恐怖新聞、発刊者・よしみ私、分かってた。 そろそろあなたが来るって事・・・。 以前書いたまりこと出会ったそのバイト先によしみという女性がいた。歳は私と同じだと言う。しかしそれは彼女の妄想で、のちに二つ上だと発覚した。失恋のショックで二年間の記憶がないらしいのだ。元モデル、意外と可愛い。 よしみの目つきは怖い。笑っているが焦点が合ってない感じ。目を見て話すというより頭蓋骨を透視して話すといった感じだった。 彼女は必ず弁当を作ってくる。その凝り具合ときたら「凄い」を通り越して「怖い」と言ったほうが良い。風邪で遅刻しようが弁当、風邪で早退するのに弁当だけは食べてから帰る、レストランのキッチンにピークタイムに入り込んで電子レンジを勝手に使う(そんな人はいない)、とやりたい放題。 彼女が北海道に鹿狩りに行って来た。皆のランチタイムに写真を広げ見せ出した。200枚以上もあるその写真をやれやれと見ていると、一匹の鹿を指差し、「これ、私がこの後撃った鹿なの」と言い出した。ちょっと怖いと思っていると、「そう、これ今日持ってきたんだ~♪」と言いながらロッカールームに走っていった。最高に嫌な予感がした直後、「はい、これ鹿の大腿骨~♪」と、血だらけの鹿の骨をドンッとテーブルの上に置いた。声も出なかった。 彼女は服装倒錯者。一応職場はホテルのレストランで、入り口もお客様と一緒。それ相応の格好というものがあってもいいではないか。巨人ファンの彼女、巨人が優勝した日は、巨人のユニフォームにオレンジのハチマキ、ミニスカートに手にはメガホン。お客様から苦情が来てた。普段はうさぎの耳のついた帽子に、ムラサキとかの「ピアノの発表会?」風のドレス、手にはゴージャスな扇子・・・とか。うさぎの帽子は余計じゃないか。 そのよしみ、自分で勝手に「みいちゃん新聞」を発行している。馬鹿でかい紙に怖ろしくも細かい手書きの文字で送られてくる。内容は個人的なことばっかりなので、仲良くもない私にはさっぱり分からない。例えば「田中さんと電話で一時間も話す!!」とかいう見出しの記事や、「みいちゃんクイズ」とか、「隆史君、この間は有難う、泣いちゃってごめんね」とか。 知るかあーーーーー。 って叫びたくなる。もう冷静ではいられない。田中さんって誰??隆史君って?? そんでやたらに(爆笑)とか(笑)とか付いてるけど、 面白くね~んだよーーーーー。 って叫びツッコミ、心の中で100回はしてる。 ちなみにみいちゃんクイズに正解すると、一名の方に「和・洋・中・仏なんでもござれのみいちゃんがあなたの為だけの出張料理人になります」という特典があるらしい。ワーオ、今すぐ応募しなくっちゃ(*^^)v 大体もう三年以上会ってないし。もう会わないし。 去年、大きい病院に検査に行ったら、その帰りに彼女を交差点で偶然見掛けてしまった。全身ピンクのモコモコ服で、頭はピンクのうさぎの帽子。 声、掛けられなかった。 新聞、いらない。 でもそろそろ来るって分かってたの。 だって・・・夏だモン。 |