風邪の装い
昔田辺聖子さんがエッセイで書かれていた(最近田辺さんのことを言っても『誰??』なんて真顔で言われるけど、田辺さんははずれの少ない希有な大作家なのですよ)。「かなりおしゃれな女の人も、夏はなりふりかまっていられなくなる」と。でも、野宮は最近思う。人は風邪をひくと、夏よりなりふり構えない。私は綺麗な女の人が好きなので、基本的におしゃれでない女性を見ると「惜しい!! あーしてこーしてこーすればどうよ!! あ、そのあたりこーしてあーしてみればかなり違うのに…」と脳内おせっかい大会を繰り広げている暇人だ。だから自分についてもある程度はきちんとしてたいなーと思う性質。だけど、このごろの私ときたらあんた…。散髪に行ってないからぼさぼさの頭、首には安い毛糸で編んだ毛皮っぽいマフラー(ぽい、の時点ですでにいろいろなものを諦めている)、プチバドウの長袖シャツの上にユニクロのフリース、シマロンのパンツの上にユニクロのライトエアテックの長ズボン。そして外出する時はよれよれで汚れた白いダウンを羽織って、顔にはマスク。マスクの下はもちろんすっぴん。その格好でバス停に立ち、「あ、外に出るときは水仕事しないからハンドクリーム塗ろう」とか言って、時刻表の前で手をこすり会わせたりしている…。通りすがりの犬でさえ「なんか可哀想…」と振り向くほどのくたくた感。おしゃれの残り火、プチバドウやシマロンが一切見えていない所もいっそう虚しく悲しい…。というわけで風邪をひくと、こういう面でもかなり凹みます。病気であろうと、冬であろうと、本当はいろいろおしゃれの工夫はできるのだけど、工夫する気力が出ないあたりも、どうしようもなく辛い。くーー。こんな目にあわないためにも、予防医療を強くオススメする野宮です。職場では加湿器を出して、足をあっためて、無理しない。早く家に帰って、早く寝る。だめだめちゃんでもいい。風邪ひいちゃって休んだらだめだめ以下です。皆さんご無事で~。(あ、風邪の時用に重ね着のかわいいコーディネートをいつも準備しておくという手はあるな…だけど元気な時はとてもそんなことをしようなんて思わないのですよねえ)