映画『リンダリンダリンダ』の懐かしい空気
高校時代というのは、なっている本人は実に不満と退屈とやり場のない怒りと不条理につきているのですが、やがて月日は流れ、ウン十年もすると、何と懐かしくほろ苦く甘酸っぱい思い出になるのでしょうか。ひねくれ者の私にも高校時代はありまして、まあそれ相応なことをしておりました。『リンダリンダリンダ』は、文化祭で女の子バンドが演奏する、ただそれだけの話です。思わせぶりな予告編や、DVDのジャケットから想像するのと違い、そこには、学校の存続をかけてコンテストに出るような緊張感も、自我の目覚めにロックする青春の雄叫びも、途中でメンバーが死んだりするドラマチックな展開もありません。実に淡々と、女の子らが練習したり、けんかしたり、告白されたり、笑ったり泣いたり、夢見たりする姿が描かれています。ですが、何でしょう、この映画の心地良さは。懐かしい気持ちにさせてくれます。見ながら何度も、俺も高校時代、そうだったなーと思える映画です。