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物欲☆あんず雨

物欲☆あんず雨

戦士の出発

風神の門」第23話(最終回)・ネタバレ有り日記(2005.7.1)

[戦士の出発(たびだち)]
徳川の大軍にぐるり取り囲まれ、落城を待つばかりの大坂城。その中に在る、隠岐殿、佐助、お国…。
包囲網を斬り抜けて、城内にお国を訪ねる才蔵。
既に天守閣を出て糒倉に退避している秀頼・淀殿に付き従い、修理や大蔵卿局、隠岐殿と共に佐助やお国もそこへ…。
もう、いい加減尽くし抜いたのだから城を出ろという才蔵に、お国は、あくまで隠岐殿の側に居ると主張。
根負けした才蔵、治作の家で待ち続けるから、城を出たら必ず来いと言い置きます。

須磨。大坂城の命運は尽きたも同じ、明日、京に向かう旨を青子に伝える獅子王院。
「京に着けば、青子は江戸へ行き、そなたは侍になる…」つぶやく青子。「獅子、明日は海を見ような…」

翌日、旅姿の青子と獅子。海を目の前にし、「海じゃ!…海じゃ!!」と笑顔ではしゃぎ、波打ち際に駆け出す青子。(大波に驚くしぐさが、涙モノの可愛らしさです)
ひとしきり走り回り、やがて座り込んで動かなくなる青子。少し後方で見守っていた獅子が駆け寄り、目にしたのは、青子の涙…。
「獅子どの…。立派なお侍におなり…」

秀頼と淀殿の助命嘆願交渉は決裂。秀頼に覚悟を促そうと決意の修理。
治作の店。秀吉時代、異国との交易などで華やかだった時代を懐かしむ治作の言葉を、聞くともなしに聞いている才蔵。そこへ菊千代と信乃が走り込み、大坂城への最後の攻撃が始まったことを伝えます。飛び出す才蔵。

糒倉。一同が自害を覚悟するなか、自分はキリシタンだから自害は出来ない、と言う隠岐殿が。彼女は、せめて最後まで戦って、城と運命を共にしたいと言います。戦って死んで行った牢人衆のためにも…と。
そんな悪あがきを…と思う大蔵卿局は怒鳴ります。「牢人、牢人と何じゃ!好いたお人でも居たように…」
その言葉に、何か思い当たることを感じたのでしょうか、それまで黙って聞いていた修理が口を開きます。
「おみつ…。よい、ゆけ!…兄が許す…!!ゆけ…」
豊臣家を支える才覚は足りない人だったのかも知れませんが、妹思いの優しい兄ではあったのでしょう…。

たすきを締め薙刀を持ち、糒倉を出る隠岐殿。佐助とお国には城を出るよう言いますが、佐助は「あの世で幸村さまに申し訳が立たない」と、聞き入れません。お国も同様なのですが、彼女だけは…と思う佐助、才蔵へ渡して欲しいと脇差を託します。「友情の証としての形見でござる…」
隠岐殿は最後の命令として、佐助の頼みを聞いてやるようお国に申し渡します。

乱戦の中、敵と斬りむすぶ隠岐殿、佐助。天守閣へ向かう二人。あとを追おうとするお国。
秀頼らの介錯を終えた修理、糒倉に火をかけるよう家臣に命じ、自らも自刃…。

才蔵、乱戦の中、お国と合流。佐助の形見を見せられ激高、「引きずり戻してやる!」と天守閣へ急ぎます。
天守閣。とうとう敵兵に刺されてしまう隠岐殿。佐助に助けられながら、火の回り始めた一室へ。
室外の守りに出る佐助。一人、最期の時を迎える隠岐殿。
「幸村さま…」降りしきる、桜の花びらの幻…。

佐助も満身創痍。ようやく到着した才蔵に、佐助は「ここが俺の死に場所だ!」と笑いかけ、爆薬を手に隠岐殿が亡くなった部屋へ入ります。
ややあって、大爆発。炎上する大坂城天守閣。
遠く、峠道からその炎を見ている青子と獅子王院。静かに手を合わせる青子。

