☆あんず☆の独り言

2013/09/21(土)22:04

田中優子 矛盾だらけの改憲論

平和(62)

田中優子 法政大学 しかもこの憲法を守っていかないと、周りの国から何をされるか分からない、 という状況になったならば、もっと必死にやったかもしれません。 ところが私たちが必死になったのは「お金を儲ける」ということで、 一つの国として姿勢を堅持していく必死さ、というところまで思い至らなかった。 その背景には「アメリカがいつでも支えてくれる」という思いがあって、 まあ、それでいいだろうと、なんとなく誤魔化し続けた結果でしょう。 誤魔化しの行き着く先が自衛隊、そしてこれがついに軍隊になろうとしているわけです。 アメリカは、天皇制を残すことによって日本を支配しようとしたのです。 アメリカが日本を直接支配するというのは、難しいですよね。 つまり占領地、植民地状態になるわけですから、いつ反乱が起こるかわからない。 そこで、占領地なのに占領地に見えないテクニック、 それが天皇制を利用するということだったのでしょう。 これは賢い戦略だった。 なにしろこのために、日本人は自分たちが占領されているとは思わなかった、 でも本当は占領されていた、つまり、安保体制という名の下に占領されて---- アメリカとしてはどうしても天皇制を守らなければならなかったわけですね。 そこに大きな捩じれができてしまった。 だから、アメリカ批判をすると、右翼の人たちが怒ったりするわけですね。 あれが、私は前から凄く不思議なんです。 安倍さんなんか、アメリカが作った憲法だから改正しようと言いながら、 アメリカの言い分をほとんど丸呑みにしています。 まあ、小泉さんもそうでしたけれど。これは明らかに論理破綻していると思いますよ。 防衛庁を防衛省にして、やがて軍隊を作って、というのなら、 まずその前に、米軍は沖縄から撤退してください、うちでやりますから、 というのが筋道でしょう。 でも依然としてそのまんま。やっぱり、アメリカの言いなりになっているとしか思えない。 (憲法九条を堅持すべき) 「その一番大きな理由は、先ほども言いましたけれど、私たちは大きなチャンスを手にしている、 ということなんです。 憲法九条とは、私たちが「目指すべきもの」としてある。 それも、「日本人として」ではなく「人間として」目指すべきもの、 それが目の前に文章としてちゃんと存在している、ということの凄さ。 それを捨ててしまうのか、という危機感があるということです。 (憲法九条の堅持に必要なのは)「いろんな努力、とくに外交的な努力です。 九条を堅持するためにはそれしかないでしょう。 外交的な努力とは、言葉による相互理解。 そのためにはお互いの文化理解が当然必要になります。 だから、日本人が日本文化をきちんと理解していて、相手に説明をしなければならない。 これが文化理解なのです。 つまり、憲法九条を守るためには、まず日本文化を大切にしなければならない。 実は、そういう道筋になるはずなんですよね。それこそが外交努力の基本なのだから。 (所謂「保守派」が全く日本文化を理解していないこと) 「そこをきちんと押さえずに、愛国心だとか教育改革だとか言うから妙なことになる。 相手にこちらの言葉が伝わらなくなると、最終的には努力の放棄です。 ということは、外交のための言葉の努力、人間関係の努力、文化理解の努力、 それを相手方に伝える努力、そういったものを全部放棄することにつながります。 そうするとどうなるか。 つまりは、軍隊と、もう少し先には核武装、ということになるのではないでしょうか。 (力による外交に訴える方向に行こうとしているのか?) 「つまり、力に頼って相手を脅して均衡を保つ、という筋道でしょう。 次第に日本もそういう考え方に移行しつつあるんじゃないでしょうか。 「普通の国」になることがいい、などと言う政治家が増えています。 それは確かにアメリカもイギリスもフランスもやっていることですね。 中国も核を持っている。 だから日本も「普通の国」になって力で対抗しよう、それが果たしていいことなのか。 (バランス・オブ・パワー論は冷戦時代の産物でもはや古い筈では?) 「本当はそうだったはずです。 ところが、そんなゾンビを生き返らせたのがアメリカだと思うのです。 もうアメリカは世界を牛耳る唯一つの国ですから、バランスなんか関係ないはずでした。 でも、そのアメリカがいちばん恐れているのが中国です。 それは朝鮮戦争、ベトナム戦争以来、ずっとそうですね。 そこでこのパワー論が息を吹き返すのです。 アメリカは中国に対抗するために日本が必要なのです。 ロシアが敵対国でなくなって、いまや中国だけがアメリカの喉もとに刺さった棘なのでしょう。 だから日本はアメリカにとってどうしても手放せないアジアの拠点です。 それが、戦前の記憶とダブってくるけれど、 実は戦前と根本的な構造が違うと思っているのは、 日本はアメリカに踊らされているだけじゃないかと。 アメリカの言う通り、ほとんど何も考えずに動いている。 戦前はむしろ、日本が自分たちの考えで何をするか考えていた分、 今よりも偉かったのではないかとさえ思えてきますね。 結局は軍部が台頭して、あの戦争という大失敗に突入してしまいましたけど。 「日本文化をよく知ってください」ということですね。 私が言っていることは、かなり民族主義的ですよ。 右翼の方々と意見が合いそうに思うんですけどね。 それと、アメリカには気をつけるように、ということです。 実は明治維新だって、あの開国は結局アメリカの圧力が大きなファクターだったのです。 拡大主義のアメリカは捕鯨のための寄港地としてどうしても沖縄と日本がほしかった。 もちろん市場としても欲しかった。 太平洋を我が物にしようと考えていたわけですから。アメリカのエゴです。 それが今も続いていると考えれば、最近のアメリカの動きも理解できますよね。 だから、日本がアメリカの力の下でどう動けばいいのか、 もしくはアメリカの力から脱していくにはどうすればいいのか、 常にそれを考えていくことがポイントになると思いますよ。 アメリカべったりで自立を叫ぶ、 矛盾だらけの改憲論 (2007.1.10 マガジン9) http://t.co/hHpSWsOTxX ………………………………………… The Penelopesのwatanabe さんという方 ( @penewax )がTwitterで紹介してくださっている言葉をつなげてUPさせていただきました。

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