ツバキ鉄砲発射・幼稚園男児鉄砲が発射された。 私の眼を一撃で貫通。 痛むのは、眼の傷ではなくて、 私のこころ・・・。 ******************************************************* 児童劇の役者をしていた頃がある。 幼稚園の巡回公演をしていた。 絵本の朗読をしたり、絵本をもとにして劇を作ったり。 どちらかというと「道徳的なもの」ではなく、 「ドタバタ」みたいな楽しく騒げるものを中心にやっていた。 あの時。 私は、「耳の聞こえないお父さんを持つ六歳の娘」という役を頂いていた。 当時、 「エロ女子大生」の名を欲しいままにしていたすずめに(行動がエロなのではなく、なんとなく見た目の話、実際は不器用ですから)、 六歳の役はないんじゃないかと思ったが、まあ身長が低いという事で。 その役は手話を必要としたので、早速手話サークルの方に来て頂くなどの力の入れよう。 話自体も笑える話ではなかったので、慎重に慎重を重ねていた。 某有名私立幼稚園。 そこでの巡回公演の時だ。 お金持ちのくせして、みんな態度が異常に悪い。 「しつけって何だろう、お金って何だろな」 そんなすずめの悲しみの中、行われた公演。 立つものあり、絶叫するものあり、大泣きするものあり、もうこりゃ何のパーティ?こどもパーティ?? 「あんなでっかいやつが六歳じゃねーよ!」 私が演じる中、そう騒ぎ立てる子どもがいた。 そんなのはこちとらが一番分かってるんじゃ! そしてやっぱりというか何と言うか、 「おーばーさーん」コールが始まった。 こんなのは仕方がない。 子どもは正直だ。 「これは木じゃない、ダンボールで出来ている」 そうはっきり言えてしまうのが、子どもの素直さ、そして残酷さ。 だからこそ、子どもだからとナメて掛かるのではなく、更に更に質の高いものを目指さなければならないのだ。 すずめはにこやかに耐え、幕は閉じた。 「お話が出来なくても、耳が聞こえなくても、今のおとうさんが一番すき」 帰りは子ども達を見送る為に、一列に役者が廊下に並び、 「バイバーイ、またね」 と送り出していたのだが、人を小ばかにしたような反応ばかり。 もう既に、自分の家が特別である事を知ってしまっているのか子ども達よ。 その偉そうな態度は何だ。手ぐらい振ってくれ。 ううん、そんな事思っちゃいけない。 きっと私たちの演技が至らなかったのね・・・としおらしく思った瞬間。 「ペッ」 鉄砲が火を噴いた。 名付けて「ツバキ鉄砲」 それは私の眼を直撃。 心も直撃。 顔を拭いながら目を開けると、そこには蝶ネクタイ姿の偉そうな幼稚園男子。 「おーばーさーん(エンドレス)」攻撃開始。 何故だか私は泣けて泣けて。 幼稚園児に泣かされた??しかもツバを掛けられて?? ううん、眼が痛かったの!ただそれだけ←強がり・・・。 あまりに悔しかったので。 とっさにその幼稚園児のところに行き、 「マ○コ!」 って叫んだら、きょとんとして、 「マ○コって何だよ」って言うから、 「先生かお母さんに聞いてみな!」 と叫んで、逃げてしまった。 ああ、大人気ない・・・。 その後の公演は無事成功。 子ども達も宝物だの秘密の隠れ家だの、色んなものをすずめに教えてくれ、とてもいい思い出になった。 あのお子様も今頃12歳。 マ○コの意味、分かったかしら・・・。 ホント、すみませんでした。 ジャンル別一覧
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