燃え落ちた大坂城と共に終焉を迎えた豊臣家…。
大坂の少し郊外らしい野辺に、石を積んだ墓を建てている梅が枝と桂木。佐助の墓か?と問う才蔵に「みんなの…。死んで行ったみんなの…」と答える梅が枝。少し寂しげに、でも笑顔を絶やさずに。
これからどうするのかを問う治作に、為残した事…青姫の江戸行きを阻止すると言う才蔵。

大納言家。主馬を呼び出した才蔵、彼の様子に不審を感じ、深夜忍び込みます。
青子の寝顔を見て一安心するも、殺気。部屋の外には獅子王院が。庭へ出た二人、抜刀、対峙。
青子を江戸へは行かせないと言う才蔵。姫自ら行くと言ったことを告げる獅子王院。
しかし才蔵は、一生出られぬ牢獄のような大奥に青子を行かせるむごさを改めて指摘、俊岳を見限って板倉に就くようなおぬしになら出来よう…と獅子へ言葉責め。(獅子、動揺しまくり)
トドメの、「青子は渡さん!青子を『踏み台』にして侍になろうというおぬしには決して渡さん!!」という才蔵の言葉に怯んだ獅子、腕に刃を受け傷付いてしまいます。
そこへ飛び出して来る青子。獅子をかばい立ちふさがる青子に驚く才蔵。
自らの言葉で、江戸へ行くと言う青子。自分が行くことで、公家と徳川がいがみ合わずに済むのなら…と。いがみ合いの果てには戦…。「戦はもう嫌じゃ」
なおも引き止めようとする才蔵に、皆と出会い、旅をし、海をも見た今なら、思い出だけを支えに一生を送れる…と青子は言います。
才蔵と獅子の二人に「楽しかったな…」と笑いかけ、青子は部屋へ戻ります。二人への笑顔は、悲しいまでの思いやりです。暗い寝所で、一人泣く青子…。

放心したように野辺に寝転ぶ才蔵。傍らにはお国。どこかで骨休めしたいという才蔵に「お一人で?」と詰め寄る(かのように聞こえる声で)お国。「来るか?おぬし」「はい」
才蔵は、二人が初めて出会った八瀬の里へ行こうと言います。

治作の店でそれぞれの門出を祝うかのような席が。引き続き治作を手伝うと言う信乃。菊千代は、梅が枝らと遊女屋と開こうと計画していると言います。並んで座り酒を注がれながら、信乃に祝言のようだと言われ照れる才蔵とお国。

大納言家。菊亭大納言、青子の病気が平癒し江戸行きが可能になったと板倉に告げます。吉日を見て東下の日取りを…と言いつつ平伏し、ニヤリと笑う板倉。

所司代。庭先で、こののちの下知を賜りたいと板倉に乞う獅子王院。雷鳴が轟き始めています…。
「下知は無い」
「は?」顔を上げる獅子。
「おぬしの用は済んだ。もはや不要である!」サッと障子を閉め、室内に入ってしまう板倉。
士分取り立ての件を問いただす獅子に板倉は、元々の主・俊岳を裏切った獅子に、自分もいつ裏切られるかわからない…。忍びの者は信用ならん、と言い捨てます。
思い余って障子を開ける獅子でしたが、座敷はカラ…。(ダーク板倉、忍び並みの素早さ)

