カテゴリ:仕事ばなし
10/28の日記などで、私のダメ人間ぶりを暴露しているが、今日のネタは開き直りっつーか盗人猛々しいっつーか、ヒンシュクの上塗りになるかも。
でも、ダメ人間側からの分析というのはあまりないかも・・・と思うので、ちょっと書いてみる。 私は長年、音に聞こえた遅刻魔であった。 仕事では5分10分のプチ遅刻が日常茶飯事、友達との待ち合わせとなると30分とか1時間単位の遅刻を連発、同人ヲタ時代はコミケ入場時間に間に合わないことも多く(ヲタの人ならこれがどんなに大変なことかおわかりだろう)、ヲタ友達からは「ヤツにだけは2時間早い集合時間を教えとけ!」と言われた位だった。 何故そんなことになるのか?その心理状態は我ながらちょっと説明できない。 悪いことだと充分わかっているはずなのに、朝は起きられず、用意も前日にしておかない。絶対間に合う時間を逆算して家を出ればいいはずなのに、無意識のうちに「最もうまくいった場合」を想定してバスや電車の時刻を決めてしまう。 とにかく、小学校時代からこんな感じだった。 普通は、こういうのは一生直らない。 しかし最近の私は、遅刻しないのである。 絶対に1分1秒も遅刻しない!とまでは言わないが、比較的集合時間にうるさくない性質の保育園行事や待ち合わせでも、20人中10番くらいには着いてるので、まあ常識の範囲内ではないかと思う。 昔の友達が聞いたら絶対信じないだろうなー。 先日の日記のようにメールや手紙の返事を滞らせてしまうクセは遅刻癖の一環のようなもので、まだ抜けていないからあまり威張れないのだが、あるきっかけから、これでもかなり心を入れ替えたのである。 きっかけとは。 3年前の夏、いろいろあって長く一般事務で勤めた財団法人を退職した。 何をしようか考えに考えて、年齢高めでも求人が多く、つぶしが効きそうな経理の修行をしようと思い、日商簿記2級の勉強と併行して経理の仕事を探した。 そんなズボラな性格でよく経理をやろうと考えたなーと思われるかもしれないが、こうみえても小学生時代はソロバン小僧で、一応有段者(2段)なのである。 数学は落ちこぼれたが「算数」は得意である。話は前後するが簿記2級も単純計算の速さに救われて、ギリギリではあったものの秋の試験は一発で通った(・・・そこまでだったけどね・・・1級の勉強はあっという間に挫折)。 数字の羅列は苦にならない。経理は結構向いてんじゃないか?と自分では思っていた。 しかし経理は高年齢求人が多いといっても、それはそれなりの経験者の場合。未経験のオーバー30かつ求職しはじめの頃は簿記3級しか持っていなかった私には条件のいい仕事はなく、たのじの保育園退園危機もあったのでとりあえず会計事務所のパートになった。池袋で時給950円。保育料を考えたら全く合わず、不満たらたらのスタートであった。 経理の世界というのは新卒から経理畑一筋という人が多く、他職種から転じてくる人はけっこう少数なのではないだろうか。 セミナー会場手配とか名簿管理とかの一般事務からきた私は、同じ事務なのに全く違う文化である経理界で、様々な衝撃を受けた。 まず異様に細かい。数字に関して細かいのはまあ当然としても、「小さい封筒にはボールペンで、大きい封筒にはサインペンで宛名を書け」「文書を定型封筒に三つ折りにして入れる場合、文字面を外にするか内側にするかボスに確認しろ」等、箸の上げ下ろしまで指示を仰がねばならない。最初はこのボスがたまたまこういうキャラなんだと思っていたのだが、短期間に3箇所での経理職を転々としたところ、3人が3人ともボスが異様に細かかった。もうこういう世界なのだと思う他はない。 そして、もっと驚いたのは、勤めている経理スタッフが皆そんなボスにとても従順だということだ。一般事務界では、事務ねーちゃん(orおばちゃん)がけっこう気軽にボスに逆らう。ケンカする。経理界ではボスが右を向けと言ったらずっと右を向いているくらいで当然で、少しでも逆らうというか意見がましいことを言えばクビが飛ぶ緊張感がある(実際私は3つめの職場でクビになったのだ)。なんか体育会っぽい。 そして、私がいろいろと考え直す一番のきっかけになった最大の衝撃とは、恐ろしいまでの仕事の精度の高さだ。 会計事務所パートの時給は、都内で1000円、埼玉で800円くらいが相場で、一般事務やスーパーのレジ打ちと同レベルである。 それなのに、クライアント企業の領収書を整理し、仕訳入力して月次試算表を作成するところまでの全てを担当する。ボスたる税理士・会計士は見直しなど一切せず、100%合っているものとして受取り、そのまま決算資料を作ってしまう。ボスはこんなにパートを信頼して怖くないのか?と思ってしまうが、経理パートは間違えない。 一般事務で住所や数字などの単純入力をやる場合、100行入力してそのうち1行にミスがあるくらいは、まあ仕方ないこととされるだろう。この場合の要求レベルは精度99%。 しかし経理では許されない。月500仕訳くらいの中小企業の入力で、ミスゼロが当たり前である。