薬とリストカット

夜の８時頃、伯父から電話 あわてている様子と、周りのただならぬ雰囲気が受話器からも伝わってきた 『サヤ子が薬とリストカットして、今救急車がきてるんだ 今から病院に行くから純也を預かってくれないか』 そんな話をしている間にも 救急隊員らしい声が受話器の向こうから聞こえてきた それから15分くらいして、伯父が純也君を連れてきた サヤちゃんが飲んだ薬の量が多かったため 近くの病院で受け入れ拒否され、大学病院へ搬送されたという マンションには救急車の他に 駐在所からもお巡りさんがきて大騒ぎになっているというが 現在の容態などの詳しい様子を聞く間もないまま 純也君を置いて伯父はすぐに病院に向かった 突然ひとり置いていかれた純也君は 母に抱かれても激しく泣き ミルクを飲ませようと哺乳瓶を口に持っていっても全く飲まない ８ヵ月の赤ちゃんにも、ただならぬ様子が分かるみたいに どんなにアヤしても泣きやまないので、私も母も切なくなってきた まったく、何をやってんだ!!!!! 私の内からサヤちゃんに対する怒りの気持ちが湧いてきて それを抑えることができなくなった 自分の思い通りにならないとき、 自分に注目させるため こうやって薬とリストカットを繰り返してきたサヤちゃん 苦しいのはサヤちゃん本人なんだ、そうなんだと いくら自分に言い聞かせても 私の胸に小さなシコリのような物が溜まっていくのを感じて 先の見えない不安に襲われた 純也君がいつまでも泣きやまないので 抱っこして外にでたら雲の合間に月が見えた 　 ランキング参加中です。応援クリックお願いします♪ 　　　 ・ + ・ + ・ + ・　暇があったらあんずの本館にも寄って下さい　・ + ・ + ・ + ・