2005/07/14(木)12:46
ゴマダラカミキリの思い出
ゴマダラカミキリを見るとあの日ことを思い出す。
あれは私が小学5年の夏、学校の自由プールに向かう途中での出来事。
家からバス停までは約800M、徒歩10分くらいだろうか。バス停が近づいてきた頃、道の脇にある木の枝にゴマダラカミキリを見つけた。
虫が好きな私は何のためらいもなく捕まえ、ジィジィと嫌がるカミキリの首根っこを持ちバス停にたどり着いた。
バス停には駄菓子やあり、おでんなんかも売っていた。寄っては駄菓子やジュースなんかを買っていた。
表にはジュースとタバコの自動販売機、そして赤い公衆電話があった。
残念ながらこの店は、8年ほど前に国道の2車線化によりなくなってしまった。
トムとジェリーと一休さんをこよなく愛する私は常にキレのあるイタズラを心がけていた。
その時、ゴマダラカミキリと赤い公衆電話が一つになったのだ!ポクポクポク・・チ~ン!
それとなく周りを見渡し、人目がないことを確認。赤い公衆電話に近寄り、次の週間~
釣銭取り出し口にゴマダラカミキリを滑り込ませた(ニヤリ)
後は待つだけ。ただ、鴨か掛かる可能性は低い。
10円入れて3分以内の用件で済ます人が大半で、なかなか10円を数枚入れてお釣りが出てくるという機会はない。
100円入れてもお釣りは出ないシステムだし・・・
ゴマダラカミキリはどうにか出ようともがいているのだろうが内側からは開かない構造。
諦めかけたその時、車を横付けしたサラリーマンが赤い公衆電話に向かった。期待は膨らむ。
凄い!10円をいっぱい入れてる!私の胸の高鳴りは最高潮!
が、電話の最中にバスが来てしまったのだ。
バスを見送ってサラリーマンを見届けたい気持ちは、小学生のバスに乗り遅れてプールの時間に間に合わないという小さな心に勝てなかった。
後ろ髪を引かれながらバスに乗り込む私。
その間もサラリーマンからは目を離さなかった。バスの最後部の座席に後ろ向きに座った私。
次の週間、サラリーマンは受話器を置いた!
釣銭取り出し口に手を伸ばす!おぉぉー!きたぁー!心の中で叫んだ。
手を入れた瞬間にサラリーマンは小躍りして、助けを求めてしがみついたゴマダラカミキリを振り払おうと掴んだ10円玉数枚を撒き散らしながらパニックになっていた。
バスの窓は閉まり、声や10円が地面にたたきつけられる音は聞こえなかったが、そのサマから十分想像ができた。
ゴマダラカミキリを捕まえたことのある方なら分かってもらえるだろうが、これがクワガタやゴキブリではこうはいかないだろう。
なぜなら向こうからしがみついては来ないからだ。
ゴマダラカミキリはとにかく何でもしがみつこうとする。釣銭取り出し口の中から開かない構造、そして主役のゴマダラカミキリ、そしてソレを見届けられた事。私的には、キレ・タイミング・質、ほぼ満点のイタズラであった。
その日、その場で電話をしてくれたサラリーマン、ごめんなさい。そしてありがとう!