土砂降りの中、大納言家を訪ねる獅子。しかし主馬から、青子が御所へ参内していること、そしてそのまま江戸へ下ってしまうことが伝えられます。

八瀬の里。雨の庭を眺めるお国。湯殿から戻った才蔵、何を見ているのかお国に問います。
お国が見ていたのは2年半前の光景。二人が初めて出会った日。
それからの2年半を思う才蔵。風雲に乗じて天下に出て、何か『どでかいもの』を掴もうと…。「悔やんでおられますか?」お国の言葉に「ああ…」と小さく答えかかり、ややあって「いや、もう悔やんではいない。やるだけのことはやった!」と 力強く答える才蔵。
「それに…おぬしというものを得た」ハッとするお国。(よっしゃ!キタ~~!!←お国内心)
寄る辺の無い身、行くあても無いのなら「俺のそばではどうだ?…妻にならんか?」
即刻返事をしそうなものですが、感極まっているのかうつむくばかりのお国。
「黙ってないでなんとか言え!」(お国、視聴者には聞こえない声で返事を?)「聞こえん!遠くて聞こえん!!」「才蔵さま!!」突如、激しく才蔵にしがみつくお国。そのまま寝技に持ち込まんばかりの勢い…。
(押し倒されて、一瞬『あ~、言っちまった…。俺も年貢の納め時か…』というような表情?で)少し戸惑ったように抱きとめる才蔵。お国の涙に触れ、一気に愛しさが込み上げたのでしょうか、彼女をさらに強く抱きしめます…。

5月末。江戸へ向かう青子を乗せた駕篭が行列を従え京を旅立ちます。
峠の路傍、平伏する獅子王院の姿をみとめ駕篭を止め、窓を開けさせる青子。
顔を上げる獅子の頭を「無礼者!」と押さえ付ける供回り。青子はとっさに、京との別れに花を手にして行きたいから、その者(獅子)に摘ませるようにと命じます。
側へ寄らせまいとする供を制し、じかに受け取ると言い、青子は獅子の差し出した花に、少し震える手を延ばします。
獅子の手をそっと包むようにして花を受け取る青子。
「立派な侍になりますように…」
思わず顔を上げる獅子王院。彼にはただ、消え入るような声で「はい…」と答えることしか出来ません…。
精一杯の笑顔で頷く青子。
もう二度とは会えない二人の、お互いを思いやる悲しいやりとり。

「発ちましょう」去り行く駕篭。行列を見送りながら、獅子の脳裏には海へ入って行く青子のイメージが…。振り向いて笑い、波間に消えて行く青子…。その場に伏したまま、動かない獅子…。

八瀬からの帰途、大坂へは戻らず、このまま旅へ出ようとお国に提案している才蔵。(流れ新婚旅行)
「いずれへ参られます?」問うお国。「まぁ、あてもなく雲の流れるままにゆくのもよいな…どうだ?」と答える才蔵。笑顔のお国「はい。いずれへなりとも」
歩き出す二人。

流れるオープニング曲に、終幕を告げるナレーションがかぶります。
(以下、全文掲載させていただきます)
「風雲は去った。夏の光の中を歩く才蔵とお国の中には、戦いに敗れた敗北感は無かった。安らぎと満足感があった。
『風神の門』に入り、そこで出会った多くの人たちの面影を胸に、いま二人は、その『門』を出ようとしている…」

山道をお国と連れ立って歩きながら、出会った人々のことを思い起こす才蔵。(才蔵を取り巻いた人々の映像。最後に、折り鶴を飛ばして遊ぶ青子の映像が入る時、才蔵の顔が少し翳ったような気がします)

分かれ道、どちらへ行くかで軽く口論になっているらしい才蔵&お国。杖を倒して決め、仲良くそちらへ歩き出す二人。
少し離れた木立。去り行く才蔵らの後ろ姿を、一人見送る獅子王院。
ややあって、二人とは反対の方角へ歩み去ります…。

山あい、少し開けたところで花を摘むお国に、いきなりキス(?)しようとする才蔵。思わずひっぱたいてしまうお国。イタタ…なしぐさの才蔵、ついやっちゃった、という風情のお国。

『風神の門』は完全に出たらしい、ほのぼのムードの二人を映しつつ、物語は幕を閉じます…。

風神の門 第壱集風神の門 第壱集風神の門 第弐集風神の門 第弐集


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