私の好きな詩

2006/03/31(金)03:51

『愛してるで』

続物語(122)

「ナナちゃん、早よー早よー!」 彼があたしを呼んでいる。 「ちょっと待ってよ、えっと・・・。」 あたしはバタバタと走りながら、 用意してきた書類をあわててさがしていた。 籍をいれるのだ、信じられない。 印鑑を落としそうになりながら、封筒から紙を出し、 うるさく催促する彼に渡した。 「そうそう、この字ぃ。俺が惚れた字や。」 たったその程度の、数少ないあたしの情報で、 彼はあたしをつかまえに来てくれたのだ。 この距離でこの期間で。 嫁にくる決心をしたあたしもどうかしている。 「愛してるで。」 まっすぐにあたしを見る力強い瞳に揺るぎのなさを感じ。 「それはどうも。」 あきれたふりをしてため息をついた。 もちろん心の中では、 あたしもよ。 なんて思いつつ。   →    

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