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すずめ、月へ飛ぶ

すずめ、月へ飛ぶ

ツバキ鉄砲発射・幼稚園男児


鉄砲が発射された。

私の眼を一撃で貫通。

痛むのは、眼の傷ではなくて、
私のこころ・・・。

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児童劇の役者をしていた頃がある。

幼稚園の巡回公演をしていた。

絵本の朗読をしたり、絵本をもとにして劇を作ったり。
どちらかというと「道徳的なもの」ではなく、
「ドタバタ」みたいな楽しく騒げるものを中心にやっていた。

あの時。
私は、「耳の聞こえないお父さんを持つ六歳の娘」という役を頂いていた。
当時、
「エロ女子大生」の名を欲しいままにしていたすずめに(行動がエロなのではなく、なんとなく見た目の話、実際は不器用ですから)、
六歳の役はないんじゃないかと思ったが、まあ身長が低いという事で。

その役は手話を必要としたので、早速手話サークルの方に来て頂くなどの力の入れよう。
話自体も笑える話ではなかったので、慎重に慎重を重ねていた。

某有名私立幼稚園。
そこでの巡回公演の時だ。
お金持ちのくせして、みんな態度が異常に悪い。
「しつけって何だろう、お金って何だろな」
そんなすずめの悲しみの中、行われた公演。

立つものあり、絶叫するものあり、大泣きするものあり、もうこりゃ何のパーティ?こどもパーティ??

「あんなでっかいやつが六歳じゃねーよ!」
私が演じる中、そう騒ぎ立てる子どもがいた。
そんなのはこちとらが一番分かってるんじゃ!
そしてやっぱりというか何と言うか、
「おーばーさーん」コールが始まった。

こんなのは仕方がない。
子どもは正直だ。
「これは木じゃない、ダンボールで出来ている」
そうはっきり言えてしまうのが、子どもの素直さ、そして残酷さ。
だからこそ、子どもだからとナメて掛かるのではなく、更に更に質の高いものを目指さなければならないのだ。

すずめはにこやかに耐え、幕は閉じた。
「お話が出来なくても、耳が聞こえなくても、今のおとうさんが一番すき」

帰りは子ども達を見送る為に、一列に役者が廊下に並び、
「バイバーイ、またね」
と送り出していたのだが、人を小ばかにしたような反応ばかり。
もう既に、自分の家が特別である事を知ってしまっているのか子ども達よ。
その偉そうな態度は何だ。手ぐらい振ってくれ。

ううん、そんな事思っちゃいけない。
きっと私たちの演技が至らなかったのね・・・としおらしく思った瞬間。

「ペッ」

鉄砲が火を噴いた。

名付けて「ツバキ鉄砲」
それは私の眼を直撃。
心も直撃。

顔を拭いながら目を開けると、そこには蝶ネクタイ姿の偉そうな幼稚園男子。
「おーばーさーん(エンドレス)」攻撃開始。

何故だか私は泣けて泣けて。
幼稚園児に泣かされた??しかもツバを掛けられて??
ううん、眼が痛かったの!ただそれだけ←強がり・・・。

あまりに悔しかったので。
とっさにその幼稚園児のところに行き、

「マ○コ!」
って叫んだら、きょとんとして、
「マ○コって何だよ」って言うから、
「先生かお母さんに聞いてみな!」
と叫んで、逃げてしまった。
ああ、大人気ない・・・。

その後の公演は無事成功。
子ども達も宝物だの秘密の隠れ家だの、色んなものをすずめに教えてくれ、とてもいい思い出になった。

あのお子様も今頃12歳。

マ○コの意味、分かったかしら・・・。

ホント、すみませんでした。




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