてしまったという事故です。　これ、いずれも左足ブレーキを踏む習慣があれば、防げた事故です。　後退時には体を捻りますが、体の硬くなったお年寄りは、どうしても下半身が動いてしまい、ペダルの位置関係がわかりにくくなります。が、それでも左足をアクセルまで届かせるのはまず不可能ですから、踏み間違いすることはないはずです。　２件目の事故は、クルマを壁際に寄せるため、じわじわと動かそうとしてアクセルを踏みすぎたようですが、これも左足ブレーキで駆動力を調整していれば防げました。　特に、段差を乗り越えたりする場面では、段差を乗り越えられるだけのトルクを出すためにアクセルを深めに踏みますが、車輪が段差の上に上がった瞬間に抵抗が無くなりますので、すぐにブレーキを踏まないと、勢い余って飛び出してしまいます。左足でブレーキを踏んで駆動力調整をすれば、こうした飛び出しは防げます。　誘導していた警察官が、壁とクルマの間に入っていたというのも、リスクコントロールの点で問題がありますね。クルマの進行方向から外れた位置で誘導しなければ、今回のような事故は起こりえます。それが警察官だったというのは、なんともお粗末な話です。 

  Nov 19, 2013

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• 続・マツダCX-5衝突軽減ブレーキ試乗事故は、なぜ起こったか。

  みなさん、こんにちは。　表記の件、埼玉県警の調査による見解が公表されました。 それによると「運転ミスとの見方を強めている」とのことです。　が、ちょっと待って下さい。これ、「運転ミスをカバーするための装置」ですよ。それを言うなら「体験試乗時の説明ミス」「会場の設定ミス」でしょう。運転ミスだとすると、責任はドライバーに帰属しますが、後者ならディーラーの責任になりますから、大きな違いがあります。　「ブレーキを踏んだ形跡が無かった」って、これ「ブレーキを踏まなくても止まる装置」ですよ。「自動ブレーキがかかる機能が作動しない37km/hで走行」って、それは衝突時の速度であって、ゼロからの発進なんですから、そこまで加速する間に装置が作動していなければおかしいでしょう。作動しなかったとすれば、「解除される条件」の運転操作をしてしまっているはずです。　マツダのシステムは確か、ハンドルを切ったりアクセルを踏み増したりすると「ドライバーが回避行動を起こした」と判断して、ブレーキ介入を中止する制御をしていたはず。あるいは先日も書いた通り、作動したのは”AT誤発進抑止機能”のほうで、これもアクセルを踏み続ければ解除になりますし、この機能はエンジン出力を絞るだけで、自動ブレーキは作動させませんから、ブレーキ痕が無かったという点とも整合が取れます。　やはり先日の僕の推測のほうが、正解なんじゃないでしょうか。 

  Nov 16, 2013

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• AT誤発進防止は、ハードウェアに頼らなくても実現できる。

  みなさん、こんにちは。　昨日の関連で、ひとつ書いておきましょう。　近年、多発しているAT車の誤発進や暴走事故の原因の多くは、アクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違いによって起こっています。ですから昨日も書いた通り、現在の"AT誤発進防止機能"では、防ぐことはできません。　では、どうすればいいのでしょう？　答えは極めて簡単です。ブレーキペダルを左足で踏む習慣を付ければいいんです。もちろん、AT限定免許講習の際にも、左足ブレーキを教えるよう改訂します。これなら、アクセルペダルと間違えてブレーキペダルを踏むことはあっても、逆はほとんど起こらないはずです。　本来ならば、AT限定免許が導入された際に、教習内容を変更すべきでした。AT限定免許が導入された表向きの理由は、「AT車の交通事故が増加しているため、専用免許を」ということでしたから。　しかしこれは嘘っぱちだったことが、事故データの調査によってわかってしまいました。当時のAT車の普及率と、AT車の事故率を比較したら、普及率のほうが高かった＝台数が増えたから事故件数が増えただけで、比率上の有意性は見られなかったんですね。　では、何のためのAT限定免許だったのかといえば、従来の教習課程では免許が取れなかった人にも免許を取れるようにして、クルマの販売台数を伸ばすための政策に過ぎなかったんです（詳しくは自著「エコロジー時代のRVの選び方・使いかた（山と渓谷社）」に書きましたので、そちらを参照下さい。14年前の本ですが、まだアマゾンで新品が買えるようです。中古なら１円ですが(^^;）。　というわけで、将来、アクセルとブレーキの踏み間違い事故を起こしたくない人は、MT車に乗るか、AT車なら左足でブレーキを踏む習慣を付けることをお勧めしときます。あ、もちろん自己責任で、安全な場所でよく練習してから実践利用して下さいね。 