まあ2ヶ月に1回くらい、領収書を1枚飛ばしたとか福利厚生費と打合せ費を仕訳間違ったりはするかもしれない。それで1000仕訳に1ミス。精度にしたら99.9%である。 パートでも、当たり前にこの精度で仕事をこなしている。銀行とか企業の給与計算とかなら、もっと厳しいだろう。一生で1回ミスがあるかないか位でないのか?決算申告を実際に行う税理士や会計士なら100%以外ありえない。 経理職は、学歴などはあまり問われない職種である。普通大卒以上社員が要求される企画・提案力、プレゼン能力、文章作成能力といったものはほとんど必要ない、というより、前述の体育会系職場ではそういう小理屈めいた能力はむしろ邪魔なものである。 上記能力を第一に問うような事務系職種では、東大院卒みたいな人でも文書をボロボロ間違う。期限までに領収書を出さないし、出金伝票は金額を間違える。最終的な報告書の出来が良ければそれでも許される雰囲気がある。 私がすごく考えたのは、「ルールに対する温度差」である。 精度99%の職場では、ここまでは許される。 でも99.9%の職場では許されない。 「99.9%」の世界にいる人は、それが当たり前であって、辛いとか厳しすぎるとかすら思わないのだ。 前述の通り単純計算が得意で、視力も長年1.5だった私は、書類の間違いは少ない。一般事務界ではけっこう仕事の精度の高いほうだった。 しかしそれでも「99%」界の人である私は、経理界では全く使えない人間だった。 経理の人は、当然のようだが遅刻をしない。 9時始業の職場で8時59分に駆け込んできてタイムカードを押す人はいるので、一見普通の職場のようだが、「9時1分」に来て、とぼけてタイムカードを押してるような人は皆無なのである。 ここでの「9時1分出社」は大罪である。 入力の正確さ、時間に対する感覚、その他ルールに対して、「ここまでは許されるかな?」という範囲には、人それぞれの「温度」がある。 育った環境要因なのか(うちの親は待ち合わせ時刻はけっこう守るが、朝が弱くて起きられず、待ち合わせ時刻をやたら遅めに指定したがるところはある人達である)それには関わらず本人の資質なのかわからないが、時々それが激しくズレている人がいる。 例えば私の時間感覚だったわけだが。 最近は遅刻しないといっても、たまにする。 保育園でたのじと仲がいいMちゃん(女の子。一時はたのじのフィアンセだったのだ^^)ママと初めて遊ぶ約束をしたとき、出がけにたのじが「うんち~」と言い出して、待ち合わせに五分遅れた。 「ごめん!たのじがうんちって言い出して・・・」と着くなり言い訳をする私に「・・・そう言うとおもったよ。もう帰ろうと思ってたとこだよ」とめちゃめちゃ厳しいMちゃんママ。まずい!この人は時間に厳しい。・・・平謝り&へこむ私。 しかしMちゃんママは全てにおいて几帳面なのかと思いきや、その後一緒に入って食事したレストランで、会計時「ごめん!お金足りない。貸して!」と言ってきた。その後も保育園ママ飲み会で再度同じ事があった。 どちらも次に会ったときにすぐ返してくれたが、彼女は遊ぶ前に財布の中身をチェックするという習慣がないようだ。 遅刻しといて何だが、さんざ自分の非常識ぶりを暴露しといて何だが、私はこれは生まれてこのかた一度もやったことはない。財布の残りがあとどのくらいかは1000円単位くらいでは常時把握しているし、一人ランチでこんなことやったら食い逃げになるから、レストランに入る前には必ず持ち合わせを確認する。 時間に厳しいMちゃんママも、財布に関してルーズ。Mちゃんママだけでなく、こういう人を少なくとも他に二人は知っているので、世間にはわりとよくいる人なのだろう。 私が遅刻しても許してもらえると思ってしまう甘えと同様、心のどこかで「お金が足りなければ連れの人に借りればよい」と思っているところがあると、財布のチェックが甘くなる。 こういうのを「ルールに対する温度差」というのではないか、と思う。 「お財布ルーズ」派の人について、私自身はいろいろ非常識人である弱みがあるから腹を立てることはないけど、「わかんねーなあ・・・」とは思う。南極で暮らす人と赤道直下で暮らす人の生活感覚の違いみたいなもんだろう。 私が最近遅刻に関して心を入れ替えたのは、経理界に身を置いてみて「温度差」について考えた結果、私の時間感覚は一般常識に照らして「温度差」がありすぎる、と身にしみたからである。 同じような温度感覚を持っていて、許してくれる人もいる。でもそうでない人にとって私は、南極人と赤道人ぐらいにわかりあえない、許し合えない人種と化していたのだ。 私の同類の皆様、自分で思っている以上に激!ヒンシュクを買ってるから、お互い気を付けようね(^^;) 長文新記録・・・(-_-;) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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