  Nov 13, 2013

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• マツダCX-5衝突軽減ブレーキ試乗事故は、なぜ起こったか。

  みなさん、こんにちは。　表記の件、少し詳細がわかってきたようなので、検証してみましょう。　まず事故の状況ですが、時事通信によりますと、体験用のウレタンマットがクルマの７m前に吊るしてあり、さらにその先6.6mのところにあった金網フェンスに衝突したとのこと。助手席の営業マンは腕を骨折したそうなので、そこそこのスピードで衝突したことがわかります（シートベルトしてなかった？）。　CX-5の衝突軽減ブレーキについても、触れておきましょう。センサーシステムは、コンチネンタル・オートモーティブシステムズ製で、他社でも広く使用している実績のあるものです。近赤外線レーザーを前方に発射し、反射波を捉えることで、障害物の存在／距離／相対速度を測ります。マツダの公表しているところによると、検知可能距離は車両前端から約６m以内で、作動する自車速度は、約４〜30km/hです。　この装置にはもうひとつ、ATの誤発進抑止機能が付けられています。発進から約10km/h以下までの速度で走行中、センサーが前方に障害物を検知しているにも関わらず、アクセルが急激に踏み込まれると、エンジン出力を絞って暴走を防ぐ機能です。エンジン出力を絞るだけで、自動ブレーキは作動しません。さらに、アクセルを繰り返し踏んだり、ずっと踏み続けたりすると、機能は解除されてエンジン出力は通常どおり上がるようになります。踏切に閉じ込められたときなど、緊急脱出を想定して、意図的にそのようにしています。　以上を踏まえた上で、事故を検証してみましょう。　まず、ウレタンマットまでの距離が７mで、センサーの検知可能距離が６mということに注目して下さい。センサーが障害物を検知した際の速度は、10km/h以下だったことが推定できます。すると作動したのは”衝突軽減ブレーキ機能”ではなく、”AT誤発進抑止機能”のほうだったのではないかと思われます。　このとき試乗したドライバーは、もっとスピードを出そうと、アクセルペダルを踏み直したか、深く踏み続けたのではないでしょうか。そして、AT誤発進抑止機能が解除され、エンジン出力が高まって、ウレタンマットを跳ね飛ばしたのではないかということが、可能性として考えられます（別のメーカーの同様装置の試乗でアクセルを踏み続けたら、エンジン出力が上がって縁石を乗り越えた経験があります）。　ならば、その先にあったフェンスは……、細い金網では近赤外線レーザーは反射できませんから、装置は機能しません。そもそもこの装置は、軽自動車以上の大きさのものを想定した”追突防止装置”として開発されていますので、金網フェンスが検知できないのは欠陥ではありません。　時事通信によれば、事故前に３〜４組が試乗した際には装置は機能したとのことですが、AT誤発進抑止機能でも警報音が鳴りますので、何も知らずに乗れば、反射的に自分でブレーキを踏んでしまいます。一般ユーザーが目の前に障害物がある状態で発進し、警報音が鳴ってもブレーキを踏まずにいられる人は、そう多くはいないと思いますので（僕も最初に体験した時には、反射的にブレーキに足が行きました）。あるいは、警報音が鳴って加速しなくなった段階で「装置が効果を発揮した」と考えて試乗を終了したことも考えられます。　というわけで、今回の事故は装置の欠陥ではなく、試乗コースが適切に設定されていなかったため、というのが、今のところの僕の”推定”になります。そしてそうなった原因は、メーカーが装置の機能を販売店に正しく伝えていなかったか、販売店が理解を誤ったか、いずれかではないかと思います。（ちなみにジャーナリスト向け試乗会の際には、30km/hまで加速できるだけの助走路が設定されるのが一般的です）　真相は今後、明らかになるでしょうし、メーカーから公式な発表があるとは思いますが、この手の装置は万能ではないので、くれぐれも過信／依存はしないようにして下さい。 ※追記　ちなみに安藤は、AT誤発進防止機能については、取材のたびに「それ、意味ないんじゃないですか？」と指摘してきました。ATの誤発進のほとんどすべては、アクセルとブレーキの踏み間違いです。本人はアクセルペダルをブレーキペダルだと信じて踏んでいますから、警報が鳴ったら、より深くアクセルペダルを踏み込んでしまい、装置が解除されて暴走してしまうことになります。 

  Nov 12, 2013

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• 「赤ちゃんが乗っています」ステッカー 都市伝説について。

  みなさん、こんにちは。　表記の件、フェイスブックでこんなことを発信した人がいて、僕が確認した段階で18,000人もの人がシェアしていますが、これ、100％嘘ですから。　 まず、「後部座席の下に落ちていて見つからなかった」とありますから、赤ちゃんの年齢は１歳以下であると推定できます。そんな赤ちゃんをクルマに乗せて高速道路を運転する時、あなたならどうやって載せますか？　こんな年齢では、まともにひとり座りができないし、座ってじっとしているわけありません。それ以前に、こんな小さな赤ちゃんをシートの上に載せていただけでは、ブレーキをかけたりカーブを曲がったりした程度でも、簡単に転げ落ちてしまいますから、まともに運転なんかできないでしょう。　話の設定では1980年代となっていますが、当時だってチャイルドシートはすでにありましたから、チャイルドシートかベビーシートを使用していたはずで、それが着いていれば救急隊だって「赤ちゃんはどこだ？」と考えるはずです。しかも、正しく使用していれば、赤ちゃんがすり抜けることは、まずありません（アメリカは1985年までに50州すべてでチャイルドシートの着用が義務化されています）。 　「チャイルドシートを使っていなかったのではないか」との反論もあろうかと思いますが、これも二つの点からあり得ません。　まず、ドライバーが３日も意識が戻らないような重症を負っていること。そうなるためには、頭部を強打していることが考えられます。事故現場がハイウェイであることを考えると、事故形態は正面衝突か、路外逸脱による横転でルーフかピラーに頭を強打したかであることが推定されます。　チャイルドシートを使用しておらず、運転手が３日も意識を失うような正面衝突をしたら、赤ちゃんはどうなるでしょう？　前部座席に乗っていれば、ダッシュボードかフロントガラスに叩き付けられますね。後部座席だったら、前席シートバックに叩き付けられます。仮に相手が布だったとしても、シートの中にはフレームが入っていますから、生地の目がプリントされたように皮膚に痕跡を残します。いずれにしても「目立った外傷がない」ことはありえません。　路外逸脱の横転事故だったらどうでしょう？　ドライバーが頭を打っているなら、最低でもクルマは裏返しになっているはずですが、赤ちゃんは後席の下に落ちていたわけですから、クルマは少なくとも１回転していたことになります。そうなれば、赤ちゃんはクルマの中を転げ回り、外傷を負わないことは考えられません。運が悪ければ、割れた窓から車外放出されます。赤ちゃんの大きさなら、この確率は大人より高くなります。　もうひとつ、別の観点から。仮にチャイルドシートを使っていなかったとしても、赤ちゃんを乗せていたなら、かならずその”痕跡”があるはずです。例えば、哺乳瓶やおもちゃ、替えのおむつなどの赤ちゃん用品。赤ちゃんを寝かせていたとすれば、バスケットやタオルケットのようなものもあるかも知れません。それを救急隊が見逃すでしょうか？　ほかにも、書いたほうが信憑性が高まる事故形態に触れられていないとか、創作と推定できる要素はたくさんあります。これらのことから、この話が作られたものであることは容易に分かります。　仮に実話だったとしても、そこから導かれるべき結論は「チャイルドシート／ベビーシートは正しく使いましょう」であるはずで、「ステッカーを張りましょう」にはなるはずがありません。 　コメント欄で「作り話でも、そういう効果があるならいいじゃないか」と書いている人も少なくないようですが、チャイルドシートやベビーシートを使用していれば、「赤ちゃんの存在を伝える」という点では、まったく同じ効果が得られます。こんなステッカーを張るよりも、チャイルドシートやベビーシートの取り付けかたと正しい使用方法を身に付けるほうが、よほど重要なことです。　最近、フェイスブックでは「感動した話」の類いが盛んにシェアされていますが、作り話も相当数、出回っているようです。そういうものの多くは、「実話だったら、こうは書かない」とか「実話なら詳しく書きたくなるはずの部分が、やけにあっさり書いてある」など、それを伺わせる部分が必ずあります。僕は文章を生業としていますので、とりわけ敏感なのかも知れませんが、みなさんも騙されないように、注意して下さい。　誰が言ったか忘れましたが、「神は細部に宿る」。けだし名言。 ※追記　件のステッカーが「赤ちゃんが乗っているのでキビキビ運転できませんけど、あおったりしないでね」という意味しかなかったとしても、全然問題ないと思います。

  Oct 31, 2013

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• 京都府八幡市のスポーツカー暴走事故を考える。

  みなさん、こんにちは。　表記の件、またしても、痛ましい事故が起こってしまいました。一報を聞いた時、「またアクセルとブレーキの踏み間違いかな」と思ったのですが、今度は技量を越えた無謀運転だったようで、加害ドライバーは18歳。昨年11月に免許を取得したばかりの初心者だったようです。クルマの軌道を見ても、「アクセル踏みすぎてリヤが過剰に流れる→あわてて逆ハンドルを目一杯切る→逆ハンドルを戻し遅れて外に飛び出す」という典型的な初心者事故です。　乱暴な運転が常習だったようなので、危険運転致死傷罪が適用されるんじゃないでしょうか。　さて、この報道の写真を見ますと、クルマは日産フェアレディＺのZ33型です。排気量3,500cc、最高出力280馬力（後期型なら313馬力）のモンスターマシンです。事故の形態から見て、ESC（※末尾注記参照。日産ではVDCと称している）の付いていない車両か、ESCのスイッチをオフにしていたかのどちらかでしょう。　フェアレディＺは2008年にZ34型にモデルチェンジしており、Z33型に乗ったときの印象は薄れてしまっていますが、Z34型は初心者がESCを切って御せるようなクルマではありませんでした。試乗は日産のテストコースで、ウェットで落ち葉が積もるという最悪のコンディションだったのですが、ESCをオンにしていても、ちょっと強めにアクセルを踏むとリヤがムズムズと流れたがり（もちろんESCが介入します）、僕はESCを切ることができませんでした。同行した同業者はESCを切ったため、直線の加速でスピンしていましたし。 　で、今回の一件から言えるのは、「そんなモンスター級のスポーツカーに、初心者が乗れるという制度がおかしいのではないか？」ということです。例えば自動二輪の免許は16歳から取れますが、大型自動二輪は18歳にならないと取れないように、段階的に設定されています。　あるいはイタリアの例ですが、最初の１年間は、55kW（74.8馬力＝１Ｌエンジン相当）を越えるクルマは運転してはいけないと決められています（2011年２月施行）。違反すれば罰金が課せられ、２〜８ヶ月の免許停止となります。　55kWというのは、いささか厳しいような気がしますが、同様な事故が多い様であるなら、日本でも最初の１年目は74kW（約100馬力＝1.5Lエンジン相当）に制限し、無事故無違反なら２年目から100kW(約136馬力＝2Lエンジン相当）、さらに無事故無違反なら限定解除というように、段階を追って解禁していくような制度が必用になるかも知れません。　まあ「そんなことをしたら、なおさら若者のクルマ離れが進む」とか「今後はESC付きのクルマが増えるから安全になる」という反論は、当然、予想されますが。 ※ESC=Electronic Stability Control System　加速度センサーや角加速度（ヨーレート）センサーによってクルマの動きを監視し、その時の速度やハンドル角に対して、本来発生するべき車両の動きと異なる動きをしていると判断されると、自動的にアクセルを絞ったり、片側の車輪だけにブレーキをかけたりして、姿勢の乱れを自動的に修正してくれる装置。これが付いていると、ドリフト走行のような「通常とは異なる動きをした走りかた」はできないが、サーキット走行や脱輪等の緊急脱出時を考慮して、任意スイッチでカットオフすることもできる。2014年10月以降に製造される乗用車から義務付けとなる。 

  Sep 25, 2013

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